鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?
」のレビュー

鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

小中大豆/みずかねりょう

命を削るようにして輝き続けた十年とその先

ネタバレ
2025年7月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『呪禁師〜』がコメディテイストが少しあって面白かったので、同じ作家さんだからと同じノリで読み始めたら全然違いました。重過ぎない程度に互いの愛を切望し、同時に仕事についても人生そのものであるかのように真剣に、命を削る覚悟でもって向き合う二人の、あらゆる意味で成長を見られた、そんなお話でした。

溺愛とは真反対の天才肌だけど無節操な攻め、不憫で頑張り屋、繊細だけど内面に不屈の闘志を燃やすアンバランスさある受け…出だしからずっとハピエンとは縁遠そうな展開が続きますが、目が離せない面白さがありました。

十年という長すぎる年月は、いい大人になってからの初恋の代償でしょうか。お互いにお互いの本心を盛大に見誤りながらも阿吽の呼吸で歩み続ける二人は、約束せずとも運命共同体のようでした。

2巻まであるので、ずっと永利の苦しいターンが続くのかと思いきや、1巻でいい感じのラストを迎える形で綺麗に纏まっています。2巻は続編という感じで、難しい役どころに主演でチャレンジする話です。この先あるであろう時代劇出演で、もっと永利の新境地や新しい顔を見たかったので、完結なのが残念です。
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