カリギュラの恋
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カリギュラの恋

みちのくアタミ

SとМの美学

ネタバレ
2025年9月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ こちらの作品は「SとM」の物語ですが、安心してください! 痛いプレイはほとんどありません!
痛い描写が苦手な私でも、楽しく読むことができました。(しかし、プレイ自体はかなーり、ものすごーく、非常に、とても濃厚です!)

そもそも「カリギュラ」とは、残忍な性的倒錯者であったというローマ帝国の第三代皇帝。
しかし、現代ではカリギュラそのものより、「カリギュラ効果」の方が有名ですね。
カリギュラ効果とは
「禁止されると、いっそうやりたくなる」こと。
つまり
「ダメだと思えば思うほど、そのダメなことに心奪われる」ことです。

成瀬先生と堂山清高が学校で繰り広げるプレイの数々も、まさにそれで。
『こんなところで教師である俺が』
『こんなことしてはいけないと分かってるのに……』
『分かってるのに』
『なのにーー…!』
と、教師の立場とMとしての欲求との間で悶える成瀬先生の姿が健気です。

そして、そんな成瀬先生を大人びた美貌と手慣れたプレイで翻弄する、とても高校生とは思えない堂山。
高校生の頃から大人っぽいので、大学生になってもほぼ見た目は変わりません(笑)
彼の「ご主人様スタイル」が、これまたカッコいいんです。
そして、堂山一族の「Sの遺伝子」にも驚愕します(笑)

本作を読むまでSとMにはあまり詳しくなかった私ですが、
一見MがSに従属しているようで、実はSの方がMに献身的に尽くしていること、肉体的な痛みが苦手なMもいること、信頼関係がなければ、SとMのプレイは成立しないこと、必ずしもS=攻めではないこと
などなど、本作品のおかげで大変勉強になりました。(みちのくアタミ先生に心より感謝)

堂山が成瀬先生を心から大切に想い、全力で彼を守ろうとする姿に、「Sの矜持」と言いますか、「SとMの美学」を感じるのです。

現在3巻まで刊行されており、今夏から第4シーズンの連載開始とのことで、4巻の出版が今から楽しみです。
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