このレビューはネタバレを含みます▼
この漫画すごすぎます。一冊一冊がとても濃く、とても読みごたえがあって、内容もとても面白いです。少々痛々しいシーンもありますが、そこにおもきを置いていないため、ぐろいのが苦手な自分でも抵抗なく読めます。
この話のすごいところは、登場人物の回想のコマがないんです。だからキャラが言ったことでしかそのキャラが何を思っているのかがわかりません。しかしこの漫画では丁寧にキャラの気持ちをコマで書いてくれているため、こんなことを思っているのかな、とキャラに感情輸入ができます。本当に丁寧に丁寧に書いてくださっているので、迷うところはありませんし、考えながら読むため、一冊一冊が濃くなるのかもしれません。それにコマなどの魅せ方もすごく上手くて、「神様」という回では、敵の一人称視点になっており、ねずみちゃんに立ち向かっていく様子が書かれたのですが、これがまたすばらしい。敵もただむやみに突っ込んでいくモブではなく、目の前で味方が死んでいって、それでも行かなきゃいけない緊張、狭くなる視界。そこに美しく映るねずみちゃん。その一人称の敵は死んでしまうのですが、しんでしまって、別の人の視点になってから、やっと今まで自分が誰の目を通して世界を見てきたのかがわかり、本当にしびれました。たまにそういうことをしている漫画はありますが、あそこまでうまく使った漫画は初めてです。
主人公の二人の関係性もとても好きです。初恋にはあまりに切なく、それでも一生懸命で、幸せをもぎとっていて、見ててにこにこ、、、はなれませんが、とても応援したくなります。