公爵様、悪妻の私はもう放っておいてください 【連載版】
桜乃みか/琴子
雪華
さん
(女性/40代)
総レビュー数:110件
このレビューはネタバレを含みます▼
素行が悪い令嬢が、前世やら何やらをきっかけに過去の自分を省みて、これからは真っ当に生きようと決心した後で、それまでの行いが原因でなかなか信じてもらえずキツい思いをする作品は沢山ありますが、この作品の悪役令嬢は憑依した別人で、両親を事故で亡くすという辛い過去持ちで優しい人。
他に憑依した別人の作品も知っていますが、そちらのヒロインは、自分の憑依した女性に酷い仕打ちをした相手のことは責める癖に、憑依した女性がやらかしたことに対する謝罪はしてないという「はぁ?」って感じのヒロインですが、こちらのイルゼの中の人は、自分自身がやらかしたことじゃないのに、やらかしに対する恨み辛みに言い訳せずに受け入れ真摯に謝罪する、尊敬の念しか無いヒロインです。「私がやらかしたことじゃないのに!」と叫びたくなってもおかしくないのに、「イルゼの馬鹿!」と、恨み言はイルゼにしか無い。でも恨み言だけという訳でもなく、イルゼの立場を慮るところもある。
そして、これからはイルゼの治癒力と自分のできることをやって生きていきたいと決心して行動してる。何かもう、君こそ聖女やん!と言いたくなりますね。
しかし、イルゼは夫であるギルバートとは不仲と知れ渡っているとしても、有力な公爵家である実家にはイルゼを溺愛してる身分・血統至上主義のナイルお兄様がいるし両親もイルゼを可愛がってるのに、9巻のエピソードみたいな伯爵家でのお茶会の嫌がらせなんて、少なくともナイルは絶対黙ってないだろうし、悪女のままのイルゼだったら即座に身分に物言わせて報復するだろうから、令嬢たちの実家もただでは済まないだろうに、嫌がらせしてきた令嬢たちって馬鹿なの?悪評てんこ盛りで社交界の評判最悪だろうと、力のある公爵家の令嬢に無礼を働けばただじゃ済まないと思うんですけどね。
原作小説では、イルゼ実家のパーティーで、難病を患ってる子供を持つとある伯爵がイルゼに治癒魔法を行使するのを断られた恨みと酔った勢いで絡んだものの、酔いが覚めたら蒼白になっていたし、ギルバートも処罰を覚悟しろと言っていたくらいです。コミカライズ9巻のエピソードはそれを改変したんだと思いますが、だからこそイルゼの過去の所業を本人の目の前であげつらったり、素面でお茶をぶっかけるとか、頭大丈夫かと言いたくなるしモヤりますね。
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