午後の光線
」のレビュー

午後の光線

南寝

鬱BLというより切ないヒューマンドラマ…

ネタバレ
2025年9月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中学生という大人へ向かいながら未熟な精神状態が色んな場面に散りばめられている作品でした。
メインの淀井、村瀬、淀井の友達飯田だけではなくいじめっ子もみんな中学生なんだよね。だからこそ切ない作品だと思います。

淀井が我慢できなくなったのはいつからだったのかな…
お弁当無駄にされるのが地雷っぽいのはお母さん思いだからだろうし…他人のことを慮る能力はあるけど自分自身には本当に無頓智というか他者から大事にされてる存在であるという視点が欠如しているのが寂しいです。
村瀬のトラウマ克服を自分が手伝えると意欲的に性的接触をするけどそこに好きという感情はなく作業みたいな…といっているのも自分の感情置き去り感があって未熟さがありました…。村瀬はショックだったよね。でもそのままずるずる関係を持とうとしないところが凄くいい子😢淀井のことを大事に思ってたんだよね。

そんな自分のことについては後回しな淀井だけど後半にかけて村瀬やお母さんから大事にされていることがきっと伝わってたんだろうな…顔つきがすっきりしている気がする😭
村瀬に引越し伝えられないから飯田に頼むのも淀井が初めて感情を見せてる瞬間のようでよかったです。

私はラストは事故だと思います。お母さんも村瀬も悲しませるのはきっと淀井の本意ではなかったでしょうしね。
「俺が村瀬の一生の傷になるのはドキドキする」って言葉私は大好きです……結果的に村瀬の一生ものの傷であり思い出になれたし少しだけ報われる様な気持ちです。
村瀬以外にも飯田たち友達やいじめっ子の心にも残る、皆の中でどこか印象深い存在だっただろう淀井の喪失を中学生が背負うことを考えると苦しいものがあります。

体を夢の中で探してた村瀬、乳歯が見つかって良かったね。苦しいだろうけど淀井のことを忘れないでほしいなと読者として思いました。
後淀井のおかげできっと吃音もよくなったし、親戚に会えるようなったんだよね。よかった。淀井のお母さんが落ち着いたら線香あげにいってほしいな。

BLとしては幸せ!とは言い難いですが、こういう鮮烈で苦しいBLも素敵だと思わせてくれる作品でした。
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