さよなら絶望先生
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さよなら絶望先生

久米田康治

へそ曲がりの戯言がこんなに面白い!

2014年12月18日
世相、世間一般を皮肉り、それをテーマとした作品を描くには、先ず「へそ曲がりである事」が必要だ。流布する価値観や事件、事象に型通りでは無い視点から、齟齬を指摘して行く。それまで当たり前に受け止められていた世界が、こんなにも矛盾を抱えた物と暴き立てる。ギャグ、と言うより滑稽、と呼ぶに相応しい。そして、この作品の根底のテーマは「世界、及びそれを内包する自己の、解体と再構築」である事が、最終巻まで読むと理解できる。だからこそ、真っ直ぐでは無い視点で真っ直ぐな意見を提示し、死を望むような発言を繰り返しつつ他人からの攻撃に「死んだらどーする!」と叫ぶ”矛盾”を抱え込む事で、相反する対極が元々一つの物、或いは互いに必要とする物と訴えかけているのだ。ところで、このレビューもギャグなのだが、御理解頂ける諸兄には、きっと気に入ってもらえる作品と思う。
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