このレビューはネタバレを含みます▼
作家の父×家政夫、純平
朝のひと幕より執筆
2階から下りてくる影は制服に見を包んだ晴輝だ。
眠気に霞んだ目元は無防備で、あくびのせいかつややかな髪がサラリと揺れた。
台所では純平が晴輝に持たせる弁当の支度をしている。Tシャツとジーンズの上に無造作に掛けられたエプロン。その布越しにも鍛えあげられた体躯が隠しきれない。
「おはよう、晴くん」
純平はフライパンをあおりながら、器用に菜ばしで卵を返していく。
「あれ、父さん、まだ起きてへんの」
スマホに視線を預けたまま、晴輝はなかば夢の続きのような覇気のなさだ。
「とっくに起きて仕事してるよ」
純平は落ち着いた調子で返した。
「また俺の弁当が可愛いなっとる」
照れ隠しが混じった声で晴輝が歩みを進める。その声は少しぶっきらぼうに響いた。
「今日はクマちゃんにしてみました〜」
背中からのぞき込む晴輝に、純平はいたずらな微笑みを返した。
障子から洩れる朝陽は、柔らかな温度でふたりを包んでいた。
……校正をされる皆さまスルーしてください┏○))
そうなんです。文字にしてみれば、主人公である「父」は漢字だけしか登場しないんです。ページを進めてやっと父が顔を出します。なので、息子と家政婦の話だと勘違いしてしまいました。
いや、タイトルをみれば、確かに息子の晴輝視点なんですよ。「父の愛人」ですし。
この意外性にちょっと驚き。そのあとにくる、純平と父の濃厚な絡みに驚き。
一巡目はいつも深く考えずに読んでしまうため、父の愛人の純平と、息子がネトラレ?とアホな思考になっていました。
二巡して、きちんと呑み込み、やっぱり感性がなんか違うんだよね、と思ったりしております。もちろん、素敵という意味です。
ベッドシーンの肉々しさがお気に入りです。これからも応援しております。
次作も楽しみです( * ॑꒳ ॑*)♡