箱の中 【講談社版】
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箱の中 【講談社版】

木原音瀬

格好つかなくて見苦しく時に恥ずかしいけど

ネタバレ
2025年8月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんなに好きになるなんて思わなかったんだと思う。こんなに好きになってしまった後で、離れ離れになって、せっかく会えたのに一緒には暮らせない。自分が思うほど想ってはもらえない。気持ちが返ってこない。寂しさ。初めに崇史さんの家族が三百万騙し取られてもう死のうと考えていた時にも喜多川さんは隣の席に座っていたんだよな。どんどん生気が無くなっていって、夜中に涙が止まらない崇史さんは可哀想だった?哀れだった?あの時の喜多川さんは、ただ泣かないで欲しかっただけかもしれない。ただいつか会えるかも、もしかしたら二人で一緒に暮らせるかもしれないって夢をみるだけで幸せ。夢さえも見れなくなってしまったら、もう生きている意味さえも見失ってしまうような無闇矢鱈で投げやりな極限。自由はなかったけど、あの頃の方が近かったと感じる虚しさ。ハズレの自分。あまりにも世界は自分に優しくなくて、この先良いことなんてありっこないよと思える。でも、喜多川さんがずっと願い続けたただ一つの思いが叶うまでの長い道のりをほんの少しだけ垣間見ることができる。これはそんなお話です。私はこの講談社版を読み終えたすぐ後に紙も買いました。崇史さんは本当にどこにでもいる普通の男の人なんだと思う。迷ったり、自信がなくなったり、とても運が悪かったり。でも、喜多川さんの不遇な生まれに同情して、優しくしてあげたくなったり、知らないことを教えてあげたり、そういう気持ちの優しさって後からどうこうできる物じゃないと思う。生まれ持った気質が、心が本当に優しい人で、だからこんなに好きになったんだと思う。この人じゃなきゃダメなんだよ。講談社版には未収録の短編でその本当の優しさってヤツに打ちのめされて、あまりにも喜多川さんが幸せそうで何度も泣きました。涙なしには読めません!喜多川さんにとっての幸せっていうのは、あまりにもささやかで、図にのった特大のわがままも全然わがままじゃない。木原音瀬先生の本は2年ぶりぐらいに読みましたが、本当にめちゃくちゃ胸の中刺されまくって、しばらく何も手につきませんでした。崇史さんに撫でられると本当に気持ちよくて、幸せで、でも切なくて泣きたいような気持ちになるのなんかわかる気がするんだよな。崇史さんすきすきっていう気持ちにすごく引きずられて、しんどいです。犬を飼う相談をしてみたかったという可愛すぎる攻めが幸せになってくれて感無量
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