【電子オリジナル】ワン・モア・ハッピーエンド~愛を知らない大魔女が、憎まれそして愛されるまで~
六つ花えいこ/はたはた
つる
さん
(女性/30代)
総レビュー数:27件
このレビューはネタバレを含みます▼
昔から六つ花先生の小説の大ファンです。
先生の小説の表現の一つ一つは新しい作品が出るたびにどんどん人の琴線にささるような繊細なものになってる気がします。
もちろん昔の作品も含めて全て大好きですが、一つ一つの繊細な表現に積み重ねてきた努力を感じて作品が出るたびにさらに好きになります。
今回のお話は私はラストのお互いの気持ちの折り合いの付け方がとても好きでした。
過去は消えない、憎しみは消えない、傷も消えない、だけどそんな気持ちを抱えたままでもお互いを愛することはできるという未来にたくさんの希望を残した余韻のある素敵な作品だと思います。
愛したからと全てが消えるわけではないというリアルさをきちんと残し、ハッピーエンドの先に苦難もあるかもしれないけれどきっと2人なら乗り越えられるのだろうと思いました。
そして復讐系の話ではヒロインがとにかく可哀想、ヒーローひどい、後悔したヒーローを眺めるのが醍醐味みたいな部分がありますが、今回の作品はヒロインにも理由はあるけれどヒロインの傷つけた人達がそれを許す謂れはないのだとヒーローが最後まで自分の芯のある心をしっかり持っていたことが先生のヒーローらしいなと思いました。
愛するけれど自分が憎しみを持つことを否定しない部分を見た時に感動すらしました。相手にどんな理由があろうと憎しみは間違ってないって結論が私にはとても腑に落ちました。
傷つけたことは後悔も謝罪もするけど、納得してない部分は反省も後悔もしない。私はそっちのが誠実だなと思います。
献身性はあるけれど崇拝はしていない。盲目ではないバランスのいい深い愛情をもったキャラクターで魅力的でした。
コバルト文庫からの出版ということで、私の応援してきた先生がさらにどんどん作品を出す場所が増えていることがとても嬉しいです。そしてそれを読むことができてありがたいです。
長文になりましたが今後も素敵な作品をたくさん読むことができることを願っていつまでも応援してます。
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