ジェントルマン
」のレビュー

ジェントルマン

山田詠美

耽美世界

ネタバレ
2025年8月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 漱太郎のあまりの悪行が気持ち悪くて序盤で離脱しそうになりましたが、でもこの悪魔にどんな鉄槌が下されるのか見極めてやりたくなりました。確かに鉄槌は下されたけれど私の望むものではなかった。夢生のひたむきな恋心を何十年もの間弄んだ挙句、最大限の絶望と嫉妬を与えた結果が生んだ壮絶なラストでした。「きみを最後の最後まで守る」と心に誓った夢生が最後に守ったものは自分の心だったという皮肉。「罪の意識を持たないですむ才能」なんてのうのうと言ってのける漱太郎にはきっとわからないままなんだろうことが悔しくてモヤモヤしたし、自分の犯した過ちを少しでも悔い改めて欲しかったけど、でも清々しいくらい気持ち悪いラストだからこそ"ジェントルマン"なんだと思った。
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