次期公爵夫人の役割だけを求めてきた、氷の薔薇と謳われる旦那様が家庭内ストーカーと化した件
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次期公爵夫人の役割だけを求めてきた、氷の薔薇と謳われる旦那様が家庭内ストーカーと化した件

皐月めい/石沢うみ

溺愛系じゃなくてドロドロした重い話です

ネタバレ
2025年8月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「冷血な夫が家庭内ストーカー」とありますが、かなり重く暗い話です。無料サンプルに出てくるライバルっぽい嫌味な令嬢も恋愛感情なんて全然なく、実は…という感じです。(以下、ネタバレ感想)

「氷の薔薇」とされる夫ですが、出生と生育環境が壮絶すぎて毒父・毒養母のせいでおかしくなってしまいました。
実母は国王の庶子(美しい奴隷に手を出して生まれた)で公的に姫君として名前も顔も出ていなかった。
彼女の銀髪に青い目&美貌に一目惚れした「愛する女性を見つけるとストーカー化し、重い愛で恋愛対象を苦しめる呪われた公爵家」の毒父が無理やり妻にしてしまい、抱いた結果生まれたのが夫。
毒父は夫の実母を人目に触れさせたくないからと、「息子の母親役」として貧しい侯爵家の銀髪青目の令嬢を替え玉にしてしまいます。(この女性がちょいちょい出てくる公爵夫人)
皮肉にも主人公のように「借金で仕方なく嫁いできた初日、息子の母親役を求めているだけで愛する気も抱く気もない」と突き付けられ、家では毎日夫が息子の実母を溺愛している惨めな生活を送って病んでいってしまいました。
夫の実母が死亡するや(公爵夫人は何もしていなかったっぽいのですが)発狂した毒父、愛した女性の亡骸を埋葬もせず腐らないよう棺に入れて自宅に引きこもってしまいます。
公的に結婚していないため、死亡した女性は王族の墓に亡骸を入れることになるため、そんなの絶対嫌だと駄々をこねるんですね。

さて、この時点で少年まで成長した夫は「お母様(実母)と母上(公爵夫人)が別人なのに同一人物の演技に合わせなきゃいけない、しかも人には絶対言えない」という秘密を抱えさせられた挙句、継母となる公爵夫人から「憎い公爵の子、あいつのように愛する存在を苦しめるとんでもない男になる」と八つ当たりじみた酷い扱いを受けます。
飼っていた犬に毒を盛られる、好物の料理やお菓子に毒を盛られて食べさせられる、懐いていた乳母が失明するまで暴力を振るわれて解雇になってしまう…そんな風にして庇ってくれる使用人すらいなくなってしまいました。
公爵夫人は「愛する人、好きな物が出来てはいけない」と継子を攻撃しまくるので、公爵は妻にした主人公に冷たい態度を取り続け、恋敵っぽかった女性も「妻が攻撃されないよう、自分が公爵を愛している振りをしなければ」と演技を…という仕掛けでした。
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