このレビューはネタバレを含みます▼
9/11編集済。
高校生の両が好きになった別のクラスの綺麗な顔の幸太郎。屋上で両と昼休みを過ごす幸太郎はとても楽しそうで可愛い。
ところが幸太郎の良くない噂を確かめに行った両が目にしたものは余りにもショッキングな光景でした。
端から見れば不憫過ぎてで悲惨な状況なのに母親の事を信頼しきっている幸太郎。
幸太郎の生い立ちが深く関係していることが分かり余計に何とも言えない気持ちになりました。
捨てられて施設に居ても中々養子に請われる先がなくやっと現れた養母に抱きしめられた時、幸太郎はとても幸せだったのです。
養母に言われるままに従うことしか出来なかったであろう幸太郎に取って、この儀式が終わることは養母との関係が断ち切られ、また一人ぼっちになるこを意味するので絶対に守りたかったのだと思います。
両は周りが何も出来ない状況の中、好きな人がこんな生活を強いられているのなら、そこから助け出さなければとの一心で通報します。
しかし、幸太郎にとっては最愛の養母と離れることを意味する残酷な行動でした。
その後の両は幸太郎を愛する故に幸太郎を救えるのは俺だけと刹那的な衝動に駆られていたようにも見えました。あっと驚くような行動も、只々幸太郎を離したくない気持ちがそうさせたのだと思いました。
二人だけの同棲生活のような暮らしは幸せそのもののように見えました。だからこそ、信じていた両に裏切られたと感じた幸太郎のショックは大きく、両を許せなかったのだと思います。
4年の月日が流れ、母校の教育実習に来ていた両の元に突然幸太郎から連絡があり再会する二人。夢に向かって動いている幸太郎に安心しました。居酒屋を出てあっさり別れるのかと思ったら…。このシーンはとても好きでやはり二人とも同じ想いだったのかと泣けました。
幸太郎ははっきりと養母のして来た事を間違っていたと否定しましたが、それでもたった1人の親なので許し、今は定期的に会っていると打ち明けます。
心配でついて来た両に別人のように老いた養母が心から謝罪したように見えましたが、養母が何故倫理観のない虐◯行為の儀式にのめり込んで行ったのか、養子縁組の目的が儀式にあったのか等核心の部分も描いて欲しかったとも思いました。
ラストのシーンがとても素敵で、上巻の衝撃からこんなラストが待っているとは思いませんでした。紛れもない名作だと思います。