レビュー
今月(5月1日~5月31日)
レビュー数1件
いいねGET0件
シーモア島
ベストアンサー0件
いいね0件
投稿レビュー
-
過去に傷をもつ人外の哀しさ




2026年5月2日絵の美しさに魅かれて購入。
半人半妖の道士・鬼帳が妖怪退治をしながら旅をする一話完結の話が続きます。孟姜女伝説のような伝説や史実を下敷きにした話もあります。半妖の鬼帳は不老長寿のようで、古代中国を数世紀にわたって旅しているようです。前半は割とシリアス系多め。人外の血を引く鬼帳の過去や、サンキの複雑な出生についても描かれます。後半は、妖は関係なく諸事情抱えた人に鬼帳が手を貸す軽め?の人情話が増えます。桃箒など好きな話もあるけど、人の心の機微が感じられるシリアス系の方が私は好きです。
痛みを知るゆえに困った人に手を差し伸べてしまう鬼帳。悪態をつきつつも鬼帳を見捨てられず傍で世話を焼いてしまうサンキ。鬼帳もまたサンキの危機には命をかける。「金蘭」として描かれる2人の関係がとても好きです。
話が急展開するのは15巻から。伽羅が話の進行役となります。鬼帳にとって辛い展開が続き、読んでる方も胸が痛い…。
最終巻は、だからタイトルが崑崙の珠だったのか、とわかるストーリーでした。これを最初から想定していたのならすごい。
次に鬼帳が生まれ変わるなら、半妖ではなく、大切な人と幸せになってほしいな、と思いました。
いいね
0件 -
サイバノイドは人間になる夢を見るか?




2026年4月29日「オズの魔法使い」ってどんな話だっけ。思い出せないのであらすじ検索。
少女ドロシーが、ハートの欲しいブリキの木こりと勇気が欲しいライオン、脳が欲しいかかしと共に、それぞれの願いを叶えてもらうためオズの魔法使いに会いにいく...検索終了。
この「OZ」では、「人間」になりたいサイバノイドと、人生の意味を見出だしたくなった傭兵が、少女と共に理想都市OZを目指す。
「魔法使い」天才科学者リオンはなぜ妹を呼び寄せたのか。彼らの願いを叶えてくれるのか。
複数のサイバノイドが出てきて、表情すら精巧につくられているため、最も「人間らしい」のはどれかわからなくなってくる。
でも1番「欠けている」19が1番人間らしかった。矛盾だらけで不完全な人間と関わり続けた彼は、自我の芽生え始めた子供のように、人間として歩もうとしていた。
人間は感情の生き物だ、とはよく言われるけど、19にはハートがあったんだろう、と思う。
1回目読んだときよりも2回目読んだときの方が泣けた。たぶん、現代のおとぎ話ってそういう話だと思う。 -
全編通して哀愁を感じる




2026年4月28日後世悪し様に言われる歴史上の悪女たち。それは彼女たちの本当の姿だったのか…?という作者の発想転換により生まれた作品集。
史実を元にしてますが、正史とは違う面から見た「歴史」です。
修行中の狐、夜烏が狐の仙人に命じられて使命を果たすため人間の世界に遣わされる、という設定。
作者は古代中国が好きらしく、殷、漢、春秋、三国、 秦、唐の楊貴妃と、B.C11世紀前半〜A.D8世紀半ばまで、夜烏の「修行」はかなり長期にわたります。
身分や時代の制約に縛られるしかなかった人たちが多く、彼らは夜烏とのつかの間の邂逅で自らの生をふと顧みます。なので、人間味と同時に憂いを感じる話が多い。それ以前に厳しい歴史的事実があるのですが...。
旅芸人の身なりで蓮っ葉な物言いの夜烏ですが、大切なものを喪った過去があり、狐の仙人の計らいにより記憶を封じられています。徐々に記憶が戻って心が揺れていく夜烏が哀しい。作者は過去に傷をもつ人を描くのが本当に上手いと思います。
美麗な絵はそのままだけど、ペンが変わったのかな?初期の作品はかなり細い線だったけどこのシリーズは以前と比べるとやや太い。
歴史って、人間って一筋縄ではいかないんだろうな。物悲しい空気を感じつつ、ページを閉じました。
いいね
0件 -
残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.
とりあえず1巻だけ読んだ感想



2026年4月15日スピード感もあり、余計なものを削ぎ落としていった印象。語り口調もあって非常に読みやすい。
おとぎ話ならいじめの首謀者より純粋な心をもつ少女に感情移入するけど、今回はむしろ悪役令嬢に好感をもった。ヒロインが四方八方の男性に手を出す頭カラッポの人だったのに対し、悪役令嬢は意地悪もするけれど自分の責務を認識し、誇りを持ってそれを遂行する努力家の一面で、失恋に胸を痛める1人の女性として描かれていたからでしょうか。どれかが欠けていれば令嬢よりヒロイン支持する人の方が多かったと思うので、作者の設定は上手い。
身分低い娘が妃になってもいいじゃないか、と前提条件に疑問を持ったし、ヒロインの最後には若干同情もしたが、アレクサンドラが魅力的なキャラクターだという印象は最後まで変わらなかった。
ただ王様それをとっとと認めるのはどうかと…殿下も実行しなくても、とは思いました(笑)。
いいね
0件 -
人間の氷点=原罪




2026年4月15日氷点とは摂氏0度。プラスでもマイナスでもない、いわば「起点」。
まっさらであるはずの赤子の時点から既に殺人犯の子であるという陽子の「負い目」は人は生まれながらもつ罪、いわゆる「原罪」の象徴です。陽子が清く正しく生きようとも、その負い目から完全に解放されるわけではない。ではどうすべきか、という「答え」をこの本は持ちません。本1冊丸ごと使っての読者への壮大な「問いかけ」です。
父の本棚から無断拝借して初めて読んだとき私は小6くらいだったので、わからない部分も多々あり、本当に理解できるまで時間がかかりました。何度読み返したかわかりません。
三浦綾子さんの本は他にも読んでいますが、この「氷点」が私は1番好きです。 -
雑学や言語学好きな人にオススメ




2026年4月9日アニメオタクの青年やら映画マニアの女性などそれぞれの理由で日本に興味をもって日本語を学ぶ外国人生徒たち。
慣習や言葉の違いから、そんなとこ気にする?と日本人が当たり前に思ってることを質問してきたり、日本じゃタブーだよ、という行動をしたり。皆が歌える歌、でCMソング出してきたり。とにかく予想のナナメ上の行動をとる生徒たちばかり。本人たちはいたって真面目にやってるという認識なので余計おかしい。
普通ならカルチャーショックを受けて落ち込みそうなのに、日本語学校という特殊環境下とそれぞれインパクトのあるキャラクターたちのせいか、笑ってしまいます。ついでに日本語の雑学知識も身につきます。
合本になってますが、本来は1~4と分かれてるので、まずは1冊から気楽~に読める本です。
いいね
0件 -
そもそも、保守とは




2026年4月9日菅野完(たもつ)・著述家。舌鋒の鋭さで知られるが、毒舌ゆえに好き嫌いの分かれる人物。言論人として強い矜持をもち、社会に対して一家言もつ人である。動画配信を視聴すると、誠に口の悪いオッサンであるが、文章は非常に端正な印象を受ける。
昨今言われる排外主義や保守化の高まり。保守を自称する人々が何を根拠にしてそういった考えを持つに至ったか。私は強いていうならリベラル側に与するが、好き嫌いの感情論も稚拙だと思い、1度きちんとその主義主張を知っておこうと手に取った。
膨大な知識量。特に明治~昭和前半にかけての思想史についてはよくぞここまで調べあげたものと舌を巻く。そして、本来の「保守主義」とは、いたってまともな考えだったとこれまでの認識を改めることになった。同時に、現在声高に「保守」を叫ぶ人たちは歪んだ認識と願望を噴出させたものだということも。この点では、私が感じた嫌悪感は間違ってはいなかったと胸をなでおろした。
曖昧なイメージのみだった「保守」のことが以前よりわかるようになって、よかったと思う。 -
天然上司に癒され、笑わされる話




2026年4月9日タイトル通りです。ごく稀にいるんですね、ど天然かつ仕事もデキる人。パワハラ被害経験者がそんなど天然な上司にあったら...?という話。メインの登場人物は4人全員キャラが立っている。ツンデレネコの白桃もいい感じ。
無意識にど天然パワーをふりまいていく白崎主任がかわいい。よくあるシャーペンの芯グサとか、タイミングが(違う意味で)合いすぎて笑ってしまった。こんな職場で働きたい、と桃瀬ならずとも思ってしまう。
続きがあるはずだけどなぜかとまってるようです。白崎主任にもっと笑、じゃなく癒されたいので続刊求む。
いいね
0件 -
水(雨)と神鳴(カミナリ)の強力タッグ




2026年3月30日何気に手を出した作品でしたが、たちまち引き込まれました。
鱗持ち、という特殊能力者、いわくつきの一族、空世などしっかりした世界観があります。
文明開化がおそらく関東一円に広がったらしい明治時代。
過去にも首にも傷をもつライと、水の気質ー変若水(をちみず)を思わせる力を持つたまき。必要なときにちゃんと力を行使しているのが好感もてます。ジタバタ奔走する子もかわいいけど、自分目線で動いて空回りするキャラって、たまにイラッとするので。肝が据わってるけど子どもっぼいところもあり、ライとのやりとりが見てて楽しい。
アヤシげなイケオジの玄雲から命じられる借金取り立てはいつも特殊な事情もちばかり。たまに、結構、命懸けな仕事だったり…。
動きなどの描線もしっかりしてるし、パソコンでフルカラー彩色したようでとてもきれいな絵です。
それぞれのキャラにそれぞれ深い背景がある模様。今後明らかになるのかな、と思ったら7巻で止まってしまいました。続きはいつ出るんでしょうか…。私のように読み放題に手を出して悶絶するアホになりたくない方は、「眼間」の前で止まってください…。
いいね
0件 -
科学ではなく、哲学的な話




2026年3月29日遺伝子操作というものが出たから、遺伝子組み換えとかクローンなどの話かと思ったら、全然違った。
深い。胸にずぅんとくる話が多いです。でも嫌な重さじゃなく、最後に一筋の細い光が見える、そんな話が多いです。「山月記」を想起させる話もあります。
人と「人以外のもの」とを分けるものは何だろう。読みながらずっと考えていました。それぞれの命であるはずなのに。
主人公はイケオジ、でなくチョイ悪オヤジのオト。操作師として抜群の腕をもちながら、普段は愛すべきポンコツ親父。でも人として大切なものを、人間の形をしたヤツらよりもずっとたくさん持っている。水没街ではみ出してもがいて生きようとする人に何気なく差し出すオトの手は温かいのだろうと勝手に思っています。
同時に、人為的に「morph」異形態を造ろうとしたためにこういう世界がありうるのだとしたら、人間が人間に手を加えることがいかに傲慢で禁忌であるかということも感じました。
泣きました、本当に。出会いをくれたフォロワーさんに感謝。 -
-
人間の内面をえぐり出してみせる作品




2026年3月11日衝撃。第一印象はまさにその一言でした。
人の脳を、記憶を見る。設定も奇抜なら、中身はさらに度肝を抜く。どんでん返しに次ぐどんでん返し。読者は見事にだまされる。ストーリーテリングの見事さに、毎度うならされる。一見ささいなことが実は伏線だった、ということも。
基本的に1つの巻で1つの事件を解決していく形で進みますが、9巻くらいから第九全体に関わる問題が表出。薪や親友鈴木にも関わる問題だった...。
明晰な頭脳と強い意志で第九を引っ張り事件究明に奔走する薪。それでいて情の脆さも持ち合わせている。外見もだが、そんな薪がとても魅力的。そしてワンコのように(笑)ついていく青木。叱り飛ばしつつも薪は青木の存在に救われている。こういうのがブロマンスっていうのかな、と思います。
なまじ絵がうまいと非常に...グロいため、グロ苦手な人にはおすすめできません。でも事件関係者、薪と青木、それぞれの内面も描かれとても濃い内容でした。
秘密season 0もあるので、そちらもオススメです。 -
-
久々のmyヒット




2025年5月15日シーモアさんの特集ページからまんまとおびきだされて(笑)作品発見。ラブコメはあまり読まないけど、これはハマった。
最近ハイスペ男性から溺愛、みたいな作品が乱立する中、この作品の「ハイスペ」は女性。恋愛ポンコツでしかもオタク(笑)。友人とコスプレグッズで女バレの危機を乗り越えていく。ポンコツっぷりに笑った。ただそれにも理由があって…という背景が作ってあって良かった。作者の、オタクに対する愛情が垣間見えるのもご愛嬌。こんなバレないことってあるかな?とは思うけど、2人のすれ違いがじれったくも愛おしい。全体通してコメディだけど、後半にシリアス場面が挿入されてストーリーとして成立している。
クーポン使って即買いしたけど、後悔のない買い物でした。
いいね
0件 -
設定に違和感ありまくり




2025年5月15日なまじ聖書の知識があるためでしょうか。
聖書(キリスト教)から着想を得ているはずなのに、仏教など異教の考えを取り入れてるので違和感おぼえて仕方ない。漫画にマジレスするなと言われそうですが、どうしても言いたい。
キリスト教で輪廻転生の考えはありません。さらに「御使いはめとることも嫁ぐこともない」(マタイ22:29-30)とされるので、天使に恋愛や性欲、子をもうけること、まして「赤子」から「成年」に変わっていくこともありません。
無機天使から「生まれた」天使?が電気コードのような形態をとることがありますが、神が造った天使がそんな人造物のようなものを生み出し、獣のごとき振舞いをするでしょうか。
また、「愛の宗教」とされるキリスト教の神は、神の被造物全てアガペの愛で包み、愛されることが至上とされます。神が愛情の差をつける、とは聖書を読んだ人とは思えない発想です。カインの話が出ますが、カインが神を軽んじたのが先。カインの罪はカイン自身に帰します。さらに故郷を追われる身となったカインに対し、神は守護の約束をします。(創世記)
絵は綺麗ですがそもそもの設定に疑問しかなかったので早々にドロップアウト。ドロドロの壮大宗教ファンタジー受け入れられる人はいいんじゃないでしょうか。 -
女性から見た男社会




2025年4月3日わかる。あるあるこういうこと。読みながら頷くことしきりでした。
主人公・依知と同じ名をもつ少女と関わったことで、依知の状況が大きく動いていきます。少女は依知の母校に在籍しており、母校には秘密があるらしい。不本意な形で別れることになったかつての親友・恵波は今どこにいるのか。現在の疑問にリンクして過去の謎が徐々に明らかにされていきます。
SFと銘打ちながら最初は全くSFらしい場面はなく、後半にやっとそれらしい展開になります。それまでは日常の「あるある」場面が丁寧に描かれていきます。男性は何の疑問ももつことのない1つ1つに女性がひっかかりを覚える場面がいくつも描写されます。
最初の展開はややゆっくりだけど、最初に出てきた人物が終盤に予想外の形で出てきたりと思わぬつながりがあって無駄がありません。予想とは違った終結だったけど、納得のいく結着でした。評価は色々あるでしょうが、女性でなくむしろ男性に読んでほしい。男女で見ている世界が違うということがわかるだけでも男性が読む価値のある漫画だとおもいます。 -
歴史検証はもう少し欲しかった




2024年9月18日作者本人がいう通り、自分の好きなものをつめこんだ歴史物。あと予言、禁じられた恋(BL要素含)とか。
詳述はされてませんが6〜10世紀のどこかの時代のイギリス。デーン人の侵入開始と同時期だとするとおよそ8世紀前後。
神官エセルレッドが騎士オルランドと出会い、白銀の鍵、と呼ばれ人生が大きく動いていく。物語中重要な役割をする星見が二転三転し、読者も気になって話を追ってしまう。
絵はきれいだと思うけど、体のバランスがとれていないのが気になる。目も離れてるし。花はめちゃくちゃ綺麗だけど。
細かいところが気になってしまって。出身地考えると宰相こんなに直毛?とか、戦場に赴くのに鎧つけてないの?とか。初陣が早かったとしても周囲を納得させる功をあげる経験年数はもう少し必要だと思うのでオルランドはあと1、2歳年長にすべきだったと思う。5歳であんな台詞は出ない。早くても6、7歳になってないと。あと功奏ではなく奏功です。
まあまあ楽しんで読んでたけど、終話の展開は急すぎでは。宰相の身の処し方もやけにあっさりとしていて、奥さんが気の毒になってしまった。
男同士なのにこの気持ちは何なんだー、と悶えるのが好きな方はお勧めします。
いいね
0件 -
檜皮姫が切ない




2024年9月8日歴史物って、義経・頼朝と、信長を描いたものが多い。ほんっとに多い。伝説も含め資料が割と残っていて、非常にオイシイ素材であるのは認めます。ただ、天邪鬼の私は、他の時代も読みたい、と思っていました(小説や実用書を読めと言われたら一言もありません)。
そんな時に出会ったのが河村恵利さんの作品。第4代執権北条経時と第5代時頼という、大河ドラマ(初代と8代の話はあった)とも微妙にずれた、まさに間隙をついた時代。地味で他の作家さんが選ばない素材を取り上げてきらりと光る作品に仕上げる手腕はさすが。宝治合戦という史実を織り込みながら、確かに感情が、特に男女の感情の交錯があったのだなと思わせる作品集です。4つの短編て視点は変わりますが、経時らの異母妹の秘めた恋心を描きつつ1つの時間軸を作っています。叶わぬ恋をした檜皮姫が本当に切ない。その気持ちに寄り添う讃岐もまた自分の気持ちを押し隠そうとする。夭折した人も遺された人も一体どんな想いを胸に抱いていたのだろう、と思いを馳せずにはいられない。恋情の悲哀が静かに胸に染み渡ってくる、そんな作品です。
いいね
0件 -
古代史は面白い




2024年8月27日同じく乙巳の変(大化の改新)を描いた朝香祥の「夏嵐」というノベルスが好きで、重なるところがあるので読んでみました。
個人的に好みの絵ではありませんが上手いと思います。歴史学者の仮説を参考にしただけあって、謎だらけの古代史でも「ありそうな話」だなと思いました。作品中のコラムを読むと作者が適当な空想で作ったのではないな、とわかります。扱っている歴史事件が一つで2巻とすっきりまとまっているのもいい。「事件」のその後を読みたい気持ちもあるけど、こういう結末で良かったんだろうと思います。ただ、葛城皇子の心理描写にもう少し深みが欲しかった。彼は決して単純な思考の持ち主ではなかったと思うので、彼の心情の変化は結構激しいものがあったと想像してます。もっと言うなら、筑濃と野津子のエピソードより葛城や漢皇子らの方にもっとページを割いて欲しかった(私は筑濃さん好きです)。
古代史好きの私には「大好物」でした。漢皇子と大海人皇子が同一人物、という説があるそうで、仮にそうならこの話も変わってくるなあ、と勝手に夢想してます。歴史の有名人物が出てくるので割と手に取りやすいのではと思います。
いいね
0件 -
笑ってちゃんと地政学




2024年8月23日たまたま見つけた作品だったがたちまちハマってしまった。
お国柄を表す性格を持っキャラクターたち(国々)それぞれ外見から好きなもの、果ては日課まできっちり人物造形してるのが素晴らしい。特筆すべきは日本を「ヒノモト」と名づけたこと。より名字っぽくて読者には親しみやすい。各話が約十数ページと短いが、それぞれの国の関係をうまく漫画にしながら漫画の落としどころまで描かれていてクスッと笑ってしまう。初見で何を表しているかわからなくても、ポップコーンにトウモロコシ輸入量、と注釈がついていたりと読者が理解しやすい工夫もされている。
地政学好きな人はもちろん、地政学初心者の入門書としてもおススメできる。 -
読んで絶対損しない作品




2024年7月24日SF好きで知らない人がいるだろうか、というほどファンの多い作品。そしておそらく田中芳樹著作の中で最もシリーズ構成がしっかりしている作品(笑)。 盲目的に愛するたった1人の女性を取り戻すため野心を抱いた若者が親友と共に全宇宙を動かしてしまった。よくこんな架空大河歴史を作れるな、と思うほど人間くさい歴史を考え、完成された物語。スケールの大きさもさることながら、人物造形もしっかりしていて魅力的な登場人物が多い。
2度アニメ化されてるが、最初のアニメは1人の声優が1人の人物、という決め事だったらしく、しまいに声優がいなくなったとか。好みは人それぞれだけど私は最初のアニメの方が好きで、セリフがアニメの声で脳内再生されることも。
友達から借りたのは高校生の時で、間違いなく私の考え方に多大な影響を与えた作品。社会的なこともたくさん書いてあるし、わざと難しい言葉を使っているけど、これだけ考えさせる本をそれまで読んだことがなかった(それまでが浅い読書だったとも言えるが)。有能な君主の専制政治か、衆愚政治に陥る可能性もある民主政治か。楽ではないけど長い目で見て自分達が「損」をしないようにするにはどうするか。政治の「裏」にあるものを見抜いて何を選択するか…。目一杯頭使って読んだけど、個性的なキャラクターと話の展開の面白さで全然飽きなかった。読んで良かったと思える作品の一つ。 -
一味違った設定




2024年6月28日大正時代の北海道。貿易の栄え始めた港町・函館。昨今流行りの?虐げられた娘が身代わり婚をさせられるところから始まるシンデレラストーリー。他と違うのは、新興実業家の御曹司・朔弥は目が見えないというかなり大きなマイナス要素もちで、華族の末裔・清子は器量良しではないということ。容姿の欠点が目の不自由な男性にとっては初めから問題にされないという着眼点は面白い。しかし清子は容姿に難ありだが一種の「先見の明」ともいうべき商才を持ち合わせており、実務面で朔弥のサポートをしていく。ちょっとした商いの話も書かれていて、経済の基本は押さえたのだろうなと思った。
ただ小姑並に句読点にうるさい私(笑)には、読んでいて首を傾げるところも。手先が器用だとはいえ、目が見えないのに色んな細工ができるのか、疑問。展開を急いだのか「結局〜なった」のような記述があり、駄文を重ねるよりはいいけど、この間に数行入れて欲しかったなと感じたところが何ヶ所かあった。あとブラコンの弟は今風の口調なのに朔弥は「おる」など古風な口調になることがあり、統一感がない。若者が「おお」と言うと芝居がかっているようで違和感を覚える。
だから上手い作家さんが描けば、という条件つきで、コミカライズの方が上手くいくかもしれない。原作を台無しにする漫画家もいるので絶対とは言わないけど…。評価は星3.5。話としてはまあまあ楽しめたのとコミカライズに期待して星4とします。 -
結構面白かった




2023年10月1日世界的に人気を博したというノルウェーの作家の第一作…という前評判により読んでみた。
過去の事件により心に傷を負い、自死決行日までのカウントダウンをしている捜査官、ミア。そんな時、首都近郊で子どもを狙った痛ましい事件が続く。捜査チームのリーダーであるムンク(画家ではない)がかつての部下であり、優秀なプロファイリング能力を持つミアを捜査チームに、生者の世界に、呼び戻す。ミアは持ち前の能力を取り戻し、仲間と共に捜査を進めていく。犯人は誰か。何が狙いなのか。容疑者かと思われた線は途切れ、また途切れと読者を翻弄していく。
意識的なのか、作者は長文を避けているのかもしれない。特に人物の心中を表現する際に単語数語のみの極端に短い文が多く、リズム感と共に緊迫感を生むことに成功している。大絶賛まではしないけど、人に薦められるくらいには面白いと思う。 -
何でもいいから読んで下さい




2023年9月26日ドイツにおけるユダヤ人虐殺がテーマとなっていて、内容は重いです。 かつての同級生が修道士とナチスの党員という正反対の立場に身を置き、2人の主人公の人物描写がしっかりとされています。それぞれが己の信念に従って行動するさまが静かに、力強い筆で書かれていて物語の中にぐいぐいと引き込まれていきます。
大勢を守ろうとしたマティアス。
自分のものだけを守ろうとしたアルベルト。
2人の願いは似ているようで、違う。それゆえ残酷なほどに行動は対立する。修道士として奔走するマティアスに比べてアルベルトの気持ちは分かりづらいですが、終盤に彼の真意が明らかになります。かなり研究されたのでしょうが、カトリックの慣習や当時の内情が詳しく書かれています。過酷な状況に抵抗しようとする信徒達の行動には何度も胸を衝かれました。究極状況下における神の権力と人の権力の対立を描いている、とも言えるかもしれません。一方で吐き気がしそうなほど残酷な戦場の様子も生々しく描写されています。戦慄するとともに、実際あった過去なのだと思うと戦争の恐ろしさ、醜さ、残酷さを目の前に突きつけられた思いがします。
めちゃくちゃ書いていますが、それだけ読み応えのある作品です。最後は泣けます。残酷だけど、美しい。ぜひ沢山の人に読んでほしいです。
因みにこの作家さん、「また、桜の国で」の中でポーランドを舞台にして同じテーマを扱っています。興味のある方はぜひ手に取っていただきたいです。
いいね
0件 -
絵がきれい




2023年9月13日子どもの頃何度か見たCHのアニメで香というリョウの良き相棒がいた、という うっすらぼんやりとした記憶のみあったので、私もご多分に漏れず、香が死んだ、というスタートに結構ショックを受けました。
が、AHを読みながら、これはこれでアリじゃないか?と思い始めました。パラレルワールドとのことですが、香とリョウがちゃんと恋人関係になってほしい、というある意味「読者の願望」を形にしたif ストーリーじゃないかと思います。加えてまだ10代の阿香と新米パパ?のリョウの成長を描いたより深い人間ドラマとなっているので、読みごたえがあって私は好きです。香が生きててくれたらもっといいけど…。でも本当の「エンジェル」は香なんじゃないかな、と思ったり。
とにかく絵がきれい。CHの絵ももちろん上手いんですが、このAHの頃の絵が1番上手いんじゃないでしょうか。この作家さんより上手く描ける人っていないんじゃないかと思っています。 1番好きなのは、兄に殴られたときの謙徳の顔。眼鏡が割れて座り込んだ彼はカッコ悪くて、それでいて笑いかけて見せる彼の顔は最高にカッコよくて、涙が出ました。AHのリョウは台湾生まれ、というのが私の仮説ですが、どうでしょう?
今は並行してCHを無料連載でちまちま追いかけています(笑)。 -
的確な言葉選び




2023年9月9日話の感想については既にたくさんの方が書かれているので、そこには触れず、文について思ったことを書いていこうと思います。
まず、言葉をきちんと使っているな、と読んで感じました。昨今は変にカタカナを使ったり、特殊ルビをつけたりするものが多く、あまり良くは思っていませんでした。この本の中では、散財、懸想、たたらを踏む、など現在ではあまり使わないけれど、この時代の人は自然に使っていたのだろうと思われる言葉を使っています。また当時はあまり普及していなかったであろうものも当時の人の言葉で表現されていて、(ベーコン→燻製肉、リゾット→牛乳を使った洋風粥等)美世が知らなかったのだろうなと自然にわかったりと的確な言葉を使っています。カタカナの濫用もなく、そこが好感持てました。難しいと感じる人がいるかもしれませんが、時代背景に合った、適切な言葉を選んで書いていると私は思いました。変にカタカナを使わず日本語を正しく使った文章は特殊ルビ多用の文章よりもずっと好印象です。
どこかの花嫁は言葉遣いがなってないそうですが、大違いだと思いました。若者だけでなく大人も読める文章とはこういうところに表れるのだなと思います。 -
ヒドイです、面白くて。




2023年9月9日古事記を題材にした作品はこれまでにも数多くあれど、藤原不比等の視点から描いた作品は、私が知る限りですが、初めてではないでしょうか。それも王など「登場人物」ではなく歴史書を編纂することそのものがテーマという発想がまず面白い。それを藤原不比等(作品中では中臣史)が抱えているものとうまく絡めて描いています。
当然ながら古事記の内容についても簡潔にわかりやすく説明してくれているので、古事記を読もうとして挫折した人にも取っつきやすいです。出てくる神の名前が長くて覚えにくい以外は(笑)。
古事記を読んだ人が抱くてあろう感想を筆記役の太安万侶が尽く言ってくれるのも良いです。「何でも歌にすればいい感じになると思うなよ」は笑いました。稗田阿礼を意識してしまう可愛らしさ?もあって、すっかり太安万侶ファンになりました。
絵柄は現代風ですが、当時使われていた言葉をできるだけ使おうとする努力も見られます。それだけに、忍壁の口調だけが違和感あって仕方ない。母親の位が低いとはいえ、皇子がそんなぞんざいな話し方しますか?
すごく楽しんで読んでいたのに6巻まできて、がっくり。これから更に面白くなりそうだったのに6巻で打ち切りなんて出版社は正気ですか。断然続刊希望します。星減らしたのはこれが理由です。
面白くて感想長くなりましたが、読了後の悶えに耐えられる人は読んで下さい。うっかり古代史を読んでみたくなります。 -
時代って厳しい...




2023年5月14日ロシア革命で最後の皇帝が殺され、レーニンもこの世を去って、本格的に共産党の支配下となったソビエト。共産党の正体に気づいた勘のいい人が危機感を覚え始めた頃の話。世界史に詳しい人なら聞いたことのある実在の人物も何人か出てきます。
訳ありの2人の主従が探し物をするに伴って、彼らが何者であるのか、謎が明らかになっていく形で話が進みます。
重い話ではありますが、読み進めながらも息苦しさを感じなかったのは、人の体温が感じられたから。繊細な絵の中に、生きるに易くはなかった時代に翻弄された2人の若者の生き様が描かれています。
最終的に、「探し物」を見つけて物語は終着点を迎えます。その後の2人の出した答えが正しいのかどうかはだれにもわからない。でも、冷たい土地にやっと春風が吹いて、読み手も張りつめていた緊張がほぐれていくように私には感じられました。
お茶請けには向きませんが、読みごたえのあるものを求める方なら、読んで損はないと思います。 -
いつまで待てばいい?




2022年2月20日ひと頃ムーブメントを起こしたパワーストーンを基とした、架空の大陸、架空の神話の存在する世界の話です。
作中では「聖石の使徒」と呼ばれる登場人物たちが石の持つ性質に関連した力を持ち世界のために働いている…と言った設定は興味深い。
「天秤」あたりまでは面白かったです。アーク、ミイノ、ガネルの3人がそれぞれ師匠のところを飛び出して以降がブレブレ。文章もダラダラ。物語の構成を手抜きしているとまでは言いませんが、ライトノベルということを差し引いても気を抜きすぎではないでしょうか。
作者が「こうしたら面白そう♪」と筆を走らせ迷走を始め、作者自身が回収できずに本編の新作が完全に止まってます。
迷走の最たるものが、「パルムローリの剣」セイとカーラの関係。カーラは命を狙われたのではなかったんでしょうか。「狩人」ではほぼ真逆ですが。こういう矛盾があちこちに見受けられるため、読者としては気になって仕方ない。最初の設定をちゃんと活かしてほしいです。
番外編がたまに出てますが、やはり「焔〜」「力〜」が1番面白かったです。「水〜」が完結していないので、「水〜」の完結までは読もうと思っています。20年近く待ってますけどね。
イラストも最初は異世界風の雰囲気で好きだったのですが、年月経ち過ぎてカクカクした線になってしまいました(失礼!)イラスト担当ではなく作者の責任だと思いますけどね…。
いいね
0件 -
マイナーな時代を描いてくれてます。




2022年2月14日「青野赤原」「七花八裂」「以水投石」「白兎赤烏」「わらわべ雀」
の5つの短編からなります。
全編通して、室町幕府6代将軍、足利義教の頃の鎌倉方を主に描いています。最後だけが江戸時代で、他4話と違ってほんわかとした話です。
鎌倉公方って歴史の中ではわりとマイナーな方に入るので、よくぞ描いてくれた!て思います。永享の乱(以水投石)とか結城合戦(白兎赤烏)とか、ちゃんと日本史勉強した人でないと知らないと思います。私も単語しか知らなくてどんな出来事だっけ、と改めて調べ直した次第です。
1話ごとの読み切りですが、全編通すと歴史としてつながるのは見事。読後に歴史を調べることをお勧めします。より深く味わえます。
切ない...というのか、容赦の無い時代だったのだな、と涙が出てきます。周囲に翻弄され、担ぎ上げられ、そのあげく無実でありながら状況的に生かしておくわけにはいかなかった。そんな人がたくさん出てきます。
にもかかわらず星を減らした理由は、同じ顔に見えてきてしまうこと。1話ごとならいいのですが、4話全部通してみると髪型のせいか顔が識別できなくなってしまう...いい話なのに。
でも一読の価値はある話です。
いいね
0件 -
人物が魅力的




2021年6月30日平安クライムサスペンス、という謳い文句ですが、おどろおどろしい感じはしません。
もののけを真剣に怖れていた平安時代において、「もののけなんているはずありません」という超リアリストかつ、引きこもり学問オタク青年というこれまでにない菅原道真像。
その彼が膨大な知識量と類い稀な推理力で謎に向き合い問題を解決に導いていきます。
そして引きこもり体質の彼を引っ張り出すため、無駄に好奇心旺盛な紀長谷男と色男で検非違使の在原業平、という実際に交流があったといわれる人物を登場させ、思いがけない化学反応を起こしてくれています。
「馬鹿に興味はない」と言い放つ道真ですが、生意気なだけではなく、唐に強い憧れを持ち、唐物に釣られるなど可愛げがあります。女性キャラクターも男性に劣らずなかなか魅力的で、個人的には昭姫がお気に入りです。
数々の事件を解決していくうちに学問一辺倒だった道真にも変化が現れ始めます。
伴善男という重要人物も出てきて、歴史の事件がどういう風に描かれるのか、ますます目が離せません。
ERR_MNG