チェーザレ
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チェーザレ

惣領冬実/原基晶

晩年のチェーザレの番外編が全てを物語る

ネタバレ
2025年9月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一応完結してますが13巻使ってチェーザレの大学時代だけのお話になってしまった、と言ってしまえば身も蓋もない。これは最初から構成が甘かったですね。時系列を追うだけの構成なので結果13巻使って大学生活の話のみになってしまったのが悔やまれる。が、TVのインタビューを見る限り、完璧主義の著者がたった1p描くのにも膨大な資料と監修を駆使し緻密に描いておられる事を思えば、それもしょうがないかなと。ただ、このお話は現地イタリアで爆発的に売れているらしく、イタリア人も唸るほどの正確かつ緻密な内容というのも頷けます。実はこのお話、ダヴィンチとミケランジェロが晩年のチェーザレがローマに凱旋する場面(一番彼のキャリアが華やかだった瞬間)を回想する番外編が特別出版され読みましたが、きっと惣領先生はこの場面まで描きたかったのではないかと。せめて最後の13巻の巻末に、その番外編が掲載されていれば少しは読者も納得のラストに辿り着けたのではないかと思います。それでも読めば、中世イタリアにタイムスリップしたかのような感覚になること間違いなし。構成力星1、世界観星5です。
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