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今月(5月1日~5月31日)

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シーモア島
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  • 后と河

    山中ヒコ

    河が繋ぐ皇帝と臣下の愛…神作品です!
    ネタバレ
    2026年3月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 中国が舞台の歴史ものBLで、まだ完結していませんが、面白くてドキドキしてBLとしての満足度も高い神作品です!

    ストーリーのモデルとなっているのは、後漢時代。
    明帝ならぬ「名帝」が治めている国家の大きな悩みは、黄河ならぬ「光河」の氾濫でした。
    独学で治水を学び研究に没頭していた貴族の王景ならぬ「王佳」は、ある日宮廷に呼び出されます。

    そこで皇帝から、極秘裏に妹の代わりに入内し、日中は役人として治水事業に従事し、夜は自分と治水工事について語らうことを命じられるのです。
    内心「?」と思いながらも、光河の治水のためならと、素直に女装して後宮に入る王佳。

    寝所で皇帝から触れられても添い寝されても、「規則なのだ」と言われれば素直に納得してしまう、王佳の世間知らずな天然っぷりが初々しいです(笑)

    不器用な上、言葉足らずな癖に思ったことをすぐ口にしてしまうので、役所の人間関係も皇帝との関係も思うようにいかず落ち込んでしまう王佳。
    しかし、皇帝から助言を受け、少しずつ王佳は変わっていきます。
    でも、役所の皆と打ち解けたら、今度は皇帝が嫉妬の感情を抱くように。

    そもそも、どうして皇帝がここまで王佳に執着するのか?
    皇帝が王佳を入内させた本当の目的は?

    その謎は1巻終盤で明かされるのですが、皇帝の一途な想いがこれまた尊いんです。

    ですが、二人の関係はなかなか進展しないまま、2巻に突入します。(2巻で、1巻ではまだ〇〇できてなかったことが判明したのが衝撃でした笑)
    ようやく良い感じになったと思ったら、再び王佳の不用意な一言で二人はすれ違い、そのまま王佳は役所の仲間たちと1か月にわたる治水工事の現地調査の旅へ。
    そこで大きな問題に直面し、自分の考えは机上の空論だったと落ち込む王佳でしたが、その王佳に一筋の光をくれたのは皇帝でした。

    自分の皇帝への気持ちに、ようやく気付いた王佳。
    都へ戻り皇帝に自分の想いを告げ、やっと二人が心身ともに結ばれようとするところで!なんと!2巻が終わってしまうのです!(涙)

    3巻が待ちきれません!

    王佳を長年にわたって見守ってきた、皇帝の執着ラブもたまりません。

    時に王佳を守り、時に王佳の〇〇を妨害し…と、皇帝の独占欲丸出しの愛がとにかく尊いんです。(それなのに手が早くないのがこれまた良し!)

    全力でオススメできる神作品です!
  • イキガミとドナー 二人のイキガミ

    山中ヒコ

    心を揺さぶられる、号泣必至の感動作です!
    ネタバレ
    2026年3月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作も泣けましたが、続編であるこちらも号泣必至です。

    主人公は、前作でも登場した防衛省職員の柴田と、彼に恋心を抱くイキガミの滝。

    物語は、柴田の過去から始まります。
    防衛省のエリートコースを邁進していた柴田でしたが、ある日異動を命じられます。
    その理由は、健康診断でイキガミのドナーであることが判明したからでした。

    初対面で柴田に一目惚れしてしまう、パートナーのイキガミ春人。
    そんな春人を、自分の職務上の成果に利用しようと考える柴田。

    しかし、春人から好意を向けられるうちに、柴田の内面も少しずつ変わっていきます。

    そんな時ある出来事が起こり、それ以降柴田は春人の気持ちに寄り添えるようになりますが、春人は大きな心の傷を抱えるようになります。

    春人は自分が生きているうちに、柴田に自分にでき得る限りの愛を示そうとします。
    この時の春人の心情を思うと、泣けてきます…。
    愛を誓い共に過ごし、本来ならば幸せなはずなのに、精神的に追い込まれ塞ぎがちになっていく春人。
    それを複雑な想いで見守る柴田。

    そんな時、2人にとってあまりにも残酷な出来事が…
    涙を流しながら、初めて「好き」という言葉を口にする柴田。
    しかし、それはもう遅すぎたのです。

    それ以降、柴田の生きる目的となったのは、自分から春人を奪った政府への復讐でした。
    その復讐は、それから10年後となる前作『イキガミとドナー』で果たされますが、その後柴田は突然防衛省を退職します。

    復讐を果たしても何のカタルシスもなく抜け殻のようになった柴田は、セルクネグレクトに近い生活をしています。
    そんな柴田を愚直に追いかける滝。

    柴田は滝に身体を許しますが、悲しいことに心は春人にとらわれたままです。
    滝に抱かれながら「助けて」とすがる柴田。
    しかし、柴田は滝の前から姿を消します。

    過去の後悔や喪失感という泥沼の中でもがき苦しむ柴田は、そこから抜け出したい気持ちはあれど、自分への怒りから新たな人生を歩むことを自身に許すことができません。

    柴田の行方を追う滝と、何度も逃げる柴田。
    それを繰り返すうちに、柴田はある事件に巻き込まれます。
    生命を奪われそうになって初めて、自分の本当の気持ちに気付いた柴田。
    その時、滝は柴田の前に姿を現して…

    このドラマティックな展開は、ぜひ本編でご覧下さい。
    エピローグも感涙必至ですよ!
  • イキガミとドナー

    山中ヒコ

    出会えて良かった!感涙必至のまさに名作!
    ネタバレ
    2026年3月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 重厚なストーリーで考えさせられるSF物ですが、同時にとても尊い純愛ストーリーが核になっています。

    近未来のJ国。国防の要となっているのは兵器でも戦艦でもなく、「イキガミ」と呼ばれる新しい能力を持った人間兵器。

    イキガミは兵器による攻撃では傷ひとつ付けられませんが、イキガミ同士の闘いではダメージを受けてしまいます。

    イキガミ同士の戦闘では、内臓破壊や身体の欠損という重症を負うことも珍しくなく、国家的財産であるイキガミを少しでも長く戦わせるため、防衛省はイキガミと適合するドナーを探し出し、ドナーの身体の全てを捧げる義務を課していました。

    そうやって出会ったのが、イキガミの中でも最強と謳われる鬼道と、ドナーの吉野でした。

    イキガミには、ドナーの唾液や体液は蜂蜜のように甘く、ドナーの唾液で治療や体力回復に繋がるところなどは、オメガバース物やあるBL作品を思い起こしますが、それらと決定的に異なるのは、イキガミが失った眼球や身体の一部、時には内臓を、ドナーはイキガミに捧げないといけないところです。

    まさに、文字通り全身ドナーな訳です。

    ドナーに選ばれたばかりの頃は、鬼道を治療することに抵抗を覚えていた吉野でしたが、ある出来事を切っ掛けに鬼道に心を向けるようになります。
    そして、その出来事は鬼道にも衝撃を与え、それまではただ本能的に吉野を求めていたのに、自分が本当はドナーに何を求めていたのかを自覚します。

    それを自覚した時、鬼道は、自分がもし大きな怪我を負えば、それが吉野の身体を奪うことに繋がってしまうということに、葛藤を覚えるようになるのです。
    そして、その葛藤が実戦にも影響を与えてしまい…

    好きな鬼道のためなら全てを捧げてもいいと思うようになった吉野と、吉野のことを好きになればなるほど大切に思えば思うほど、吉野をドナーとして見られなくなってしまう鬼道。

    ある時、吉野は鬼道に、一緒に10年後の自分へ手紙を書こうと提案します。
    その場面がとても泣けるんです…。
    普通の人であれば様々な未来の可能性を思い浮かべることができるのに、2人にとっては、10年後無事である可能性さえほぼないという…

    2人が、どのような手紙を書いたのか?
    そして、その手紙と同じ結末を迎えることができるのか?

    そこから二転三転する怒涛の展開で、感涙必至なので、ぜひ本編でご確認下さい!
  • 500年の営み

    山中ヒコ

    ハッピーエンドの定義を考えさせられる物語
    ネタバレ
    2026年2月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 今まで記憶に残る作品はいくつかありましたが、たった1巻でここまで強烈なインパクトを受けたのは、これが初めてかもしれません。
    それくらい強く心を揺さぶられました。

    主人公は山田寅雄。
    寅雄の最愛の恋人が太田光。
    名前でずっこけた、そこのあなた!
    私も、ギャグめいた名前に最初は戸惑いました。
    しかし、深く重い物語を読み進めるにつれ、この名前の現実味の無さが有り難く思えてくるのです。

    スタートから不穏です。
    まず光が轢死したニュースが流れます。
    その直後、寅雄はマンションから身を投げます。
    「光がいないなら生きていても仕方ない」と。

    九死に一生を得た寅雄が目覚めたのは250年後。
    目の前には死んだはずの光が…。
    でも、目や髪の色も中身もちょっと違う。
    その正体は、本物の光よりも3割減のアンドロイド、ヒカルなのでした。
    奇妙な同居生活をするうち、寅雄にとって光の代用品ではないヒカルそのものになった頃、突然ヒカルは姿を消します。

    なぜ、ヒカルは突然いなくなったのか?
    そして、寅雄が取った行動とは?

    ラストは思いきり泣けます。
    そして、そのラストが単純なものではなく、ハッピーエンドなのか否か、人によって解釈が別れそうなのです。

    主人公は、あの場所に生きてたどり着けたのか?
    アンドロイドが250年もの間、過酷な環境で作動し続けることができたのか?
    無事に2人が会えたとして、あの場所で生きることができるのか?
    最後の二人の服装の意味は?

    現実的に考えれば考えるほど、ハッピーエンドとは思えない要素があり過ぎるのです。
    もしかしたら最後の場面は、2人が夢見た光景なのかもしれない。

    しかし、もし物理的には実現しえなかったラストだったとしても、それはバッドエンドなのでしょうか?
    私にはそうは思えません。

    光亡き後「生きることの意味」を失った寅雄は、ヒカルという存在を得たことで、また生きる希望を持つことができました。
    寅雄は500年という年月を経て、ようやく生きる希望を得て、生まれて初めて精一杯「生きること」ができたと思うのです。

    だから、もし現実の結末があの場面通りでなかったとしても、寅雄にとっては紛うことなきハッピーエンドだと。
    それは、アンドロイドでありながら人間の寅雄に愛されたヒカルにとっても。
    このように、ハッピーエンドの定義を考えさせられる深い深い作品でした。
  • Ωの花燭 共鳴恋情

    岩本薫/幸村佳苗

    李里耶様の魅力の虜に、ぜひあなたも!
    ネタバレ
    2026年2月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『αの花嫁』の続編で、前作でも登場した李里耶さまが主人公の作品です。

    こちらも、いわゆるオメガバース物の王道とは一線を画した作品で、一捻りも二捻りもした設定なので、私のように普段オメガバース物を読まない方でも楽しめる内容だと思います。

    そして何より、李里耶さまがとにかく美しいんです!
    子どもの頃の李里耶さまも、美しくて可愛い!!

    物語は、李里耶さまが8歳の頃から始まります。
    父と訪れた燕城路家で、出会った幼い男の子。
    その男の子との出会いが、後の李里耶さまの運命を大きく動かすことになるのです。

    その後は男の子と会う機会のないまま、李里耶さまは成長しますが、思春期になってもまったく発情期を迎えず、心配した父親が病院に連れていき検査しますが、異常は見つかりません。

    発情期がまったく無く、いつもクールなことから、氷の女王と呼ばれている李里耶さま。
    しかし、母方の曾祖母である瓜生家のパーティーに出席し、そこで突如発情期の症状が出ます。
    オメガフェロモンに気付いた、悪名高い従兄弟のアルファからあわや襲われかけた時、助けてくれた年下の男性。

    彼はいったい何者なのか?
    なぜ大人になっても発情期のなかった李里耶さまが、この場で発情を迎えてしまったのか?

    それが明らかになった時、壮大で運命的な恋が始まります。

    現在2巻まで刊行されており完結していませんが、2巻ラストがこれまた気になって仕方のない終わり方なのです。
    3巻が待ち遠しくてなりません!

    燕城路旺の李里耶さまへの執着は凄まじく、正直不気味なほどですが(笑)、李里耶さまに釣り合う男になるため、一生懸命努力してきたんだろうなあと思うと、微笑ましくもあったり(笑)

    そして、普段はクールな氷の女王が、びっくりするくらいエロくなる場面が、これまたたまらないんです。

    クールビューティーな麗人が、自分にだけみだらな表情を見せてくれたら、そりゃあ旺も夢中になるよなあと、納得する次第で。

    BL好きな方なら絶対に李里耶さまの魅力にやられてしまうと思うので、普段オメガバース物を読まない方にも、胸を張ってオススメできる作品です。

    李里耶さまの虜に、ぜひあなたも!
  • αの花嫁 共鳴恋情 【コミックス版】

    岩本薫/幸村佳苗

    美麗で耽美な「誇り高き受け」がたまらない
    ネタバレ
    2026年2月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ふだんオメガバース物はあまり読まないのですが、こちらは画の美しさに惹かれ試し読みして即購入に至った作品です。

    もう1巻の表紙からたまりません。
    美麗、華麗、耽美、妖艶、甘美……これらの言葉を具現化した世界が、たっぷり堪能できます。

    こちらの作品はただのオメガバース物ではなく、アルファ家庭でアルファとして生きてきた主人公理玖が「魂のつがい」である首藤圭騎と出会ったことでヒートを起こし、実はオメガであったことを知るところから物語は始まります。

    アルファの両親から生まれるのはアルファだけのはず…それなのに、なぜ理玖はオメガなのか?

    理玖の出生の秘密、自分がオメガという事実を受け入れがたい理玖の葛藤、しかし圭騎を強く求めてしまう理玖の肉体…
    アルファの精神とオメガの肉体の間で、激しく揺れ動く理玖。

    そして、そんな理玖に対して、時に冷静に、時に情熱的に、関わっていく圭騎。
    圭騎から攻められながらも、精神的アルファとしての誇りを持ち続けている理玖がたまらないのです。

    まさに誇り高き受け。

    理玖は圭騎に庇護されることは望まず、首藤家に相応しい存在になるため努力します。
    そんな理玖を預かり、オメガとしての処世術を授けるのが、首藤の友人であり続編の主人公でもある李里耶さま。

    最初は理玖に懐疑的な視線を向けていた李里耶さまでしたが、圭騎の親族に酷い仕打ちを受け打ちひしがれた理玖を預かり、彼が前向きに生きられるよう導きます。

    「自分の力で人生を切り拓いていくのか、アルファの愛玩動物として生きていくのか」
    「自分の人生を生きたいのなら、そのために何をすべきなのかをよく考えろ」
    そんな言葉を投げ掛けられ、理玖はアルファの誇り高い精神を取り戻すため、圭騎にふさわしい人間となるため、懸命に努力します。

    そして、理玖が高校を卒業した日、理玖と圭騎は1年ぶりに再会します。

    彼らの関係はどんな結末を迎えるのか…

    それはぜひ本編にてご確認下さい!

    ちなみに、私の萌えポイントをご紹介すると…

    理玖の幼妻ぶりが可愛くて健気です。
    無表情な圭騎が、思わず頬を緩めてしまうくらいの愛らしさ。
    圭騎がどんどんデレになっていき、理玖から初めてフェ◯された時の表情なんてもう!

    濃厚なラブシーンもたっぷりなので、ぜひぜひ本編でご堪能を!
  • 雷々来世

    野白ぐり

    時空を超えた2人の純愛が尊すぎる!
    ネタバレ
    2026年1月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ただの転生ものとは一線を画す、ファンタジーの名手野白先生の魅力がたくさん詰まった作品。

    主人公七星は前世の記憶を持った高校生で、かつて主人であった雷央が転校生として目の前に現れたところから物語は始まります。
    七星と再会して喜ぶ雷央に対して、「おまえには会いたくなかった」と言い放つ七星。

    どうして、七星はそこまで頑なに会いたくないと思っていたのか?
    雷央が忘れてしまっている前世の記憶とは?

    2人の現在と前世が交互に描かれ、徐々に、前世で2人が互いにどのような感情を抱き、どのような運命を辿ったのかが明かされていきます。

    七星のことを想いながらも自分の立場に抗えず、ただ義務を果たすしかなかった、かつてのレオ。
    そんなレオの姿を見て傷つきながらも、傍を離れることができなかった七星。

    結ばれることのなかった、かつての2人。

    前世の主従関係では絶対に行えなかったことを、現世で一緒にする2人の姿が本当に尊いです。

    しかし、そのように雷央との時間を過ごしても、前世での悲恋がトラウマになっている七星は、記憶の一部を失っている雷央のことをなかなか受け入れることができません。

    でも、雷央の言葉を切っ掛けとして、自分が主人であるレオに誓った約束を思い出します。
    『どうして忘れていたんだろう』
    七星がそう思った瞬間、今まで抑えてきた感情が一気に溢れ出します。

    その後2人がどうなったかは、ぜひ本編にてご確認下さい。
    多幸感溢れるラストが待っていますよ!

    巻末の後日談では、2人のイチャイチャラブラブシーンをたっぷり堪能できるのですが、前世での悲恋を知っているからこそ感動もひとしおです!
  • 新装版 月はみちかけケモノの恋

    野白ぐり

    ラストの余韻に感動して泣きそうに…
    ネタバレ
    2026年1月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 読了後、泣きそうなくらい感動した1巻完結作品です。

    人と異形の恋に、本当のハッピーエンドってあるのかな?と、つねづね私は思っていました。
    だって、一方が人間で一方が異形である限り、寿命が異なるので、異形側が取り残されてしまう訳で。
    吸血鬼ものなら、相手を同じ種族にしてハッピーエンドにすることも可能ですが、異形ものの場合はなかなかそうもいかず…。

    そんなジレンマに感動的な最適解を示されているのが、野白先生のこちらの作品です!
    ああ…そんな宿命をこういう感動的なラストに繋げられたのか…と、読了後は野白先生の天才ぶりに「ブラヴォー!」と拍手喝采したくなりました。

    主人公は、都会の生活に疲れて、親戚宅の管理をするため田舎に越してきた、伊月。
    裏山の朽ち果てた神社で異形に襲われたところを、その神社の狛犬だった狛に助けられ、その後いきなり挿れられちゃいます(笑)
    といっても、単に狛が盛っていた訳ではなく、ちゃんと挿れた理由があります(笑)

    人にも神にも見捨てられ、寂しさから妖かしになりかけていた狛。
    上手に自分を表現できず、都会の人間関係に疲れきっていた伊月。
    一緒に生活するうちに、互いの寂しさを理解し共感することで心身ともに親密になっていく2人でしたが、そのうち狛に異変が現れるようになり…。
    伊月のことを想い、離れることを決意し姿を消した狛でしたが、伊月はそんな狛を追い掛けて……
    といった、ストーリーです。

    狛の境遇が悲しすぎるがゆえに、余韻ある結末には涙するほど感動します。
    2人の何気ない日常、その一つ一つ全てが宝物。
    この作品を読むと、自分ももっと何気ない幸せに気付きながら毎日を大切に生きていかないとな…と思わせられます。

    そして、サブキャラの猫ちゃんがとにかく可愛い!
    猫好きにはたまらない萌えシーンもたくさんあります。

    ラストはハッピーエンドながら、しんみりとした余韻ある終わり方なので、その後の描き下ろしで気持ち的にかなり救われます。

    なので、これから読まれる方はぜひ新装版で!
  • 【電子限定特典付】つかの間の恋人

    りんこ/三原しらゆき

    1巻も2巻も感動的な純愛が詰まってる!
    ネタバレ
    2026年1月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ メンズデリバリー業界が舞台ですが、とてもキュンキュンする純愛物語です。

    主人公は、人気小説家の蒼井良平。
    今までピュアな小説しか書いてこなかった彼が、新たな路線の作品に取り組むべく、意を決してデリバリーヘルスを試そうとします。

    というのも、29歳にして付き合った経験もなければ性経験もないので、大人路線の小説を書こうにも全く知識がないのです。

    そこで、風俗嬢にいろいろ教えてもらおうとした訳ですが、そんな良平に手取り足取り教えてあげちゃうのが、美人キャストのケイちゃん。
    良平は綺麗な女の子を選んだつもりだったのに、ケイちゃんは女性のように綺麗な男性でした。

    このように2人は、客とキャストとという身体から入った関係なのですが、いわゆるデリバリーの印象とは異なり、どこまでもピュア、なのにエロい(笑)もう最強です(笑)

    良平に初めて触れる際の、ケイちゃんの言葉が男前でカッコいいんです。「キスと本番は好きな人としな。それ以外なら俺が全部教えてあげる」

    そんな風にお仕事として一線を引いていたはずのケイちゃんでしたが、全てが初体験の、良平の初々しくて素直な可愛らしさに、愛おしさが募っていきます。
    良平も、ケイちゃんのことがものすごく気になっているのに、恋をした経験がないので、自分の感情の正体が分からない。

    そんな中、ある出来事が2人を刺激し、そこから紆余曲折があるのですが、2人が最後どうなったかは、ぜひ本編でご確認下さい。

    ちなみに、電子限定版の描き下ろしでは、2人の「その後」とケイちゃんのスパダリぶりを見ることができます。

    ピュアで可愛い純愛ストーリーだけどエロ満載がお好きな方は、ぜひぜひ!

    2巻では、1巻でナイスアシストをしたカノンが主人公です。

    デリバリーの仕事では、いろんな男を抱いたり抱かれるカノンですが、心から愛する相手と結ばれたことはありません。
    というのも、愛したのは絶対に結ばれるはずのない相手だったから。

    カノンのトラウマやひたすら隠そうとする恋心が、とても切ないです。
    そしてカノンが愛してる相手も、秘めた気持ちを抱いていて⋯
    涙なくしては読めない感動の結末は、ぜひ本編でご確認下さい!
  • グレープフルーツムーン

    芹澤知

    作家様買いです!タイトル通りの爽やかな恋
    ネタバレ
    2026年1月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ケーキをこよなく愛する大学生と、天才パティシエが主人公の1巻完結作品。

    ケーキが大好きだけれど不器用すぎてケーキは作れない香月は、子どもの頃から慣れ親しんできたケーキ屋さんでバイトをすることに。

    しかし、そこでケーキを作っていたのは、子どもの頃見ていたパティシエではなく、若き天才パティシエ洋一郎。

    洋一郎は、病気で亡くなってしまったパティシエの代わりに、見事同じ味を再現していたのでした。

    最初は何かと衝突していた2人でしたが、香月は洋一郎の才能に、そして洋一郎は香月の純粋なケーキ愛に、互いに惹かれ、心の距離が次第に近くなっていきます。

    そして、その想いはいつしか特別なものになっていき⋯⋯といったストーリーです。

    元有名ホテル勤務という輝かしい経歴と、抜きん出た才能もある洋一郎が、なぜ商店街の小さなケーキ屋で、自分のオリジナルではないケーキを作ることに甘んじているのか?

    その理由は、後編で語られます。

    美味しいケーキを作りたいというモチベーションとなっていた存在が、遠いものになってしまったから。

    芹澤先生ははっきりとは描かれていませんが、洋一郎にとってその存在は初恋の相手だったのではないかと、私は解釈しました。

    誰かのために何かをしてあげたいという気持ちって、大きなエネルギーであればあるほど、それを失った時の喪失感も大きいんですよね。

    洋一郎も、それで心にぽっかり穴があいてしまった訳です。

    しかし、そんな時に香月が現れてくれた。

    香月のために、洋一郎が心を込めて作ったケーキは、洋一郎が新しい一歩を踏み出すことができた証。

    2人は、新たな夢に向かって一緒に進んでいこうと約束します。

    ピュアでハートウォーミングなストーリーに相応しく、ラブシーンはキスだけですが、それがまた爽やかでいいんですよね。

    描き下ろしの赤い糸ならぬ『甘い糸』では、2人の運命的な縁を知ることができます。

    読了後、温かい気持ちになれる作品なので、ほっこりしたい時にぜひどうぞ!
  • 放浪犬と迷い猫【SS付き電子限定版】

    九號

    純愛BL好きには☆5つの満足作品!
    ネタバレ
    2026年1月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様買いしたのですが、読了後、この内容とクオリティでなぜレビューがそこまで高くないのだろう!?と、解せない気持ちになってしまいました。

    人によって「刺さる刺さらない」ところが違うのは承知していますが、個人的には間違いなく☆5つの内容で、純愛BLものがお好きな方にはぜひともオススメしたい作品です!

    『羊の皮』から九號先生のファンになった私にとっては、とても新鮮な気分で読める作品でした。

    まず、先生の他作品に比べて画のタッチが柔らかく、登場人物の顔も表情も可愛くて優しい!

    その上、美大の同級生同士の恋なので、ピュアで初々しくてキュンキュンする内容です。
    それでいてエロ満載なのですから、もう大満足!(ただしカップル以外のエロがそこそこあるので、心も身体も一途系恋愛がお好きな方には地雷かも)

    ハードでバイオレンスな作品だけでなく、こういうロマンティックな作品も描かれるのかと、先生の新たな魅力を知ることができました。

    主人公は、今まで身体の関係はたくさん持ってきたけれど本当の恋は初めての吉見と、ずっと天才ゆえの孤独を抱えてきて、初めて心を許せる友達を得た加瀬。

    その2人が、7年ぶりに再会するところから物語は始まります。

    吉見と「会いたかった」と言う加瀬と、「会いたくなんてなかった」と言い放つ吉見。

    美大時代の2人に何があったのか、なぜ2人は7年もの間絶縁状態にあったのか、ストーリーが進むにつれ、その真相や2人の複雑な胸中が明らかになっていきます。

    過去と現在の2人の心の内や、新たな関係性を築いていく過程が丁寧に描かれているので、かつて結ばれなかった2人が初恋を成就するまでのハラハラドキドキ純愛BLをこよなく愛する方々には、必ず刺さると思います。

    2人の初めてのラブシーンでは、吉見のエチな魅力と、加瀬のムキムキムクムクな身体を堪能できます(笑)

    放浪犬と迷い猫が7年の歳月を経てようやく結ばれ、ワンコの放浪癖はともかく、ネコの方はもう今後絶対に心も身体も迷うことはないんだろうなと、タイトルの意味も深さにも脱帽。

    そして、電子限定版の描き下ろしがこれまた良いんです!
    当て馬兼2人のキューピッド役南室の「その後」が描かれているのですが、彼の人の良い魅力満載、とても心温まるエピソードで、読了後には南室の幸せを心から願う気持ちになることでしょう(笑)
  • 放蕩息子と恋の穴

    九號

    描き下ろしも素晴らしいのでぜひ電子版で!
    ネタバレ
    2026年1月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻完結ながら、電子限定版293ページと、ボリュームたっぷり読み応えいっぱいです。

    主人公は男子高校生の蒼佑。
    あまりにもヒドい女遊びに業を煮やした母親が、広島の姉宅に蒼佑を預けるところから物語は始まります。

    帰国子女で都会暮らしに慣れた蒼佑が、田舎の伯母の家に引っ越すことを良しとしたのは、初恋の相手である従姉妹の「みのりちゃん」に会いたかったから。

    しかし、いざ行ってみると、「従姉妹のはずが従兄弟だった」という衝撃の事実を知ることに(笑)
    女好きの蒼佑は落ち込みますが、穣(みのり)さんのふとした表情にキュンとしちゃう自分に戸惑うばかり。

    ある夜、穣さんのあられもない姿を見てしまい……
    といった、ストーリーです。

    蒼佑と穣の間には、血の繋がった従兄弟、教師と生徒、蒼佑はまだ未成年という、3重の高〜いハードルがあります。
    教師という立場と、正直で生真面目な性格の穣にとっては、そのハードルは越えてはならないもの。

    しかし、蒼佑の真っ直ぐで熱い想いと、ある事柄を切っ掛けとして、2人の距離はグッと縮まります。
    自分の殻を崩せない穣がその選択をするためには、このくらい大きな出来事がないと無理だよなあと、とても説得力のある設定はさすが九號先生。

    穣と蒼佑が選んだ答えは、ぜひ本編にてご確認下さい!

    ちなみに、巻末にある電子限定の描き下ろし『放蕩息子と秋の夜長と友情と』は、感涙もののとても良いお話なので、ぜひ電子版で読んでいただきたいです!

    大学時代に悲しく苦い経験をした穣ですが、そんな上辺だけの友達(とも言えないですが)がたくさんいるより、本当に自分のことを想ってくれる親友が1人いて良かったねと、心から思えます。

    コメディータッチのライトな作品でも、ホロッとする場面をサラッと挿入なさる九號先生ほんまに好きです!

    もちろんラブシーンも、先生らしい迫力ある画で、ドーン!ドーン!と出し惜しみなく描かれているので、たっぷりご堪能下さい!
    ※ちなみに2人が初めて結ばれる場面は、「ええ!?そんな所で!?」と驚くこと間違いありません(笑)
  • タカラのびいどろ[コミックス版]

    鈴丸みんた

    描き下ろしで明らかになる宝先輩の秘密!
    ネタバレ
    2025年12月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私の場合ドラマを先に観ていたので、何となく読むことが後回しになっていた作品です。

    ドラマですでにストーリーも結末も知っているし、果たして読んでも楽しめるのかな…という先入観がありました。

    しかーし! 読んでみたらー!! ものすごーく良かったです!!!

    やっぱりマンガとドラマは別物だなあと、つくづく実感した次第で。

    まず、鈴丸先生の描く、宝と大進のルックスが至高!

    ドラマのお二人もイケメンで可愛かったですが、やはり二次元の顔面偏差値はレベルがすごい!!

    そして、ピュアで一途でちょっと後ろ向きな大進と、俺様キャラに見えて実は優しくて誠実な宝が、もどかしいながらも少しずつ距離を縮めて恋におちていく過程がとても丁寧に描かれていて、ページをめくる度にドキドキハラハラキュンキュンが止まらないのです。

    特に大進があまりにも宝先輩を好きすぎて、ぐるぐる考えすぎてしまう場面は、シンパシーを感じすぎて他人事とは思えません。

    クールな宝が、最初は大進のビー玉のように澄んだ瞳に惹かれ、そして大進のガラスのように澄んだ内面の美しさにも魅力を感じ、初めて人を好きになる喜びを知る。
    まさに、びいどろのような大進が宝先輩にとって唯一無二の「宝」になった訳です。

    二人の純愛物語にふさわしく本編ではキスシーンしかありませんが、巻末の「描き下ろし」で二人の初セッ…シーンがたっぷり堪能できます。

    そこで、宝先輩のある「秘密」も明らかになるのですが、冷静に考えたら確かにそうだろうなと思うものの、宝先輩のビジュアル的にかなり意外な「秘密」なので、ご興味のある方はぜひ本作品にて確かめて下さい(笑)
  • 恋をするつもりはなかった-double-【電子限定描き下ろし付き】

    鈴丸みんた

    佳乃の天然魔性美人ぶりにキュン死する!
    ネタバレ
    2025年12月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『恋をするつもりはなかった』の続編で、2人が恋人になった後のお話てす。

    大学を卒業し新社会人になったロウは、職場の先輩ニコから塩対応されながらも、仲良くなろうとコミュニケーションに励みます。

    そんな中、ニコが涙する事態が起き、放っておけないロウがニコの部屋に泊まり込んで世話を焼いたことから、佳乃は複雑な気持ちになってしまい…といったストーリーです。

    ロウは、自分のせいでニコが傷付いてしまったという責任感と元来のお人好しな性格から、ニコをフォローしようと思うんですね。
    それをきちんと佳乃に事前説明して許可を得るところが、彼にとっての誠意なんです。

    しかし、ロウがどんなに佳乃に一途であろうが、ニコを恋愛対象として見ていなかろうが、自分との約束を反故にしてまで別の男の部屋に泊まることに、佳乃はモヤモヤムカムカしてしまいます。

    読者の私から見ても、佳乃のヤキモチはいたって当然で。
    でも、まだ若くて(真剣な)恋愛初心者のロウは、そこに思いが至らない。

    ロウに恋人がいることを知ったニコから、もし自分が逆のことをされたらどう思う?と訊かれて、ようやく自分が無神経な行動をしていたことに気づくんです。

    しかし、このことを切っ掛けに、佳乃はロウに以前より素直に本音を話せるようになったし、ロウはさらに佳乃を大切にしようと思う。
    まさに雨降って地固まる。
    ニコにも新たな恋の予感?を感じさせる終わり方で、読後感はとても良いです。

    何より魅力的なのは、佳乃のヤキモチの表現の仕方の愛らしさ!
    あんな美人があんな可愛い甘え方でヤキモチの言葉を言うなんて、もう全人類をおとせるのでは!?というくらい、キュン死します。

    セッ…してる時も、無自覚に煽る言動をするので、ロウがメロメロデレデレしっぱなしで、そりゃ朝まででも出来るよねって感じです(笑)

    前半はロウとニコとのやり取り中心で、ほぼ佳乃は出てこないのですが、後半の佳乃の天然魔性ぶりがあまりにもスゴくて、全部佳乃が持っていった感じで終わります(笑)

    鈴丸先生の描く「美人顔+天然魔性」のコンボは破壊力抜群なので、ぜひこの作品で佳乃の魅力にメロメロになって下さい(笑)
  • 恋をするつもりはなかった【電子限定描き下ろし付き】

    鈴丸みんた

    何気ない場面に伏線あり!
    ネタバレ
    2025年12月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 鈴丸先生には珍しく30歳リーマンが主人公ですが、先生らしくとてもピュアで初々しい主人公なので、社会人BLはちょっと…という方にもオススメです!

    30歳にしてキスも、もちろんセッ…も初体験の、超美人リーマン佳乃がとっても可愛くて魅力的なんです!

    佳乃の初めての恋のお相手は、今までずっとモテ人生を送ってきた、イケメン大学生ロウ。

    ロウはあまりにもモテまくってきたので、自分から告白することはおろか人を好きになったことさえありません。

    ゲイバーで知り合った2人は、出会ってすぐ勢いで関係を持ちます。

    初めて抱かれたロウに惹かれていく佳乃、そんな佳乃をなぜか牽制するロウ。

    佳乃に好意を持っていない訳がないのに、なぜロウは佳乃につれない態度を取るのか?
    ロウの本心はどこにあるのか?
    という謎が、読み進めるうちに明らかになってきます。

    すべてが分かった時にはきっと、最初のページに戻ったり、カクテルの意味を調べたくなることでしょう!

    何気なく思えた場面が大きな伏線になっているところが、さすが鈴丸先生ですね。

    初っ端の佳乃の♡シーンもとてもHですし、ロウとのラブシーンもしっかり濃厚に描かれていふので、BLとしての満足度も高いです。

    2人のその後が読みたくなったら、続編『恋をするつもりはなかったーdoubleー』もありますよー。
  • ゴールデンスパークル【電子限定描き下ろし付き】

    鈴丸みんた

    無垢なDKが手取り足取り教わる姿に萌え!
    ネタバレ
    2025年12月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ こちらの作品のいちばんの魅力は、主人公日葵の唯一無二のキャラです!

    女嫌いで、高校生になる今日までガラケーを使い、いわゆる高校生男子の常識的エロ知識が皆無という、ピュアなんだけど、性格は尖っている日葵という人物を生み出した鈴丸先生はスゴいとしか言いようがありません!

    夢精したら病気なんじゃないかと悩み、オナ◯ーのことさえ知らないDKとか、超萌えるんですけど(笑)

    そんな日葵に、座席が前後になったことで仲良くなった楽が、いろいろ教えてあげるんですねー。文字通り、手取り足取り(笑)

    楽に身体を触られているうちに、日葵は楽に特別な思いを抱くようになります。
    楽はといえば、周囲から恋愛経験豊富だと思われているけれど、人知れず悩みを抱えており、それゆえ日葵への感情を自覚して以降距離を取ろうとします。

    でも、それが2人の「好き」を加速させることになり…その後はキュンキュンドキドキの展開が待っています。

    初っ端からエロシーン満載の本作品ですが、友達から恋人へと昇格した後の2人のラブシーンがたまらないんです。
    そして、エロに目覚めた日葵はスポンジが水を吸うように、エロの知識を深めていき、楽が「好きな子がどんどんエロくなってく恐怖!!」を覚えるほどで(笑)

    描き下ろしの2人も最高に可愛いです。

    鈴丸先生の描く高校生は、イケメンなんだけどとても可愛くて、何より性格が素直で読んでいても癒されます。
    基本2人の場面中心でとても読みやすい作品なので、可愛いBLでちょっと癒されたいなーという時にオススメです。
  • 新装版 キューピッドに落雷

    鈴丸みんた

    画もストーリーも萌え要素しかない作品!
    ネタバレ
    2025年12月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ こちらが鈴丸みんた先生のデビュー作と知り、驚きました!

    画の美しさにも、ストーリー構成の完成度の高さにも、先生の非凡な才能が思う存分発揮されています。

    新装版には単行本未収録の特典短編作品と描き下ろしが入っており、たくさんのラブラブシーンが堪能できます。

    主人公は高校1年生の慎吾と、2年の蒼生先輩。
    学内で恋のキューピッド役を請け負っていた慎吾は、2年生蒼生の額の傷について調べてほしいと女子から頼まれます。
    それをきっかけに、慎吾と蒼生先輩との距離は縮まり、やがて恋心が芽生え…といったストーリーです。

    概要だけだと王道BLのように思えますが、いやいや、こちらの作品のオリジナリティがすごいんです。

    まず、可愛いワンコ系慎吾と美人クール蒼生先輩との、意外な関係性!

    蒼生先輩には雷にまつわるトラウマがあり、雷の可能性のある日は学校を休むほど…

    それを知った慎吾は、蒼生先輩の元へ駆けつけ雷から守ろうとします。

    年下ワンコの慎吾が蒼生先輩を守り、美人クールな蒼生先輩が慎吾を頼ってしがみつく。

    もう、その意外性だけで萌えます!

    その上、攻めが慎吾で受けが蒼生先輩というのもたまりません!

    クールで普段は塩対応の蒼生先輩が、慎吾の下で慎吾から可愛いと言われるとか、もう萌えしかありません。

    他の萌えシーンも満載で、個人的には海での2度目のチューのシーンと、初セッ…のシーン、慎吾の部屋でのセッ…シーン、体育祭後の2人のやり取り(追撃)等々、もう挙げだしたらキリがないほどキュンキュンする場面がいっぱいなんです。

    キャラクター設定も魅力的で、バカ正直で素直で真っ直ぐで一途で欲望にも忠実な慎吾が本当に可愛いし、クールな蒼生先輩が慎吾と一緒に過ごすうちにどんどんデレになっていくのも感動的なんですよね。

    男子高校生同士のBL作品って、未成年ならではの限られた環境と経験の少なさから、他の作品にはない独自性を出すのって並大抵のことではないと思うんですが、そんな中で印象に残るキャラ造型や設定を編み出せる先生は、本当にすごいと思います。

    まるで子犬がジャレ合ってるような初々しさを保ちつつ、BLには大切なラブシーンもしっかりたっぷり描かれています。

    トラウマの原因だった雷が、2人を結ぶキューピッドに…読後感も素晴らしい本当に素敵な作品です!
  • 初恋のあとさき

    日高ショーコ

    2人の「初恋のやり直し」が尊い!
    ネタバレ
    2025年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『嵐のあと』に、榊のセ◯レとして登場した美山が主人公。

    『嵐のあと』で、どうして美山が榊に「ノンケに本気になるとあとで泣くことになるよ」と言ったのか、その理由が本作で分かります。

    美山があんな風にひねくれてしまったのには、過去のトラウマがあったからなんですね。

    そのトラウマの張本人が、美山の高校の同級生仁科。

    2人は、美山が営むカフェで偶然再会します。

    美山が仁科に気付かないフリをしたのは、10年前に仁科から受けた仕打ちに心から傷付き、今でも引きずっているから。

    でも、当の仁科はまったく悪びれることなく、美山に何度も会いに来ます。

    そして、美山がまだ自分に未練があることを知って安堵する仁科、そのことを感じ取って再び傷付く美山…。

    2人のいびつに歪んでしまった関係が、どう変わっていくのか?

    果たして、2人は10年前に壊れた初恋を再びやり直すことができるのか?

    そんな2人の心の機微が、日高ショーコ先生らしい丁寧で綺麗な画で描かれます。

    高校時代の仁科は一見真面目で堅実そうに見えて、美山の恋心を利用して優越感を満たそうとするズルさも持っていたんです。

    でも、その中には確かに美山への愛情も存在していた。

    一方、高校時代の美山は真っ直ぐすぎる性格ゆえ、周囲の目も仁科の気持ちも顧みることなく、仁科への感情を暴走させてしまっていた。

    まあ、お互い様なんですね。

    不器用な2人は、再会後も傷付けたり傷付けられたりしますが、それを繰り返しながら、大人になった今だからこその関係を築いていきます。

    誰もが、一度は思いを馳せたことがある「初恋のやり直し」。
    2人の結末は、ぜひご自分の目で確かめて下さい。

    『嵐のあと』の2年後の後日談も収録されており、
    『嵐のあと』ファンの方なら、満足度高い内容になっています!

    巻末の『good morning』は、再度美山×仁科のお話。

    ちなみに、『嵐のあと』で出てきた「あのソファー」の行方も、ここで判明します(笑)

    もちろん、美山×仁科のラブラブぶりも見られます。

    リバが苦手な方は要注意ですが、本来私もリバはあまり刺さらないはずなのに、不思議と日高ショーコ先生の描くリバは萌えるんですよね。

    美山×仁科に至っては、これこそ究極の愛の形ではと思うくらい尊いです。(あくまで個人的見解です笑)
  • 嵐のあと

    日高ショーコ

    シリーズ2作目だけど単体でも楽しめる!
    ネタバレ
    2025年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『シグナル』から始まる3部作の2作目。

    とはいえ、『シグナル』を読まなくても、『嵐のあと』単体で楽しめるストーリーになっています。

    ノンケの友人を好きになり苦しんだ過去から未だ抜け出せない、主人公榊。

    仕事で知り合った岡田に好意を抱くものの、ノンケと分かって距離を置こうとします。

    しかし、天然?たらしキャラの岡田は、榊に思わせぶりな言動を繰り返し、ついに榊は岡田にキスします。

    キスに驚き戸惑いながらも、榊のことが気になる岡田。

    岡田に惹かれつつも、ノンケが自分と同じように自分を好きになってくれるはずがないと、頑なに岡田を遠ざけようとする榊。

    果たして、2人は結ばれるのか…!?

    というストーリーです。

    2人の関係が二転三転し、なかなか恋が成就せずハラハラドキドキする展開は、さすが日高ショーコ先生です。

    過去のトラウマから抜け出せない榊を、変えてしまうのが岡田なのですが、この岡田の天然魔性ぶりがすごいです(笑)

    物事を深く考えないまま、どんどん相手との距離を縮め、無意識に思わせぶりな態度や発言をしてしまう。

    そんなことしたら、相手が本気になっちゃうよ?ということをしていて、キスされたら驚いて逃げちゃうとか……いやいや、キミがキスされるようなことしてるんだろ!と思わずツッコミたくなってしまいます。

    それで、イケメンなのだからタチ悪いんですよね。(あっちはタチじゃなくウケなんですけどね笑)

    根っからのタラシってやつなのですが、自分の気持ちに向き合って以降は、とても誠実で頼もしい男になってくれます。

    そして、榊が今まで積み重ねてきたものを全てなぎ倒して、榊を前向きに変えてしまう。

    「嵐のあと」に残ったのは、凪のように平穏な榊と岡田の関係なのでした。

    榊×岡田の恋模様にハマったら、後日談『After』もぜひ読んでいただきたいです。

    2人のその後の生活ぶりが、ショートストーリーにて語られています。

    『シグナル』の芦原×村上、『初恋のあとさき』の美山×仁科も登場していますよ。
  • シグナル

    日高ショーコ

    傑作3部作の始まりの物語
    ネタバレ
    2025年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 短編集でありながらシリーズ1作目でもある、一粒で二度おいしい作品。

    内容は「4話+描き下ろし」で、1話以外はバーのオーナーである芦原と素直な年下サラリーマン村上との恋愛模様が描かれています。

    会社の先輩田町に連れられて行ったバーで、村上は、超美人でミステリアスなオーナー芦原に一目惚れします。

    そのバーでは秘密の合図(シグナル)があり、メニューの一番下のカクテルを頼むと、オーナーから特別なサービスを受けられるのですが、そのサービスとは…『signal』はこのようなストーリーです。

    口が悪くひねくれものの芦原と、素直で不器用な村上。

    一見、村上が芦原に一方的に惚れているように見えて、実はそうでなかったことが後に明かされます。

    そして、合図(シグナル)の真相も。

    村上のように、感情は素直に顔に出るのに、真面目なあまり積極的に行動できない男は厄介です(笑)

    表情では「好き好き」と言っているのに、告白も誘いもしてこない。
    好かれている方からすれば、延々と焦らしプレイされているようなものです(笑)

    そんな2人も晴れてカップルになりますが、村上の好きが暴走して、2人の間にすれ違いが起こるのが表題作『シグナル(前後編)』。

    芦原のことが好きなあまり疑心暗鬼になって、独占欲をこじらせる村上。
    恋人になっても、村上にとって芦原は出会った時と変わらず綺麗で憧れの人であり、だから他人に取られるんじゃないかと心配で仕方がない。

    芦原もそんな村上を積極的に安心させてあげる性格でもないので、2人の仲はギクシャクするばかりで。

    でも、ハッピーエンドなのでご安心下さい。

    その後日談となる『理不尽な幸せ』では、芦原からどんなに振り回されても幸せを噛みしめる、ドMな村上を堪能できます(笑)

    このように、気儘な美人受け芦原と、一途でドMな攻め村上との、一筋縄ではいかない関係を楽しめる本作ですが、シリーズ物ならではの楽しみもあります。

    シリーズの時系列は以下の通りです。

    ・1作目『シグナル』~芦原×村上
    ・2作目『嵐のあと』~『シグナル』の2年後。芦原の友人榊×ノンケ岡田
    ・3作目『初恋のあとさき』~『嵐のあと』の4年後。榊の元セ◯レ美山×美山の初恋の相手仁科

    時系列順に読むのももちろん良いのですが、あえて逆から辿っても、伏線回収的な面白さを楽しめるのではないかと思います。
  • 花は咲くか

    日高ショーコ

    絶対損はしません!読んで下さい!
    ネタバレ
    2025年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ この作品のいちばんの魅力は、BLでありながらBLっぽくないところです!

    攻めはBとは言えないアラフォー男だし、攻めと受けが二人きりの場面は少なくてほぼ大家族物ストーリーだし、裸になるラブシーンは2回だけだし……と、かなりBLっぽくないのですが、でもそこがいい!のです!

    主人公の桜井と蓉一が出会ってから、互いに恋心を自覚し、それを相手に伝えてキスより先の関係になるのに、なんと4巻まで待たなければなりません(笑)

    それで読むのを敬遠したあなた!ちょっと待って下さい!ここまで焦らしに焦らされるからこそ、二人が初めて裸で触れ合い、二人が心身ともに結ばれるシーンの満足度とカタルシスが堪らないのです。

    その時の蓉一の初々しい態度が、これまた尊いんです!
    蓉一はそれまで人を好きになったことがなく、なのでキスもしたことがなければ、セッ…の知識もほとんどなく、だから少し触れられただけで「ビクッ!」「あ…」と、もう可愛いったら!

    桜井も、37歳の自分が19歳の蓉一に手を出していいんだろうかと悩んでいて、大人なだけに欲望を抑える術も身につけており我慢していたのに、蓉一があまりに可愛くてついに欲望が暴走してしまう!その瞬間がいいんです!

    ストーリーももちろん面白いです!
    主要な登場人物だけで10人弱いますが、それぞれのキャラ立ちはもちろん、一人一人がとにかく魅力的なんです。

    みんな温かい心を持っているのに、誤解したり誤解されたりと、なんだか上手くいかない。
    その人間関係の中に、無関係な攻めがポーンと飛び込んでしまう。
    その波紋がもつれた糸をほどくように、登場人物たちの関係性をシンプルにし、人間関係を良好なものへと変えてしまうのです。

    桜井と出会ったことで、蓉一は自分に向き合えるようになり、他人との関係性も変化していきます。
    二人を取り巻く、菖太、竹生、藤本、吉富さん、柏木さんらも、とても良い味を出しているキャラです。

    特に吉富さんは個人的に好きなキャラで、吉富さんの作る料理はどれも美味しそうで食べてみたいし、最後に結ばれる相手もあまりに意外すぎて笑えます(笑)

    ちなみに、タイトル通り「花は咲いたか?」というと本編では咲きませんが、花が咲く頃には、蓉一の立場ももっと確かなものとなり、二人はきっと仲間たちと共にずっと変わらずそこで咲き続けていくのだろうなあと思います。
  • アノマリーライフ

    日高ショーコ

    BL超能力ミステリー&クライムサスペンス
    ネタバレ
    2025年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 日高ショーコ先生の今までの作品とは雰囲気がガラリと変わり、BL&超能力ミステリー&クライムサスペンスの融合です。

    未来が視える晶と、過去が視える蛍は従兄弟同士。

    互いに好きな気持ちを抱えながら、その能力ゆえに、17歳から10年もの間会わずに離れていました。

    しかし、互いの危機を予見し助けようと行動を起こすことで、未来も2人の関係も変化していくという、手に汗握るミステリーが主軸となっています。

    2人の行動によって、世界線の異なる未来が複数存在することになるので、初読だけでは少し理解が難しいかもしれません。

    しかし2巻の最後に収録されている後日談で、Aの世界線の結末、Bの世界線の結末、+αの結末というように、日高先生が分かりやすくまとめて下さっているので、大丈夫です!タイムリープ物が苦手な方でもご安心下さい!

    この壮大な物語を2巻完結にするのはもったいない(もっと長編にできるくらいの設定の面白さ)と私などは思ってしまいますが、2巻完結だからこそのハラハラドキドキ感と読みやすさになっているのが、さすが日高ショーコ先生ですね。

    こんなスゴい設定でも出し惜しみせず、サラッと2巻にまとめてしまうところに、先生の引き出しの多さを感じます。

    ラブシーンは後日談で描かれますが、分量は少ないものの、未来が視える体質ゆえ、数十分後に蛍から何をされるか分かってしまい、ひとりドギマギしている晶がとても可愛くて萌えます(笑)

    ミステリーとしても、クライムサスペンスとしても、もちろんBLとしても、満足度の高い作品なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
  • アンチロマンス

    日高ショーコ

    BL版「友人から恋人になれるのか?」問題
    ネタバレ
    2025年12月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ タイトル通りBLの王道とは真逆をいく、主人公二人がなかなか恋に落ちてくれない物語です。

    でも、しっかりBLしているのでご安心ください!

    ストーリーは…
    幼馴染みでもあり親友でもあり同居人でもある、周防と柿谷。

    柿谷はずっと周防のことが好きだったが、はっきり気持ちを伝えないままずるずる時を過ごしてきてしまった。

    周防は、柿谷の気持ちに気付きながらも、今の居心地の良い関係を崩したくなくて、気付かないフリをしている。

    そうやって何事も起こらない同居生活を続けてきた二人ですが、同居6年目にして大きな転機が訪れます。

    切っ掛けは、柿谷の職場の先輩である戸和田のおせっかい。

    過去の自分を悔やんでいる戸和田は、可愛い後輩である柿谷に自分と同じ道を歩んでほしくなくて、あれこれ引っ掻き回してくれます。

    しかし、そのことが二人を良い方向へ向かわせるどころか、二人は別居することに。

    相手と距離を置いたことで、否が応でも自分の気持ちと向き合うことになった、周防と柿谷。

    こじれにこじれた二人は、果たしてどうなってしまうのか…

    というお話です。

    「長すぎた春」ならぬ「長すぎた友人関係」。

    本作品では、周防と柿谷だけでなく、戸和田と潤一、佐久間と御園も、一方が相手に恋心を抱いた時期があります。

    しかし、その二組の場合は恋が成就することなく、時の流れと共にいつの間にかその恋心は霧散して、純粋な「友人関係」へと落ちつきました。

    自分を好きな相手といるのは居心地がいい。

    多少のわがままを許してもらえるし、一度逃げても戻れば相手は受け入れてくれる。

    まさに「惚れた弱み」ってやつですね。

    でも、そんなイビツな関係が長続きするはずもなく、相手が我慢の限界を迎えて愛想をつかしたら終わりな訳です。

    そして相手に去られてから、自分がいかに相手の好意を踏みにじる酷いことをしてきたか、相手の好意に図々しく甘えていたかを思い知る。

    そんな関係を柿谷は小説に落とし込み、それを読んだ御園が「これは自分の話だ」と言ったように、『アンチロマンス』は、読者それぞれの「恋になり切れなかった友情」を喚起し、まさに「自分の物語だ」と思わせてくれるのです。

    本作品にはひとつ注意点が…
    幼馴染みで親友だった二人は、ラブシーンにおいても対等です。なので、リバが地雷の方はご留意ください。
  • 憂鬱な朝 NOBLE COLORS

    日高ショーコ

    8巻を読み終えたら、すぐに読んでほしい!
    ネタバレ
    2025年12月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『憂鬱な朝』最終巻を読み終えてすぐに、その余韻が残ったまま読むと新たな感動が!

    本編では描かれなかった暁人と桂木の2年ぶりの再会シーンが、なんとこちらの愛蔵版では詳しく描かれています。(もちろんラブシーンも)

    本編の間を繋ぐエピソードも多数収録されていて非常に満足度が高いので、迷っている方がいらっしゃったら全力で背中を押して差し上げたいです。

    コミックス版の表紙カバー、連載の表紙イラスト、また小冊子などの短編、作家様のインタビューなど、『憂鬱な朝』に関わる全てが収録された、ファンにとっては垂涎ものの愛蔵版となっています。

    正直お高いですが、買って後悔なしの充実度です!

    特に、私がこちらを買って良かった!と思ったのは、作者様のインタビューを読めたこと。

    私はこれで、「日高ショーコ先生」がユニットであることを初めて知りました。

    ストーリー世界と絵柄があまりにもぴったり合致しているので、まさかお二人の先生がそれぞれ担当なさっているとは!

    まさに奇跡のコラボ、日高先生とタキエ先生が出会って下さったことに心から感謝申し上げる次第です。

    そして、それ以上に衝撃だったのが、インタビューでの原作担当のタキエ先生の
    「片方を〇〇そうにも…」というご発言です(笑)

    そ…そんな設定を考えていらっしゃったのか…と、ものすごく衝撃で、却下して下さった担当様には感謝申し上げる次第です(笑)

    個人的には、ドラマCDレポートが笑えるエピソード満載で、とても面白かったです!
  • 東京心中

    トウテムポール

    読まなきゃ損する!第一印象を覆す神作品
    ネタバレ
    2025年11月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 無料キャンペーンで1巻を読んでみました。
    最初の印象は、絵があまりBLぽくなくてハマれなさそうだなあというものでした。
    しかし、読んでいくうちにトウテムポール先生独特の世界観に惹き込まれ、ゲラゲラ笑ったりホロッと泣きそうになったり、気がつけば無料期間中に読み終わらなかった残りの巻を大人買いしていました。
    読み終わった今、感動で泣きそうです。

    絵で敬遠しそうになっている方、舞台となっているテレビ業界にあまり興味ない方、そこで読まずに終わるのは本当にもったいないです!!
    お仕事だけではない、BLだけでもない(なんと最終巻はラブシーン全くなし!笑)、綺麗事だけでもない(登場人物の中で宮坂の家族がいちばんクズという絶望)、でも、笑えて温かくて優しくて人間愛にあふれた物語がここにあります。

    ギャグとシリアスの絶妙なバランス、そして、どんなに深刻でクズな展開でもちゃんとカタルシスが用意されている明るさが、先生最大の魅力ですね。

    矢野さんはとてもわかりにくい性格で愛情表現も下手ですが、優しく人間愛にあふれた宮坂と一緒に過ごすうちに、普通に愛情表現ができる人になっていきます。
    宮坂も矢野さんと暮らすことで、自分の気持ちに正直に生きることができるようになるのです。

    2人が名実ともに結ばれ大きな家に引っ越してハッピーエンドかと思いきや、まさかこんなことになるとは⋯という、およそBLとは思えない展開も待っています(笑)
    そして詩さんが、この作品の陰の主役では!?と思うくらい神がかり的なグッジョブを何度も何度もかましてくれます。
    最後は、宮坂の今までの苦労が一気に報われる神展開で、涙なしでは読めません。

    好きなシーンはたくさんありますが、本当にツラくてどうしようもない時は逃げればいい、というメッセージを感じる場面がいちばん心に響きました。
    誰しもツラくてどうしようもない時ってあると思うんですが、そこから逃げる勇気を持ったら、意外と吹っ切れて前進できることもあるんですよね。
    自分が壊れる前に、皆さん逃げましょう!

    この作品でいちばん好きな言葉は「愛があればいいのだ」。
    そう、愛さえあれば(恋愛という意味だけでなく)なんとかなるんだよなーと、読んでいて心が軽くなります。

    このようにたくさんの素敵が詰まった作品なので、読んで損はありません!というか、逆に読まないと絶対に損します!!
  • なんかもうあーあって感じ。【コミックシーモア限定特典付き】

    宮田トヲル

    宮田先生が描く高校生カップルは至高!
    ネタバレ
    2025年11月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高校の林間学校で、仲間内の罰ゲームから始まった二人の恋人ごっこ。

    宮田先生の作品には珍しく、最初からラブシーンが多いなあと思っていたら、元々はアンソロジーの読み切り作品だったのですね。

    読み切り短編を、時間をおいて単行本1冊のボリュームにするのは大変な作業だと思うのですが、違和感なく綺麗にまとめられているところが、さすが宮田先生という感じです。

    報われない恋心をもてあましていた守谷と、何を考えているのかわからないミステリアスな多田。

    恋人ごっこから始まった二人の関係でしたが、互いに惹かれ合いながらも、なかなか本当の恋人には進展しません。

    多田が、守谷との恋人関係に踏み切れないのはなぜなのか?

    その理由は、ぜひとも本編でご確認ください!

    宮田先生にとって本作品が、高校生を主人公にした初コミックスだそうです。

    『アオハル・ワンスモア』と『君に注ぐ100dB』から宮田先生の作品に入った私としては、とても意外でした。

    そう思うくらい、先生の描く高校生はピュアで魅力的で「どこかで実在しているのでは?」と思うくらい、リアリティある人物造型なのですよね。

    宮田先生が創り上げる物語世界は、多感な高校生との親和性が非常に高いので、また高校生が主人公の作品を読みたいなあと思う次第です。

    ちなみに、表題「なんかもうあーあって感じ」の意味は最後の最後で分かるのですが、そこにも先生ならではの温かい人間模様が感じられて、なんだかホッコリして、つい笑みを浮かべてしまうのでした。
  • 君に注ぐ100dB

    宮田トヲル

    完璧すぎて満足度がハンパない高校生BL!
    ネタバレ
    2025年11月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生初のナンバリング作品とのことですが、先生の丁寧な心理描写が余すことなく発揮されており、結末の鮮やかで見事な着地点は素晴らしいの一言です!

    お話としての面白さはもちろん、青春のドキドキとキラキラ、主人公2人の美しいと可愛いのバランス、多幸感溢れる結末、さらに純愛&初々しいラブシーンと、もう青春ものBLとしては完璧すぎて満足度が半端ないです。

    長く伸ばした髪で顔を隠し、人との関りを避ける唄川。

    お気に入りの歌い手「ハイト」の更新が止まり、日常に退屈を感じていた奏多。

    そんな2人が出会い、音楽をきっかけとして徐々に距離を縮めていきます。

    唄川はなぜ人前で歌うことができないのか、その理由が明らかになるにつれ、2人の関係も少しずつ変化していきます。

    思春期特有の心の揺らぎや、相手に対する想いの変化が、とても丁寧に描かれているので、2人に感情移入してしまい、読んでいる間ずっとドキドキが止まりません。

    唄川が抱えていた過去のトラウマは奏多によって癒やされていき、奏多は唄川によって退屈だった日常が煌めいたものになっていきます。

    奏多が奏でるメロディに注がれる唄川の声。

    音楽を通した2人の関係と恋人としての関係が大きく交わったとき、多幸感溢れる感動的な大団円を迎えます。

    ハッピーエンドに至るまでの二人を支えた滝や井波・須藤、そして可愛すぎる斗真など、魅力的なキャラの多さも、一つ一つの場面を丁寧に描かれる宮田先生ならではですね。

    宮田先生が紡ぎだす言葉もとても素敵で、「初めて知った恋の感覚は やわくて まるくて あまい」と思っていた奏多が、初めてやきもちを焼くシーンで「さっきまでやわくてまるかったものが なんかちょっとだけ …マシュマロが粘土になったみたいだ」と、奏多の揺れる感情を透明感ある瑞々しい言葉で表現されているんです。

    2人初めての共作となった『pouring into you』には、表題の「君に注ぐ」という意味と共に「君に夢中になる」とか「君に入り込む」という意味もあり、2人が互いへの想いを音楽に注ぎ込み、互いに恋人として夢中になり、そして◯◯が◯◯に物理的に入り込む(下ネタでスミマセン)という多重構造の解釈もできて、とても奥深いなあと感嘆します。

    ラブシーンもしっかり描かれていて、BLとしての満足度も非常に高いことを最後に強調しておきます!笑
  • 瞳の中の僕を知らない

    イズミハルカ

    徐々にパズルのピースが嵌まっていく快感!
    ネタバレ
    2025年10月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 記憶喪失の主人公が、自分こそ恋人だと主張する2人の男性の間で、何が真実で何が嘘なのか探っていく、ロマンティックミステリーBLです。

    主人公怜は、事故の後遺症で記憶を失った人気モデル。

    そんな怜の前に現れたのは、大学生の黒田とカメラマンの堂島で、2人とも怜の恋人だと告げる⋯
    そんなミステリアスな場面から物語は始まります。

    また、周囲の人々から、記憶を失う前とは別人のようだと言われる怜。

    果たして、怜の本質はどちらであるのか、黒田と堂島のどちらが本当の恋人なのか、どちらかが嘘をついているならその理由は?

    怜の記憶がよみがえるに従って、徐々に見えてくる真実。
    その中で悩み葛藤する怜。

    ミステリー仕立てのストーリーと共に、2人の間で揺れ動く怜の心理が丁寧に描かれていて、読み応えあります。

    最新刊の2巻では、怜の過去が明らかになり、そこから救い出してくれた存在は誰なのかも判明します。

    過去の怜が求めても手に入らなかった存在、その心の空虚を埋める代償として求めた存在ーーまるでジグゾーパズルのピースが嵌まっていくように、記憶の断片が繋がっていく構成は見事で、時間を忘れて物語世界に没頭してしまいます。

    そもそも怜はなぜビルの屋上から転落してしまったのか⋯その理由は2巻を読んで少し推測できるところもあるのですが、もしそうなら今後の怜はどういう選択をするのかも、これからの見どころですね。

    3巻は2026年春頃発売予定とのことで、今から楽しみで楽しみでなりません。

    ちなみに、とても美しいラブシーンもあるので、お話の面白さはもちろんBLとしての満足度も非常に高い作品です。
  • 崩れる天秤

    吾妻香夜

    予測不能な展開と素晴らしいオチ!
    ネタバレ
    2025年10月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 短編ならではの醍醐味がたっぷり詰まった作品。

    無機質な部屋と物々しい拘束具。
    初っ端から謎めいた仕掛けと伏線が、フルスピードで駆け抜けます。

    主人公ユーリスはどこかの部屋に閉じ込められ、拘束具でベッドに縛り付けられ辱めを受けているという、序盤から過激なシーンで始まります。

    ここはどこなのか、なぜ知らない男に閉じ込められているのか、どうして自分の記憶はないのかーー
    すべてが謎のまま物語は進むのですが……

    すべての謎が明らかになったとき、物語も二人の関係性も最初とまったく違うものになっており、エロもたっぷりでしっかりオチもついているという、まさにお見事としかいいようのない完成度です。

    短編は、あらゆるものを削ぎ落しながら、しっかり掴みも山場もオチも盛り込まなければならないので(しかもBLはラブシーンも入れなければならない!)、かなり難易度が高いと思うのですが、この短いページ数でしっかりどの要素も素晴らしいクオリティを保っておられるのは、さすが吾妻先生!

    拘束具もエロもすべてが伏線で、それが一気に回収されていくスッキリ感はたまりません。
    絶対に読んで損のない作品です。
  • 親愛なるジーンへ

    吾妻香夜

    絶対『ラムスプリンガ』の後に読んでほしい
    ネタバレ
    2025年10月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ラムスプリンガの情景』の前日譚でもあり、スピンオフでもあり、続編でもある作品。

    『ラムスプリンガ』の回想シーンのみで登場したジーンの人生、そしてジーン&トレヴァーとの運命的な絆が描かれています。

    『ラムスプリンガ』のテムは、大切なものを捨ててでもオズとの愛に生きる選択をし、その決断に至るほどの2人の愛情の深さはとても感動的でした。

    本作品では、『ラムスプリンガ』とは真逆の「愛の形」が描かれています。

    『ラムスプリンガ』で「愛とは素晴らしい呪い」だとクロエは呟きましたが、ジーンとトレヴァーは「相手を縛る愛」ではなく「相手を自由にする愛」を選び、シリーズ作品でありながら2つの対照的な愛を描き出すことで「愛にも様々な形があるんだよ」という吾妻先生のメッセージを感じます。

    2巻は通常版と特装版がありますが、特装版の「完結記念小冊子」は必読ものなので、全力で特装版をオススメします。

    最後に付け加えると、この物語の時代にはNYでさえ大っぴらに同性愛者への偏見があったこと、また離婚の際の親権制度の変化、モンゴメリー・バス・ボイコット、ストーンウォールの反乱など、世相や時代背景が丁寧に描かれている点においても非常に興味深かったです。
  • 親愛なるジーンへ 2(特装版)

    吾妻香夜

    恋愛を大きく超えた、壮大な愛の物語
    ネタバレ
    2025年10月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 愛には、恋愛・性愛・家族の愛・友愛・親愛・無償の愛など様々な形がありますが、ジーンとトレヴァーとの愛にはそのすべてが含まれていて、何をもって2人のハッピーエンドとなるかは一概には言えない…という、とても深い物語です。

    ジーンもトレヴァーも心の内に「自身の罪」を抱えており、ジーンは「何者かになる」ため、家族と生まれ故郷を捨てた罪悪感と後悔に苛まれていました。

    トレヴァーは、養父母から愛情深く育ててもらったものの、自分がいなければ家族3人の完璧な幸せがあったのではないかという負い目を抱えて生きており、ゆえに自分がジーンの人生を邪魔してはならないという気持ちがあったのではないでしょうか。

    だからこそ、一度はジーンに縋りついたものの、最終的にはジーンを送り出すことを決心したのだと思います

    『ラムスプリンガ』で「愛とは素晴らしい呪い」だとクロエは呟きましたが、ジーンとトレヴァーは「相手を縛る愛」ではなく「相手を自由にする愛」を選び、シリーズ作品でありながら2つの対照的な愛を描き出すことで「愛にも様々な形がある」ことが表現されています。

    何の約束もなく二人が離れ連絡さえ取らなかったのも、2人の愛情の深さゆえ連絡を取ってしまったら、また離れることが辛く困難になってしまう…という大人の理性もあったのではないでしょうか。

    最後まで今後2人がどのような関係性になるのか明らかにされませんが、世界を見てきて「何者かになれたかもしれない」と納得できたジーンが再びNYに戻ることを選び、トレヴァーはジーンのために花を買ったことから、2人の答えはすでに出ているような気がします。

    1巻でトレヴァーが「友人にしては歳が離れて見えるのは確かだろう。大差なくなるにはあと20年」と言ったように、出会いからおよそ20年を経た彼らは、もう人目を気にしなくてもよい「親友かつ恋人」に今後なることができるのではないでしょうか。

    今後トレヴァーと幸せに暮らすであろうジーン、これから人生の選択をしていく甥のジーンと姪のジーン。

    彼らが選ぶ人生はすべて違うけれど、どれ一つとして誤りではない。
    アーミッシュシリーズとして大きな大団円を結末にもってきた、吾妻先生に感服する次第です。

    特装版にはその後の2人や、『ラムスプリンガ』のテムとオズの幸せそうな暮らしぶりも出てくるので、全力で特装版をオススメします!
  • ラムスプリンガの情景

    吾妻香夜

    余韻にどっぷり浸りたくなる!傑作です!
    ネタバレ
    2025年10月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻完結の内容とは思えない、ストーリーの深さ・内容の充実度・完成度・読了後の余韻など、全てにおいてパーフェクトな傑作!

    長編小説を読んだくらいの満足度です。

    私は、アーミッシュという存在をこちらの作品で初めて知りました。

    市街地から離れた自然に囲まれた地で、18世紀の暮らしを忠実に守っている敬虔なキリスト教徒。
    不便なようで、庇護された穏やかな生活。

    思春期の子どもたちにラムスプリンガ(モラトリアム期間)を経験させることで、その後の人生の選択権を与えているが、俗世で暮らすことを選ぶとその代償を負わなければならないという不文律があるーー。

    ほとんどのアーミッシュの子どもたちは親と同じように暮らすことを選択するが、主人公テオはオズと出会ったことにより、生まれ故郷とオズどちらを選択するか葛藤する…というストーリーです。

    アーミッシュの子どもたちのメタファーとして語られる、ニジマスの話が印象的です。

    ニジマスは川の魚で一生を川で過ごしますが、中には大海原へ泳ぎ進む個体もあり、それらは海で過ごすうちに本来の姿よりも大きく成長するそうです。

    それはまさに、アーミッシュの子どもたちの投影であり、モラトリアム期間を卒業したら村で規律通りの生活を送ることを選ぶ者が大半の中、テムのように生まれ故郷を捨てて愛に生きる子もいるのです。

    あまりに残酷な選択ですが、クロエが呟いたように「愛とは素晴らしい呪い」とも言え、愛のために全てを捨てたテムはオズと生きることができる喜びの陰で、ほろ苦さを抱えて生きていかなければなりません。

    何かを得るためには、何かを捨てる勇気を持たなければならない。
    これは、アーミッシュに限らず大人であれば誰しも経験する通過儀礼ですが、この作品が痛いくらい胸に響くのは、テムに自分の姿を投影するからかもしれません。

    自分の生き方を模索するモラトリアム期間を、アーミッシュという実在の人々を通して哲学的かつ文学的に描き表す…この作品は、まさにBLというジャンルを飛び越えた名作と言えましょう。

    本作品内においては、その後の2人がどのような暮らしを送ったのかは描かれていませんが、続編である『親愛なるジーンへ』の中で、2人の暮らしぶりが垣間見えるシーンがあり、こちらの作品もとても素晴らしいので、読了後はぜひ『親愛なるジーンへ』も読んでいただきたいです。
  • 灯台守とかもめの子

    吾妻香夜

    全人類に読んでほしい神作品!
    ネタバレ
    2025年10月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 電子コミック大賞特集で知り、立ち読みしたら唯一無二の世界観に惹き込まれ、先が気になり即座に購入しました。

    購入したのが夜中だったので1巻だけのつもりで読み始めたら、あまりの面白さに止まらなくなり、2巻まで読み終えたら予想の100倍素晴らしい作品すぎて、しばらく興奮して眠れませんでした。

    灯台守が助けたカモメの雛が人化する(人化した姿がものすごく可愛い!)という設定だけでも面白くてワクワクするのに、そのカモメと暮らすうちに灯台守がどんどん若返っていき、成長したカモメの子ルネと若返った灯台守エヴァンが恋仲になるとか、吾妻先生が天才すぎて胸がキュンキュン苦しいです。

    吾妻先生の優しいタッチの可愛らしく美しい画も、この物語のファンタジー世界にぴったりで魅力的です。

    しっかりラブシーンも描かれているのに生々しさは皆無で、ルネの羽に包まれて眠るエヴァンの姿には宗教画的な神々しさまで感じます。

    ルネがなぜエヴァンのところにやって来たのかは、エヴァンの過去が明らかになったら分かるんだろうなとぼんやり予想していたのですが、その前に2人の姿が消えてしまい、いつの間にか物語の時代がかなり進んでしまっているところで2巻を終えます。

    どういう展開なのか予想だにつかず、2人はどこかへ行ってしまったのか、それとも灯台にいるけれども村人たちに見えない理由があるのか、もう気になって気になって読了後はずっと2人のことばかり考えています。

    私はBL作品を読み始めてまだ10ヶ月程ですが、今まで自分には無縁だと思っていたBLの世界に足を踏み入れなければ、この作品とも出会っていなかった訳で、こんな素晴らしい作品を創り上げて下さる吾妻先生に感謝すると共に、つくづくBL漫画を読むようになった自分のことも褒めてあげたいです。

    それくらい、出会えた良かったと心から思える素晴らしい作品なのです。

    BL好きな方にはもちろん、BL初心者の方にも、いや全人類に胸を張ってオススメしたい神作品です!
  • 夜明けの唄【単行本版】

    ユノイチカ

    この作品と出会えたことに感謝!
    ネタバレ
    2025年10月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 星5つでは足りません!
    星10個ぐらい付けたい、それくらい胸を打たれる素晴らしい作品です。

    舞台は海に囲まれた孤島。夜ごと現れる「黒い海」と闘うかんなぎ様と、かんなぎ様を慕い仕えるアルトの純愛の物語です。

    驚くのは、これが作者様のデビュー作とのことで…!
    先の読めないストーリーの面白さはもちろん、唯一無二の世界観とそれにマッチした美しい画、ユノイチカ先生の才能が爆発しています。

    日中は平穏な海が、夜になると人を襲う「黒い海」に変わり、その正体はいったい何なのか、また、かんなぎ様がなぜそれと闘わなければならないのか、全てが謎のままストーリーは進みます。

    ファンタジー要素とミステリー要素の合間に語られる、かんなぎエルヴァとアルトの美しい純愛に、胸がキュンキュンします。

    島の秘密や黒い海の正体、またかんなぎの悲しい運命も徐々に明かされ、6巻ではアルトの出生の秘密をエルヴァも知ることとなり、物語は大きな山場に…。

    このように、物語としても非常に卓越している作品ですが、私が特に魅力に感じている設定があります。

    かんなぎ様は黒い海と闘っている弊害で、身体が成長せず、例えばエルヴァの場合、26歳なのに見た目は16,7歳にしか見えません。
    つまり、かんなぎ様である限り、外見は永遠の少年なのです。

    幼かったアルトが小さいなりに頑張ってエルヴァを守る姿も健気でしたが、いつの間にか見た目年齢が逆転して、逞しく成長したアルトが年上だけど少年の姿のままのエルヴァを守る姿は、心強くて美しくて尊いです。

    6巻では辛い別れや大きな試練もありますが、2人のハッピーエンドを信じて次巻を楽しみに待ちたいと思います。

    こんなに胸を打たれる素晴らしい作品と出会えたことに感謝します!
  • 猫背が伸びたら

    大島かもめ

    後ろ向きイケメンの恋
    ネタバレ
    2025年10月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 大島かもめ先生の作品なので面白くないはずがない!という、期待通りの良作です。

    主人公は日仏ハーフのイケメンながら、過去のトラウマにより自分に自信を持てない「心も身体も猫背」な新井ジョージ。

    イケメン最強でイケメンが正義でもあるBL漫画界で、「イケメンであるがゆえの苦労」にことごとく晒されてきた主人公が、「イケメンゆえの生き辛さ」を抱えているところが、非常にオリジナリティのあるストーリーとなっています。

    それと同時に、読者の共感を得るシーンも多々あり、例えば、
    「自分の容姿を褒められた時に、どう答えるのが正解なのか…」
    という場面では、(容姿のみならず)多少なりとも心当たりのある方は多いと思うので、そういった、大人が共感するシーンがところどころあるのも、この作品の醍醐味です。

    特に大きな事件は起こらないし、ドラマティックな展開がある訳でもない、しかし小さな偶然とさりげない優しさに包まれている、日常の延長線上にある恋。

    その恋に触れ、主人公が次第に前向きに進んでいく。
    そんな穏やかな幸せを感じる物語です。
  • アダムの肋骨

    みちのくアタミ

    運命の分身と出会い救済される感動作!
    ネタバレ
    2025年9月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 多重人格という難しい題材を、巧みにBLへと落とし込んだ感動作。

    6つの人格を持った相手との恋愛の難しさ、忘れていた過去の記憶、解離性同一性障害の原因と治療、人格の統合、濃密なラブシーンと、盛り沢山な内容が2巻の中にギュっと凝縮されています。

    6つの人格を持つ人物の描き分けはとても難しいと思うのですが、同じ顔でありながら表情や雰囲気がガラッと変わり別人に見えるところが、さすが先生の画力!

    そして、難しいテーマながら、ラブシーンもしっかりページ数をさいて描かれているので、BLとしての満足度も高いです。

    別人格同士で主人公を取り合ったり、別人格と◯◯した主人公を浮気者扱いしたりと、多重人格でしか描けない設定が新鮮味あります。

    多重人格だと分かっても態度を変えることなく、全ての人格に優しく接する悠真が、一羽やレイ始め各人格の心を癒やしていくのですが、最後に主人格に悠真を譲って消えることを決断する◯◯が切ないです。

    とはいえ、人格が統合された後も、主人格の中に時折り消えた人格の面影が垣間見えることがあり、それを感じた悠真がホッとするところも泣けます。

    多重人格でなくとも人の心の中には様々な面があって、環境や場面によって自分の嫌な面が表に出てしまうことがありますよね。

    そういう面を自分自身では否定しがちなのですが、悠真のように、そういうところも受け止めて愛してくれる人が身近にいれば、それが生きていくための大きな拠り所になるんじゃないかと、本作品を読んでしみじみ感じました。

    ちなみに、タイトル「アダムの肋骨」は、『創世記』にある、神がアダムの妻であるイブをアダムの肋骨から作った逸話から…と思われます。

    神は、アダムが孤独にならないようイブを作りました。

    アダムとイブは違う人格でありながら元は1つであり、互いに助け合い依存しあって共に生きていく存在です。

    一羽とレイも異なる人格として、あまりにも辛い子ども時代を互いに助け合って生きてきました。

    人格が統合され表からは消え去っても、心の中で二人(もちろん他の人格も)は共存し、さらに悠真という「運命の分身」を得たことで、これからはきっと幸せな人生を送ってくれるのだと思います。

    たくさんの方にぜひ、この爽快な読後感を味わっていただきたいです。
  • レッドベリルにさよなら

    みちのくアタミ

    二人が出した答えはきっと正しい
    ネタバレ
    2025年9月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 吸血鬼物作品は数多あれど、みちのく先生が描くと「見たことのない」唯一無二の世界観になるのがすごいです。

    次第に明かされる人間関係、最後まで予測のつかない緊張感ある展開と、先が気になり一気に読んでしまいました。

    舞台は現代から始まり、1960年代、江戸時代と、様々な時代を背景に「昭彦×和重」「将門×師夏」らの生き様が描かれています。

    登場人物が時代ごとに少しずつ髪型・服装・雰囲気が変化しているのも見どころで、和重・将門ともにどの時代の服装も似合っていて、どの時代にも通用するイケメンなのが、さすがみちのくアタミ先生の画力!(個人的には、将門様のコスプレ的麗しさが最高です)

    個人的に、特に魅力に感じたところを挙げると
    ・吸血シーンがとにかく色っぽい!(もちろんラブシーンも!)
    ・登場人物みんな、お耽美系イケメン
    ・悲しいシーンもあるけれど大方ハッピーエンド
    ・「不老不死は果たして幸せなのか?」という哲学的な問いについても考えさせられる
    ところです。

    施設育ちで孤独に生きてきた昭彦と、幸せな家庭を築きながら吸血鬼になったことで孤独になってしまった和重。
    孤独な二人が運命的に出会ったものの、和重は昭彦を自分と同じ境遇にさせたくないし、かといって昭彦の最期を看取る覚悟もできず、一度は昭彦を遠ざけようとします。

    妻のみならず、老いて亡くなっていく娘まで看取らなければならなかった、永遠の命を持つ和重の深い喪失感を思えば、昭彦を拒絶する気持ちも納得できるんですよね。

    しかし、昭彦の強い想いにより和重の気持ちも徐々に変わっていき、あるアクシデントを切っ掛けに和重は大きな決断をします。

    宝石である「レッドベリル」には「一度決めた道をまっすぐ進む」という意味もあるそうで、和重が下した決断は今までの信念には反するかもしれないけれど、「信念より大切なものもある」というメッセージが、『レッドベリルにさよなら』というタイトルに込められているのではないかと感じました。

    実際、和重の娘が今わの際で「お父さん 幸せでいて」と願ったように、その決断をした後の和重が(罪を抱えつつも)幸せそうであることが、決断が正しかったことを最も証明しているのではないかと思います。

    最初は悪者に見えた将門が、和重が寂しくない人生を送れるよう気に掛けていたり、師夏を溺愛しているところも萌えポイントです。
  • はなゆかば

    みちのくアタミ

    面白さはもちろん和服姿の◯◯がたまらない
    ネタバレ
    2025年9月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ミステリーのような謎の多い設定、和服姿の美青年との時代を超えた恋と、面白さはもちろん美しいラブシーンも必見で、早く続きを読みたくなること間違いなしの作品です。

    ストーリーは…
    祖父を亡くしたばかりの月祥は、祖父の形見である懐中時計を開いたと同時に、見慣れぬ景色の場所へとばされる。
    帯刀した侍から不審者と間違われ屋敷へと連れて行かれるが、若き当主壮之丞から唐突に「俺を…抱いてはくれぬか」と頼まれ、月祥は訳が分からないまま関係を持ってしまう。
    現代へ戻る手立てもわからないまま壮之丞の屋敷で過ごすうちに、月祥が以前もタイムスリップしており1年もの間壮之丞の屋敷で暮らしていたこと、その時の記憶はなぜか壮之丞にしか残っていないこと、などが明らかになっていく。
    そして、二人の心の距離が縮まったその瞬間、壮之丞の目の前で、月祥は意図せず現代へ引き戻されてしまう。
    再び壮之丞の元へ戻るべく、月祥はタイムスリップした時と同じ場所で同じように行動するが、それが叶うことはなく…。
    皮肉にも、戻れないショックに打ちのめされる月祥の脳裏に甦ったのは、以前タイムスリップした時の記憶だった。
    このようなストーリーです。

    「時間」というままならない障壁に引き裂かれる二人の、ドラマティックでロマンティックな恋模様がたまりません。

    そして、みちのくアタミ先生ならではの、濃厚で艶めかしいエロシーンがたくさん愉しめます!

    時代物は苦手という方も安心して下さい!

    あくまでも主軸は二人の恋愛で、そこにミステリー要素というスパイスが散りばめられ、時代背景はそれらを彩る装飾的セットといった感じでしょうか。
    みちのく先生が、当時の状況も言葉もわかりやすく嚙み砕いて表現されているので、まったく戸惑うことなく読み進めることができます。

    そして、この時代を舞台にされた先生の画力が特に素晴らしいと思うのは、和服姿でのラブシーンがとにかく艶めかしくてたまらないのです。

    胸元にすっと差し込まれる手、着物の裾をはだけ褌の隙間から潜り込む指先…ここから先はぜひ作品でご確認下さい(笑)

    今年秋に2巻が発売予定ということで、今から待ち遠しくてなりません。
  • カラー・コレクション-PARADE-【電子限定描き下ろし付き】

    芹澤知

    感動と余韻でしばらく放心…傑作です!
    ネタバレ
    2025年9月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作でカップルになった3組のその後が描かれており、ストーリーも作画ももう素晴らしいの一言です!

    読み終えた後は、感動と余韻でしばらく放心しました…それくらい素晴らしい作品です!

    オムニバス形式なのは前作と同じで、1巻完結ながら262ページのボリュームがあり、3組のカップルのどのエピソードもドラマティックでまるで映画を観ているようで、このお値段で読ませていただくことが申し訳ないくらいです。

    前作では甘い「恋の始まり」が描かれているのに対し、本作では、様々な悩みや葛藤を経て恋が「揺るぎない愛」へと昇華していく過程が丁寧に、そして繊細に描かれています。

    「彩輝×蒼大」は、仕事上でも関りを持ったことで気持ちがすれ違い、互いに大切に想っているのに関係がぎくしゃくしてしまいます。それを乗り越えようとする二人の絆の強さ、そして二人が出した「家族」という答え…もうそこまでの展開がハラハラドキドキほっこりの連続で、たまりません。
    そして芹澤先生がすごいと思うのは、蒼汰の作品はもちろん、彼が住む部屋やアトリエ、食器に至るまで、まさに蒼汰という芸術家の感性がそのまま投影されていて、本当に蒼汰が実在しているんじゃないかと思うくらい説得力ある世界観なのです。

    「利人×ミハイル」のすれ違いはかなり深刻で、読んでいて辛かったです。
    特にミハイルが、年齢を重ねた自分では利人の創作意欲を搔き立てられないのでは…と悩むシーンは胸がヒリヒリしました。
    だから、利人が「ミハイルの変化と一緒に俺の理想は常に更新されてるんだ」と伝えた時は感動で泣きそうに…。

    「大地×大竹」は安定のラブラブぶりですが、さりげなく思いやりを持って互いにサポートしあう関係は本当に素敵です。
    大竹先生がもうすぐ還暦というのにビックリ!
    こんなにカッコいい還暦っていますか!?
    そして前作と同様「名探偵てっちゃん」がいい味だしてます。

    3組それぞれのエピソードも感動するし、登場人物全員が集まる最後のエピソードは多幸感に溢れていて、何度も読み返したくなります。

    個人的に、いちばん心に響いたのは大竹先生のこの言葉。
    「他者の理解を求めて今居るステージから降りようとするな」

    BLとしての魅力ももちろんすごいのですが、ストーリーの面白さ、完成度、胸を打つ言葉の数々と、このような傑作に出会えたことがたまらなく嬉しいです。
    いいね
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  • ホワイトライアー【単行本版】

    芹澤知

    遊びの関係の裏に秘められた真実
    ネタバレ
    2025年9月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ただの遊びの関係のはずが…その裏に秘められた真実に胸打たれました。

    芹澤先生が折り返しで「最後まで読んだら、また冒頭から読んで頂けると嬉しいです。きっと味が変わります」と仰っている通り、ページをめくるうち、建前の裏に隠された本音が浮かび上がってきて、結末は最初とまったく違う味わいになっている作品です。

    憑依型の人気俳優大河と美容師慧は、出会ってすぐ遊びの関係に。
    慧は今まで何度も恋人に裏切られた経験から人間不信になり、まともな恋愛ができなくなっていました。
    一方、大河は憑依型俳優であるがゆえ、撮影が終わっても役が抜けきらないことに悩んでおり、「自分を取り戻すための縁」を求めていました。

    そんな二人の関係は徐々にただの遊びとは呼べないくらいの熱を帯びるようになりますが、慧は「恋愛」に発展することで再び傷ついてしまうのではと恐れるあまり、俳優である大河が恋愛めいた「演技」をしているのではないかと疑心暗鬼になります。
    しかし、大河が演技していたのは逆に割り切った関係の方であり、そこには秘められた慧への想いがあったのでした。

    簡単に始まったように見えた二人の関係の裏に、実は大きな運命の出会いが隠されており、それが明らかになっていく中盤は大きな見どころです。

    さらに、そこから一気に発展するかに見えて、二転三転していく二人の切ない関係性がたまりません。

    大河は慧を過去のトラウマや挫折から救い、慧は大河が俳優となる切っ掛けを与え「自分を取り戻すための縁」にもなる…運命的な二人の絆を見届けた後は、また最初から読み返したくなること間違いなしです。

    「ホワイトライアー」とは、直訳すれば「罪のない嘘をつく人」「優しい嘘つき」という感じでしょうか。
    大河の「優しく綺麗な嘘」によって、慧は再び前を向くことができ、二人で共に人生を歩き出す…本作品の読了後に見えたのは、あまりにも美しい景色なのでした。

    個人的には、最後の章「レッドカーペット」の二人のラブシーンと、大河のイケメンぶりが最高でした!

    芹澤先生の作品は展開が早いものも多いですが、こちらの作品は二人の心理描写が丁寧に描かれているので、また違った先生の魅力を堪能することができます。
  • カラー・コレクション【電子限定描き下ろし付き】

    芹澤知

    オムニバス形式で描き出す珠玉の恋愛群像劇
    ネタバレ
    2025年9月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私が初めて芹澤知先生と出会ったのがこちらの作品で、先生の芸術的画力、ドラマティックで卓越したストーリー、展開は大胆なほどアップテンポながら描写は繊細、といった数々の魅力の虜となり、それ以降様々な作品を作家様買いしています。

    本作は、森丘美術大学を舞台に、オムニバス形式で描き出す珠玉の恋愛群像劇。
    「彩輝×蒼大」「利人×ミハイル」「大地×大竹」3組の恋愛模様が描かれており、エピソード毎にストーリーの中心人物が変わりつつ、6人の横の繋がりも丁寧に描き出されているところが、1番の特徴であり魅力になっています。

    カップルの関係性はもちろん、6人が織りなす人間模様も思いやりや敬愛に溢れていて、それぞれ悩みや心の傷が温かく癒されていく場面も見どころです。

    特に、本作品の主人公的存在である彩輝と蒼大の関係性が、とても胸打たれます。

    4年生で天才である蒼大はいわゆるスパダリ系人物ですが、2年後輩にあたる彩輝は蒼大の隣を並んで歩きたいからと、蒼大に相応しい自分になるため努力します。
    そして、蒼大もそんな彩輝を応援し、彩輝の才能と選択に敬意を払うんです。

    2人は、先輩後輩とか天才とか、そういう既成概念に囚われない自由で対等な関係であり、人としても互いの才能に対しても惚れあっているのが、とても尊いです。

    作品中でも「芸術家って結局才能に惹きつけられる生き物だからね」という言葉があるのですが、芸大では「相手の才能にも惚れる」的な、こういうロマンティックな恋愛もあるんだろうなあと思うと羨ましささえ感じます。
    他の2組も同様に、立場や年齢に関わらず対等な関係で愛を育んでおり、一冊で純愛、エロス、大人のロマンスと、いくつもの恋愛を楽しめます。

    そして、クライマックスとなる森美祭で、6人がそれぞれの想いを実らせる場面はまさに大団円で、感動も3倍です。

    どの登場人物もタイプの異なるイケメン(1人は可愛い系)で魅力的ですが、個人的には大竹先生のイケオジぶりとダビデさんの肉体美に骨抜きにされてしまいました。
    ダビデさんの肉体美は必見もので、芹澤先生の画力を思う存分堪能できます。

    芸術にうとい私には、美大独特の雰囲気や、登場人物が創り上げる作品もキラキラ眩しく映って、とても楽しめました。

    エロ部分では、純情可憐な彩輝が意外に積極的でものすごーく萌えました(笑)
  • 新装版 秘め婿【電子限定特装版】

    芹澤知

    強く強く続編希望です!
    ネタバレ
    2025年9月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 壮大な歴史スペクタクルロマンを、事もなげにサラッと一冊にまとめてしまう…芹澤先生の才能と筆力をあらためて実感できる作品です。

    邪馬台国を舞台とした歴史ロマンと、幼馴染みとの美しい恋模様が描かれていて、とにかく面白くて一気読みしました。
    旧版を、出版社を変え加筆して新装版として出版されたとのことで、描き下ろし・人物設定資料など特典が豪華です。

    舞台は邪馬台国、主人公はヤマト。
    少年時代のヤマトは初恋の相手シキを喪い、シキへの想いを断ち切れないまま成長した。
    そして、偶然にも死んだはずのシキと再会する。
    だが、シキの態度はよそよそしい。
    実は、卑弥呼の代替わりにともない、シキは次代卑弥呼を受け継いでいたのであった…
    という、ストーリーです。

    卑弥呼は1人ではなく相伝で、継承者が男のこともあった…という設定がまず新鮮で面白いです。
    歴史上の人物をBL漫画に落とし込むことは非常に難易度が高く、さらに弥生時代まで遡ると時代考証だけでも大変で、巻末の参考図書が15文献にもわたっているところに、この作品に対する芹澤知先生の並々ならぬ情熱を感じます。

    装束や卜占、居室の楼観の描写なども時代に忠実で、先生の美しい画力で描かれる古代日本の雰囲気は必見です。

    そして、ヤマトとシキの恋模様がこれまた美しい。
    初めて結ばれる場面はとにかく美しくて、歴史物としても面白いですがBLとしても満足感高いです。

    ただ、あまりにも壮大な物語でとにかく面白いので、1巻完結にしてしまうのはもったいないなあと思ってしまうのも正直な感想で…。

    なので、強く強く続編希望です!
    壮大なスケールと非常に面白い設定、くわえてキャラも本当に魅力的なので、ヤマトとシキの今後もぜひ読みたいです。

    あとがきで、先生も「再スタート」という言葉を使われているので、続編がいつになろうとも楽しみに待ちたいと思います。
  • 拒まない男 【電子限定特典付き】

    三月えみ

    一度読めば絶対に読み返したくなる神作品!
    ネタバレ
    2025年9月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ たくさん張り巡らされた伏線を一度ならず二度三度と回収していくスタイルの、一度読めば絶対に再び読み返したくなる神作品!

    探偵の黒瀬と、ホテルコンシェルジュでありながら黒瀬の助手を務めている「りっちゃん」こと白石律を中心に、予測不可能なストーリーが展開されていきます。

    この「りっちゃん」がとてもミステリアスかつ魅力的な人物で、容姿端麗で客の要望とあらば「絶対に拒まない男」超有能コンシェルジュなのです。
    その彼がなぜ探偵助手をしているのか、なぜ簡単に黒瀬に靡いたのか、その謎はけっこう早いうちに明らかになります。

    しかーし、それで終わりとならないのが、三月えみ先生のストーリーテラーぶりで。
    そこから更にどんでん返しがあり、読み終えたら最初からもう一度読み返したくなること間違いなし!

    黒瀬とりっちゃんが互いに「表の顔」を剥がし本音でぶつかり合い、互いに救済し合う場面は感動しっぱなしで涙なしでは読めません。

    りっちゃんにとって黒瀬は人生をリスタートさせてくれた救世主であり、黒瀬にとってもりっちゃんは大きな救いの存在で、二人の運命的な結び付きが最高潮に尊いです。
    更に、この作品では根っからの悪人がおらず、りっちゃんの父親がああなってしまったことの理由もちゃんと説明があるし、情に流されないことが信条だったあの人も結局は情に流されているしで、読後の心地良さが最高です。

    二転三転する予測不可能な面白さ、優しさと思いやりに包まれたストーリー、黒瀬とりっちゃんの濃厚なラブシーンと、見どころがたくさんある、まさに神作品!
    購入を迷っている方には自信を持ってオススメできます。

    追記※『金色のいつか』

    待ちに待っていた続編!

    りっちゃんと黒瀬も登場しますが、主人公はりっちゃんの同級生山吹富。

    冒頭からショッキングな場面が連続します。
    富に群がる卑劣な男たちにも、それを拒みきれない富にも苛立つ最低な状況で。

    富がそうなってしまった原因は、またもやあの人でした…

    しかーし、これで終わらないのが、さすが三月先生。

    1巻の最後で「ええ!?」と驚く展開が!

    今後富が、ダイナミックに救済されていくサインをビシバシ感じます。

    前半は辛い場面が多いですが、今後大きなカタルシスがきっとあるはずなので、途中で躊躇された方には「そこでやめるのはもったいない!」と声を大にして言いたいです!
  • ロマンチック・ラメント

    左藤さなゆき

    運命よりも強い絆
    ネタバレ
    2025年9月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバース物はあまり読まないのですが、作家様買いです。
    『プリフェクトの箱庭』で、純愛とエロのバランスが絶妙な左藤先生の世界観にハマり、この作品もそんな左藤先生の魅力をたっぷり堪能できます。
    『甘美な嘆きの詩』というタイトル通り、恋人を「運命の番」に奪われて以降ただ嘆き悲しむことしかできなかった旭が、元恋人と瓜二つの煌臣と出会いロマンチックな恋を育むことで「大事なのは運命じゃなくて自分の気持ち」ということに気付かされ、前に進む勇気を得る物語です。

    しかし、二人が運命より自分の気持ちを大切にすることで、新たに傷つく者も現れる訳で…
    単純なハッピーエンドではなく、様々な人物の視点や感情を複雑に絡めているのが、さすが左藤先生という感じで読み応えあります。

    個人的にSF的なオメガバースがあまり得意ではないのですが、発情の場面は最低限ですし、オメガバースの原理について論理的な説明の場面を多く挿入しているので非現実感がかなり薄れており、あまり違和感なく読み進めることができました。

    本作品で傷つく側となった人物を主人公にした続編があるので、次はそちらを読もうと思っています。
    単なる当て馬でなく、その人物を続編で(おそらく)救済するところも左藤先生らしい粋な優しさで、そういうところも左藤先生の作品が好きな理由の一つです。
  • 囀る鳥は羽ばたかない

    ヨネダコウ

    私はこれでBL漫画にハマりました
    ネタバレ
    2025年9月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 映画化もされている、まさにBL漫画界の至宝。

    ヤクザという裏社会を骨太に描きながら、同時に矢代の内面と、矢代と百目鬼の不器用で純粋な愛情を、痛々しいほど繊細に写し出している作品です。

    当作品の魅力は語り尽くせないほどあります。
    この作品には余白の部分が多く、具体的に言えば、「言葉の省略」「セリフの省略」が非常に多いです。
    それは言葉のみならず、場面割りにおいても、必要でないものはいっさい描かれていません。
    そうであるからこそ、読者は1つの言葉も1つの場面も見逃すことなく、時間を掛けてじっくりと読み進めることが必要となり、また読み返していく度に新たな発見がある、それこそがこの作品の最大の醍醐味となっています。

    矢代を始めとする登場人物の表情や、数々の場面から、その裏に隠された感情に思いを馳せ、その余韻にひたる。
    全てを絵やセリフで表せてしまう漫画でありながら、読者の想像を喚起する、そういう贅沢が許される作品であることが、この上なく尊いです。

    そして、もちろんストーリーの面白さ、キャラの魅力なども素晴らしく、登場人物同士の絆の深さや因縁などが後に明かされるパターンも多いので、伏線になっていた場面が回収された時の説得力と満足度がすごいです。

    現時点では9巻まで刊行されており、(おそらく終盤となる)山場も近くありそうですが、早く次巻を読みたいという気持ちと、永遠に『囀る』の世界が終わらないで欲しいという気持ちが、せめぎ合っています。

    読んだ後はしばらく囀るのとしか考えられない…それほどハマってしまう作品です。
  • カリギュラの恋

    みちのくアタミ

    SとМの美学
    ネタバレ
    2025年9月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ こちらの作品は「SとM」の物語ですが、安心してください! 痛いプレイはほとんどありません!
    痛い描写が苦手な私でも、楽しく読むことができました。(しかし、プレイ自体はかなーり、ものすごーく、非常に、とても濃厚です!)

    そもそも「カリギュラ」とは、残忍な性的倒錯者であったというローマ帝国の第三代皇帝。
    しかし、現代ではカリギュラそのものより、「カリギュラ効果」の方が有名ですね。
    カリギュラ効果とは
    「禁止されると、いっそうやりたくなる」こと。
    つまり
    「ダメだと思えば思うほど、そのダメなことに心奪われる」ことです。

    成瀬先生と堂山清高が学校で繰り広げるプレイの数々も、まさにそれで。
    『こんなところで教師である俺が』
    『こんなことしてはいけないと分かってるのに……』
    『分かってるのに』
    『なのにーー…!』
    と、教師の立場とMとしての欲求との間で悶える成瀬先生の姿が健気です。

    そして、そんな成瀬先生を大人びた美貌と手慣れたプレイで翻弄する、とても高校生とは思えない堂山。
    高校生の頃から大人っぽいので、大学生になってもほぼ見た目は変わりません(笑)
    彼の「ご主人様スタイル」が、これまたカッコいいんです。
    そして、堂山一族の「Sの遺伝子」にも驚愕します(笑)

    本作を読むまでSとMにはあまり詳しくなかった私ですが、
    一見MがSに従属しているようで、実はSの方がMに献身的に尽くしていること、肉体的な痛みが苦手なMもいること、信頼関係がなければ、SとMのプレイは成立しないこと、必ずしもS=攻めではないこと
    などなど、本作品のおかげで大変勉強になりました。(みちのくアタミ先生に心より感謝)

    堂山が成瀬先生を心から大切に想い、全力で彼を守ろうとする姿に、「Sの矜持」と言いますか、「SとMの美学」を感じるのです。

    現在3巻まで刊行されており、今夏から第4シーズンの連載開始とのことで、4巻の出版が今から楽しみです。
  • モンスターアンドゴースト【電子限定漫画付き】

    ヒメミコ

    全てにおいて規格外のすごい作品!
    ネタバレ
    2025年9月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ BL漫画というジャンルではカバーしきれない、もうどれくらいスケールが大きいのか計り知れない、超大質量ブラックホール並みのポテンシャルを秘めた、ヒメミコ先生が描く『モンスターアンドゴースト』

    すごい作品に出会ってしまいました。

    『モンスターアンドゴースト』というタイトル通り、主人公は、モンスターのごとく周囲から恐れられている高校1年生の戸純椿。
    この主人公がとにかくすごいんです。
    空〇承太郎?それともケ〇シロウ!?いや、それ以上!?といわんばかりの筋骨隆々ド迫力の肉体に、男の色気に溢れた美しいお顔と、もう存在自体が規格外で唯一無二。

    そして、その椿くんに憑りついたのが、超絶美少年ゴーストの勇樹兜。
    美しいお顔と猛獣使い的な人懐っこさで、椿くんを飼いならしていくところが尊いです。

    カブトくんは魂だけの存在なので二人は直接触れ合えませんが、心を通わせながら二人の距離もどんどん近くなっていきます。
    その二人のビジュアルが最強に美麗すぎて、ラブシーンはほぼないのに満足度がすごいです。
    普段は険しい表情の椿くんですが、カブトくんにだけ優しい笑顔を見せ、これがまた色気たっぷりでたまりません。

    椿くんと関わる同級生もイケメン揃いで、アンニュイな彩くん、闇系のイビツくんと、主人公二人とはまったく系統の違う完璧イケメンであるのも、ヒメミコ先生の圧倒的画力がなせる技。

    このように画力も圧倒的ながら、ストーリーも斬新で予測のつかない面白さなんです。
    モンスター&ゴーストの二人の関係だけでなく、それを取り巻く人々の想いと思惑と陰謀が複雑に絡み合いながら、物語は進んでいきます。

    あくまでもストーリーの軸は椿くんとカブトくんの純愛でありながら、ファンタジー・ミステリー・ホラー・バイオレンスと様々な要素が含まれているのです。
    まさに、BL漫画の枠を超えた一大エンターテインメント作品と言えましょう。

    現在、単行本は3巻まで刊行されています。
    私の場合、立ち読み数ページだけで今までにない衝撃を受け、即座に3巻まとめて購入してしまいました。
    それくらい心を鷲掴みにされる作品なので、迷っている方には自信を持ってオススメします!
  • アオハル・ワンスモア【単行本版】

    宮田トヲル

    取り戻した青春の先にあるもの
    ネタバレ
    2025年8月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代に置いてきてしまった互いへの想いが、社会人となり再会したことで、再び走り出すーー

    青春時代を共に過ごし、じゃれ合うようなキスを交わしながらも、恋には発展しなかった隼人と律。

    隼人は高校卒業後に、律への想いが「恋」であったことを自覚しますが、その時には、もう律とは交流がなくなってしまっていました。

    しかし、社会人となって取引相手として律と再会した隼人は、高校時代の続きをするべく一緒に「アオハル」しようと提案します。

    初恋の相手と再会し、当時叶えられなかった想いを叶えようとするーー
    一見よくありがちな王道BLのように思えますが、王道ばかりではない独自の魅力も溢れています。

    その最大の魅力は、社会人でありながら、隼人も律も高校生の頃のようにピュアであることでしょうか。

    大人になったからといって急速に二人の恋が発展することはなく、デートを重ねながらまるで本物の「アオハル」のように、キュンキュンとした甘い恋心をゆっくり育んでいきます。

    そして、取り戻した青春の先で二人が得たものは、いったい何なのかーー

    純粋でひたむきな二人の想いを全力で応援したくなる、心が洗われるような作品なので、大人の汚い世界に疲れたら、このピュアな世界に癒されること間違いありません!
  • たまゆらの日日

    波真田かもめ

    様々な愛の形を教えてくれる物語
    ネタバレ
    2025年8月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 家族物のBL作品は「地雷」という方は、少なくないかもしれません。

    私自身そのジャンルを何作品か読了しましたが、正直ちょっと無理かな…と思うものもありました。

    しかし本作品は、血縁ではないものの家族として暮らしてきた叔父と甥が、恋愛へと進む過程を非常に丁寧に無理なく描いており、家族物BLに忌避感を持っている方でも受け入れやすい作品なのではないかと思います。

    作者は波真田かもめ先生で、『スモークブルーの雨のち晴れ』が大好きなので購入してみたのですが、結果こちらの作品も大好きになりました。

    主人公充(みつる)の血の繋がらない甥泉水(いずみ)は、大学入学と同時に家を出て、20歳になる頃突然戻ってきます。

    義理とはいえ伯父に恋心を持ってしまった泉水が、充と離れていた2年の間に何を考え、どんな覚悟をして実家に戻ってきたのか。

    そして、自分に向けられる泉水の気持ちに戸惑いながらも、真摯に泉水と向き合おうとする充の優しさ。

    家族としての愛、そして恋人に向ける愛ーー同じ「愛」でありながらベクトルの異なるそれぞれの「愛」を、いかに二人が受け入れていくのか。

    そういう過程が、説得力ある描写で丁寧に描かれているのです。

    琴線に触れた場面はたくさんありますが、特に心に残っているのが次の言葉です。

    「俺たちはあまりに深い哀しみと生を共にしてきたから性と交じりあって恋をすっとばして愛になってしまったんだ」

    家族と恋人との境い目はあまりにも曖昧で、はっきりと区切りをつけられる訳ではないけれど、互いを思いやりながら共に歩もうとする二人を心から応援したくなります。

    また、読了後は「たまゆら」のような一日一日一瞬一瞬を大切にしたくなる、そんな作品でもあるので、ご興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。
  • 理想の恋人 姫宮くん【特典付き】

    木田さっつ

    素晴らしい完成度で満足感が半端ない
    ネタバレ
    2025年8月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ いやあ、この作品にはやられました。

    あまりにも上手く行き過ぎる展開に、「こんな都合よく行く訳がない」「何か裏があるのでは」「姫宮くん、いったい何者!?」と、いろいろ裏を考えながら読み進めていったのですが……

    予想をことごとく裏切られ(良い意味で)、斜め上の真相と結末にもう感服しかないという次第で。

    ぜひとも、ネタバレどころか事前情報さえも目にすることなく、まっさらな状態で読んでいただきたい、そんな作品です。

    何を言ってもネタバレになりそうなので、内容についてはこれ以上申し上げられませんが、完成度はまさに最高のSSクラス、そして過不足ない展開と華麗な結末がこれまた素晴らしいです。

    木田さっつ先生の見事なストーリーテラーぶりが際立つ、そんな作品なので、迷っている方はぜひ読んでいただきたいです。
  • 君に降る言の葉は【単行本版】【シーモア限定特典付き】

    イズミハルカ

    ピュアな男子高校生が紡ぐ文学的な恋
    ネタバレ
    2025年8月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ まるで良質な小説を読み終えたかのような余韻に浸れる、文学的表現に彩られた作品です。

    高校1年生の主人公日向(ひなた)が、大好きな小説『雪の果て』を切っ掛けに知り合った同級生雪人(ゆきと)から、「疑似恋愛」してほしいと頼まれるところから物語は始まります。

    高校生のピュアで不器用な恋心にキュンキュンすると同時に、あらゆる場面で「言葉の持つ力」について改めて考えさせられます。

    「言葉」は時に鋭い刃となることもあれば、誰かにとって大きな救いになることもあるんですよね。

    これまで、人から誤解されやすく自分の想いを言葉で伝えることを諦めてきた雪人が、中学時代のトラウマに悩む日向に寄り添おうと、自身に「今だけは退くな」と言い聞かせながら懸命に日向への言葉を紡ぐシーンには、心を打たれます。

    その後、雪が舞う中、二人が心を通わせあう場面はとても幻想的で、ピュアな美しさに溢れています。

    まだ未熟で不器用な二人ゆえ恋模様の進展は順調という訳にはいきませんが、二人の関係を決定づける「鍵」となるものが、これまたロマンティックな仕掛けとなっているんですよね。

    そしてラストシーン、タイトルである『君に降る言の葉は』の意味が我々読者に提示される際には、大きなカタルシスを得ることができます。

    物語の中で紡ぎ出される言葉も心理描写も情景描写もすべてが清らかで美しい、まさに心が洗われるような作品です。

    本作品はBL漫画としては非常に控えめなラブシーンしかありませんが、それがまた、清らかで美しい作品世界とマッチしていて、いいんですよね。

    しかし、できることならば、二人がラブラブしている後日談も拝読したいなあと…。
    続編が出ることを心より願っています!
  • スモークブルーの雨のち晴れ

    波真田かもめ

    人間愛に溢れた優しい物語
    ネタバレ
    2025年8月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 心が疲れた時ふと読み返したくなる、そんな優しさに溢れた素敵な作品です。
    特に大きな事件やドラマティックな出来事は起こりませんが、吾妻と久慈の心の葛藤や、生きていくことの意味、周囲の温かい人間模様が、優しく柔らかいタッチで描かれます。

    誰の日常でも起こりうる様々な問題の中で、時には生きづらさを感じながらも、前向きに進んでいく二人の姿と、その中で育まれていく大人の恋模様に安心感を覚えるーーそんな作品です。

    言葉で表さなくとも感じ取れる愛情が描かれる一方で、相手に気持ちを伝えるためには言葉で表すことも重要ということが描かれている場面もあり、つい言葉を疎かにしがちな自分自身にハッとさせられます。

    互いの生活を尊重しながらも自分たちにとって良い関係の在り方を模索していく、そんな大人の恋愛模様が味わえる素晴らしい作品なので、何度も読み返してしまいます。

    追記※7巻感想
    7巻では、二人の関係性がさらに上のフェーズへ。

    その過程で、吾妻が甥の環に、久慈との関係を話す場面があるのですが、それに対する環の返事がとてもいいです。

    二人が恋人同士であることに薄々気付いてきた環は、その事実を告げられた時どういう返答をすればいいのか、あらかじめLGBTQの冊子で予習していました。(ちなみに、冊子にあった模範解答は「話してくれてありがとう」だったようです)

    咄嗟に出た返事は予習していた言葉とは異なっていましたが、吾妻は環の優しい言葉を聞いて「環に報告して良かった」と微笑みます。

    その表情を見て、環が「知らない誰かが決めた用意された言葉じゃなくて(略)ふたりの思いを受けとめればいいんだ」と涙ぐむ場面は、波真田かもめ先生ならではの思いやりと優しさに溢れています。

    また、仕事と家族、そして将来の夢。これらの間で、(久慈と再会する以前のように)精神的にいっぱいいっぱいになってしまう吾妻。

    しかし、今の吾妻には「闇の向こうの光」のような存在である久慈がいます。そして、苦しく思っていることだけでなく、嬉しさも誰かと共有できる喜び。

    7巻では、新たな登場人物がひたむきに夢に向かいながらも、守りたいもののためにその夢から一度遠ざかるエピソードも描かれます。

    しかし、必ず春はやって来る。

    7巻も安定の素晴らしさでした!
  • 羊の皮を着たケモノ

    九號

    予想を覆す展開です!(2巻3巻追記あり)
    ネタバレ
    2025年8月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 良い意味で予想を裏切られました。

    序盤を読んでいる最中、私の頭の中では「これってBLだよな?ということは今後の展開は…」と、いろいろ想像していたのですが、見事に想像の斜め上をいかれました(笑)

    いわゆる王道BLとは一線を画した作品ですが、BLとしての満足度も高いです。
    ぜひ事前情報なしで読んでいただきたい作品です。

    (2〜3巻追記)
    1巻では予想を覆す展開で楽しませてくれましたが、2巻以降はクライムサスペンス要素も加わって息もつかせぬ怒涛の展開をみせます。

    驚くのが、1巻の段階で続編は決まっていなかったということなのに、2巻では1巻で描かれた人物や出来事が伏線となっており、3巻においては辰巳の出生の秘密で「え!?そことそこが繋がるの!?」と、まさに驚愕の神展開が待ち受けております。

    そして、1巻ではハッピーエンドだった辰巳と大地の関係性も新たなフェーズに進み、気が気じゃないんです!

    2人は一見ラブラブな生活を送っていますが、辰巳は大地が離れていくのではという「見捨てられ不安」を抱え、大地は家族を裏切っている罪悪感に苛まれます。

    それでも強く求め合う二人でしたが、過去から復讐されるような出来事が辰巳に起こり、辰巳は大地を守る為ある計画に加担することに。

    再び大地に嘘をついたり、今までの努力が台無しになったとしても、辰巳は大地を守る為ならすべて犠牲にしてもいいと思う…それは紛うことなき「無償の愛」な訳ですが、辰巳自身はそれに気付いていない。

    甘い言葉で大地の心を、強い快楽で大地の体を、繫ぎとめようとしている自分に嫌悪感を抱きます。
    そして大地も、いつか辰巳が離れていってしまうのでは…という不安を強くしていきます。

    そんな先の見えない2人の関係性の裏で、辰巳はさらに窮地に追い込まれていく。
    そして辰巳が大きな決意をしたところで、3巻は終わります。

    かなりヒリヒリした展開ですが、あとがきでハッピーエンドと明記して下さっているのが、心の支えです。

    途中「一緒にいることでいい方向に行く依存だってある」というセリフがあり、2巻途中まではまさにそうだったと思います。

    しかし、辰巳は大地の「本物の愛」に触れることで、大地への執着と独占欲を膨れ上がらせ「それを失う怖さ」を知ってしまう。

    辰巳が今後愛情表現として大地を抱ける日が来るのか、楽しみに待ちたいです。
  • 憂鬱な朝

    日高ショーコ

    変化していく「憂鬱な朝」の意味が深い!
    ネタバレ
    2025年8月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ まさにBL漫画の金字塔的作品。
    私が最初に読んだBL漫画がこちらで、読了後は感動のあまり1ヶ月ほど余韻から抜け出せませんでした。

    魅力はたくさんありますが、「年下攻め×尊大受け」の暁人と桂木の関係性が尊すぎます!

    桂木の耽美的な麗しさ、そして久世暁人があどけない少年から大人の男へと成長し、二人の関係性が官能的に変貌していく様は、まさに「美麗」そのもの。

    17歳の暁人が攻めで28歳の桂木が受けという年齢差はもちろん、本来素直で優しい性格の暁人が、尊大な桂木(ツンデレとも言えないくらい全然デレがない)を力で組み伏せるシーンなどは、ギャップで萌えというより悶え死んでしまいそうでした。

    尊大で冷たかった桂木が、暁人と関係を持って以降すこーしずつ変わっていき、暁人にたまーにデレる場面は本当に本当に尊いので、歴史物が苦手でもBL好きな方には是非とも堪能してもらいたいシーンです!

    最初の冷たくて表情のない桂木を知っているからこそ、暁人の身体に手を回したり、暁人からの愛撫に声を出したり、自分から暁人にキスしたり、暁人の暁人を舐めたり、暁人に微笑みかける桂木がもうもう!尊すぎるんです!!

    心を通わせた2人が結ばれるセッ⋯シーンはあまりにも美しすぎて、何度もリピートしてしまいます。

    身体を幾度重ねても、朝になれば桂木はベッドから姿を消しているーーその寂しさから「憂鬱な朝」を迎える暁人。

    ベッドで暁人から真っ直ぐな愛をどれほど注がれても、朝になると現実に引き戻されて「憂鬱な」自分の立場を思い知ってしまう桂木。

    それがいつしか「もう離れたくない」「ずっとこのまま一緒にいたい」という幸せな意味での「憂鬱な朝」へと、変わっていくのです。

    焦れったい程なかなか結ばれなかった2人が、ようやく肩を並べて歩くラストシーンは感涙ものです。

    不思議とこの2人には、「手をつなぐ」というより「互いに手を取り合う」という表現の方がしっくりくる気がするんですよね。

    恋人でもあり、久世家を次代へ繋げる同士でもある2人は、これからずっと手を携えて久世家のために、そして自分たちの幸せのために共に歩んでいくのでしょう。

    2人に永遠の幸あれ!