大正曼殊沙華~未亡人は参謀将校の愛檻に囚われる
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大正曼殊沙華~未亡人は参謀将校の愛檻に囚われる

無憂/白井粥

不信感を持つヒロインと必死なヒーローの図

ネタバレ
2025年8月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 実際のロシア、ニコラエフスクで起きた事件を背景にした物語。はじめは亡き旦那に変わって溺愛される話かと思ってたら早めに同一人物匂わせで、なんだ〜と思ったけど結果面白かった。呼び出されて行った先の将校から早々に責任持って面倒見る、娘のパパになるみたいな対応されて不信感を持つヒロインと前のめりなイケメンの構図が良かった。諜報の為に存在しない人物として仮初めの結婚をした相手史乃を愛し、やっと本来の自分として再会できたから必死な誠吾さん。

にしても兄が帰ってきたら速攻ほかの所に嫁がせられてしまうから(という口説き)とか、この時代の未亡人は辛いな。特にこのヒロインは軍部に駒として扱われてるわけだし。片桐(本当は誠吾)は生きてたんだよ良かったねって事でもないし。はじめの結婚時代や空白の4年を過ごした史乃の気持ちやぜんぶ騙してた事は無くならないから。軍からの命令だから誠吾も兄も悪くないけど。そういえば子供ができて兄が片桐に対して怒ってたというのも史乃の前から消える身の男が子供作りやがってという事か。片桐が消えた後は妹に相応の相手をと上司に話してたしな。そもそも任務の一環として結婚する時は誠吾にもそんな気は無かったのかも。

でも銀座のお出かけの時のぶどう柄の着物とか柄の半襟とか、オペラとか流行り歌とか波瑠の着物に前掛けの大正時代の子供スタイルとか絵や時代背景の表現も丁寧でその点も素敵でした。はじめの参謀本部に呼ばれた時の着物も身頃と袖部分で柄の向きが変わっていて、着物は詳しくないけど見てて可愛いし時代ものはこういった細やかな描写がストーリーを盛り上げるなと思いました。史乃さん自体も可愛いし。またこの作家さんと漫画家さんの作品が見たいな。
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