ロスタイムに餞を
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ロスタイムに餞を

ココミ

まるで小説を読んでいるような漫画

ネタバレ
2025年8月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 別れから始まるお話。なんて切ない。ずっと心がギュッとなってた。

好きが嫌いになっていく感覚、長く付き合っていれば本当にある。桐生の上手く言葉にできないのもすごくわかる。小説家にとして感情や情景を言語化して伝えることをずっと突き詰めて考えている。だからこそ、言葉にできてしまう感情ではないとか、その枠にはめてしまいたくないとか、そんな気持ちもあるのかなと感じた。

結局お互い大好きなのにうまく言葉にできなくて、相手の嫌なことばかりが見えてきて。でも、離れようとしても嫌なところが見えていても、長く一緒にいたからこそ噛み合ってしまうことが多くて、それがまた苦しいしリアルだった。

そして、4年って長さが中途半端な気がしていて、大抵3年とか3ヶ月とか『3』であることが多い気がしたけどW杯出てきて、そういうことかーーーってなった。スタジアムの高揚と対比するような心情とか、逆にロスタイムの「試合がこのまま終わってしまう」という焦りと、試合が終われば関係も終わるという想いが重なって、もう本当に見ていて苦しくて、ホイッスルと共に私も涙腺崩壊でした。

そしてここまで涙腺崩壊させたのは、ご本人たちの語り多めなストーリー展開。丁寧に彼らの心情が描かれていて、まるで小説を読んでいるようでした。

何度でも読み返しています。素敵なお話でした。
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