グッドナイト・ルーティン【電子単行本】
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グッドナイト・ルーティン【電子単行本】

丸木戸マキ

風呂嫌いという設定がよい

ネタバレ
2025年8月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 風呂が嫌いなサラリーマンが後輩と再会して、というなんともシンプルな設定と、表紙の絵の感じにひかれて購入。自分に好意を持ってて、かつ家事が得意で甲斐甲斐しく世話してくれるイケメンくんて、読んでて羨ましくなる設定。
ゲイの和葉がミカの思わせ振りな態度に心乱されつつの、和葉の元カレの登場、ミカの待ち受けの写真の女性は実は母でした、的な王道の誤解と嫉妬を経て最終的にはうまくいって合体するというわかりやすい話し。
ミカの独占欲や嫉妬ぶりはなかなか好みだったけれど、それ以外はもうひとおしキャラたちに魅力がなくて、あまり萌えられなかった。むしろ元カレ大河と和葉の組み合わせのほうが気になってしまった。この二人の話しおもしろそう。
ただ、この作品のよかった点として、BLで濫用されている過去の失恋のトラウマとか、大人になって臆病になったとか、とってつけたような家族との確執とかに頼ることなく、「風呂が苦手」という地味な設定を中心に話を進め、BLを書こうとした姿勢に好感をもった。こういう作品もっと増えてほしい。

絵柄は受けと攻めの顔をちゃんと書き分けているし、裸体の厚みもよかったし、全身のバランスも悪くなく、絡みも安心して見ていられた。濡れ場はよかったんだけれど、和葉が「やだぁっ」とか言うのがなければもっとよかったな。ちょいちょい顔を出す和葉のかわいこちゃん的な部分が微妙にはまれない。

丸木戸先生は本作が初読み。P52の1コマ目のエクセルの「MS Pゴシック」の感じとか(というか仕事のPCで何やってんのか、うっかり消し忘れたら危険だからやめなよ、とひやひやした(笑))、大河のTシャツがリアルに高額なNir◯anaのヴィンテージものだったりとか、そこそんな風にこだわって書く?みたいなところで書き込みが妙に細かくて、作者様の作風なのか、ただ単にNir◯anaが好きなのか。

なお、どうでもいいことですが、最後のおまけページにあった登場人物のプロフィールに、血液型や誕生日と一緒に「MBTI」が書かれており、若者の真似してMBTI診断をやってみるも、自分のMBTIのアルファベットたった4文字が、どうしても覚えられないポンコツおばちゃんな私は、こんなところで新しい時代の流れを感じたのでした。
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