殿とつばめ
」のレビュー

殿とつばめ

小石川あお

全てを失って得る愛

ネタバレ
2025年9月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 時代でいうなら大正から昭和初期あたりかしら。その頃の古き良き美しき日本が舞台。とにかく絵が綺麗。ケンタウロスのような坊ちゃんの姿に度肝を抜かれました。坊ちゃんがだらしなく着崩した姿も良いし、軍服姿も良き。ちゅうしたら卵が生まれちゃうーってとことか微笑ましい🤭皆さま書いておられる通り、読んでる途中で「幸せな王子」のオマージュだと気づく。でもあくまでもベースにしてるだけで、坊ちゃんが身体の宝石を血を流しながら剥ぐ理由はたったひとつ。ストーリーは前半と後半で音調が変わるイメージ。渡りまでの時間のなさに追い立てられるように、坊ちゃんと乙鳥の歯車が噛み合わないままぐるぐる回って翻弄されて。切ない通り越して読んでて苦しくなる感じ。くったりと力なく坊ちゃんのスリングに抱かれる乙鳥。描写上手いなぁ…。坊ちゃんと乙鳥が乗る船は、今はどこを走ってるんでしょうね。こういう作品、好きです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!