黙読 The Light in the Night[分冊版]
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黙読 The Light in the Night[分冊版]

Priest/苍顾行/楊墨秋

大好きな作品です

ネタバレ
2025年8月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中華系BLは何作か読んできましたが、まず翻訳が非常に読みやすいです。がっつりサスペンスを軸として話が進みますが、途中で躓くことなくすらすらと読むことができました。

CPは、歳上刑事隊長(恋愛対象:男)×歳下若会長(恋愛対象:人間)。
(単行本2巻時点ではCP未満のため、受け攻めが明確になるのは単行本4巻以降になります。)
※原作読了済、日本語版は分冊版まで読了済。ドラマも視聴済です。

このふたり、とある事件で遺族と担当刑事として出会い、7年間付かず離れずの距離を保ち続けますが、どこか相手が気に食わない…。という関係から始まります。(恋敵でもある。)
しかし、新たな事件を通して互いへの認識を改め、徐々に確執が解けていきます。費渡はある目的をもって刑事隊に近づくわけですが、共に過ごすうちに今まで見えていなかった互いの一面を知り、関係性が柔らかなものに変化していく過程が、非常に丁寧に描写されています。

とはいえ、互いに見目麗しく遊び経験豊富なプレイボーイであるうえ、費渡は腹に一物ある読めない人物のため柔らかく穏やかに変化する関係性と裏腹に、時折落とされる緊張感のある空気が非常に美味しいです。
恋の駆け引きも肉欲の醸し方もお手のもので、思わずドキドキしてしまいます。

また、駱聞舟は誠実さと深い愛情をもつ人物です。
費渡は一見軽薄で浮ついて見えますが、善良さと異常性を併せ持ち、それを確固たる意思で正常者の仮面の下に隠した底知れないキャラクターであり、彼の中にある善性と異常性の狭間に立ち、彼の人間性を支えるのがこの駱聞舟という男なのだと思います。

費渡が遺伝子に根付く異常性に囚われず、善良であり続けられたのは、かつての母親、そしてかつての駱聞舟や陶然のおかげであり、これからも善良であり続けるためには駱聞舟の存在が必要不可欠なのです。

そして、分冊版75巻から2人の恋愛関係が加速します。空気が一段と甘くなり、恋愛特有の感情の揺れ動きが波状攻撃のごとく襲ってきます。ふたりとも、腹をくくるとすごい。
相手にほだされ、ままならない心に振り回されているふたりがとてもかわいいです。途中までは、費渡が攻めでは?と疑ってしまうくらいプレイボーイの風格を見せる費渡ですが、いじらしくどこか健気な費渡は確かに受けでした。かわいい。

ぜひ、たくさんの方に読んでいただきたい作品です。
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