黒猫にキスを
」のレビュー

黒猫にキスを

鈴木レモン/湊はつはる

ほぼ恋愛関係の話なのに飽きずに楽しめる

ネタバレ
2025年8月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 穏やかそうな表紙とタイトルに加えて、多くはないけどそこそこあるレビュー数と、小説では珍しいくらいよ高評価に釣られて読んでみました。ざっくり全体について言わせてもらうと…それほど大きな事件・事故・国家間のいざこざなどはありません。ほぼほぼ二人の恋愛についてのお話なので、込み入ったストーリーを好む方には向かないかもしれません。それでも高評価に違わぬ面白さがありました。

始めはニデル視点から語られ、良い意味で緩い話ぶりが楽しかったです。レガートに関しては、真面目で堅物、実直なキャラ設定を前面に出してこられたので、素直に受け止めていました。その後レガート視点に転換すると、何やら不穏な空気になり…「この先、二人の関係はどうなるの?」という大事な所で、焦るでもなく「やる事やってて、実は男性相手も経験あり」とか、イメージが180度変わって少しがっかりしたりもしました。

二人の関係が明るみになった後もレガートは、現代風に言うとセフ◯関係を安易に受け入れられる緩さとか、この期に及んで「恋情ではない」と言えてしまう配慮・道徳観の無さとか、あまりに世俗的な普通の男過ぎてビックリしました。

相談を受けた元上司の「お前、結構な最低男だぞ」という言葉に頷きしかなかったし、誰がどうジャッジしても「クズ」だと思うのに…そう言い切れない何かがある不思議な人物でした。どうなることかと思った二人でしたけど、周りに助けられて大団円のラストを迎えられて良かったです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!