このレビューはネタバレを含みます▼
凄いです。5巻完結まで一気に読ませる力は凄いです。毒の中でしか生きられないリコリスは、使い捨て暗殺マシンとしてミトラガイナからグランドルの国へ送られる。愛=殺のリコリス。グランドルには優、守、鈍を運命付けられた3王子がいて……。全ての登場人物が愛と狂気をあわせ持ちます。理想的な施政を行いながら、一方でそれに退屈する狂気のグランドル王。愛されるために普通を装いながら誰からも愛されず殺すことで孤独を埋めようとする王子、守ることで愛と狂気を昇華させる王子。ミトラガイナの女王さえも愛を求めながら相手の滅亡を願うのです。最後、守の王子は顔を焼いてまで、死ぬことで自分の愛を守り抜く。優の王子は逆に一瞬の愛に生きるために国や人々を捨てて愛に死ぬ。そして、鈍の王子は再生を誓うのです。なんて異常な三原ワールド。画中に意味なくちりばめられるゴスロリも、まさにこの作者の自分ワールド。5巻一気に読むと洗脳されてしまう。まずい、本来なら希望を感じさせるはずの最後の第一王子のまっとうさが平凡で退屈なものにしか感じられない。ヤバい、早く正常なワールドに戻らなくっちゃc(>_<。)退廃的な狂気と死を美しく感じちゃいけないのに!戻れ!平凡な自分!