金色蜂に蜜
」のレビュー

金色蜂に蜜

キタハラリイ

仄暗い過去と金色の世界

ネタバレ
2025年9月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 色覚を失った男が資産家の男に拾われ、飼われ続けるうちに互いに心の距離が縮まり、特別な存在になっていくお話。
この作品では所々に見られる対比がとても上手いです。寡黙な八岡と楽しそうにお喋りする顕史、貧乏な常識人と怪しい遊びに耽る資産家、仄暗い顕史の過去と八岡が見ている金色の世界。その対比の陰に見え隠れする彼らの本音や心情がとても切なく、苦しい展開が続きます。
互いにぶつかり合いながら少しずつ孤独や寂しさを理解し合う二人。近づけば近づくほど、問題の火種が大きくなっていき、穏やかに過ごせなくなりますが、逆に二人の気持ちの絆が深まっていくのが目に見えて分かり、心に響きました。とても重くシリアスなストーリーですが、顕史の周りにいる人々の温かさや愛に最後は涙する素敵なお話でした。
寡黙な朴念仁の八岡のまっすぐで嘘のないキャラクターも良かったですが、何と言っても顕史の可愛さが光りました。最初は冷徹な笑顔と大人びた冷静さに人間らしさがなかったですが、少しずつ表情に熱がこもり、照れたり、慌てたりと、子供のように素直になっていくのが良かったです。小さい頃からずっと仮面を被ってきたからこそ、素の顕史は子供のままで、本当はこんなにも可愛い人だったんだなと思えました。そして、ようやく素の自分でいられる幸せを手に入れられて、心からホッとしました。二人の出会いは不幸のどん底けら始まったものでしたが、こんなにも幸せな眩しい日々に辿り着けて本当に良かったです。
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