60億分のふたり
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60億分のふたり

でん蔵

転がり落ちるのは一瞬

ネタバレ
2025年9月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ あの席順でなければ、あの時暇だと言わなければ…。ほんの些細な事がきっかけで平凡な人生が崩れ、地獄へと様変わり…香藤がずっと可哀想なんですが、彼に救いは果たしてあったのでしょうか?
香藤目線で話を進めると、自分をここまで追いやったいじめっ子に執着され、しまいには自分を神様と崇める。
恐怖しかないし、実際その時点までは織田に対しての感情は恐怖と恨みしかなかったと思います。
それが織田に助けられた事で安寧を得られ、恨みよりも安心感が上回り心の拠り所になる…依存の完成だ!!
歳月を経ても人への疑心は消えず、他人の心の声が聞こえていた頃から織田の心の内を知る事ができなかった香藤にとって、心の声が聞こえなくなった今も何を考えているかわからない織田が自分の隣にいてくれている…その織田の香藤に対する答えが香藤にとってどれほど救いになることか。
結果香藤は織田から離れる選択肢を自ら無くすどころか織田が自分から離れなければ織田が何をやっていようが関係ない。そこまでの感情に行き着く香藤もやっぱりどこか狂ってますよね。普通の人間に戻る事ができて、望んでいた死を選ぶこともできるはずなのにそれを選ばないって事は、死ぬより織田と生きる方が香藤にとって幸せだって事で…。
終始織田が香藤に依存しているように見えて、その実香藤もしっかり織田に依存している。
織田の異常さは読んだ方全てがわかるような描写があるので言うまでもないですが笑
名前も、ましてや存在も覚えていなかったはずなのに香藤をイジメたやつらを粛清…。イジメた自覚もないのにその出来事を思い出したのか辿ったのか、当時のメンバーを集めて粛清する織田は狂いに狂いまくってますが、これも香藤の為、歪んだ愛の為せる事なんですかね…。
普通の人間になった香藤の心の声も聞こえているけど、この時には香藤の織田に対する感情は安心の拠り所になっているので、香藤が今後織田以外の人間に心を開かない限り織田が香藤を捨てる事はないだろうし、そもそもそんな状況にもっていかないんでしょうね!怖すぎる!!!笑
感情のままに書いたので上手く纏まりませんが、読了後の何とも言えない仄暗い感情は読んだ人にしか味わえないと思うので、共依存好きの方は是非とも読んで欲しいですね!!
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