せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!【単行本版】
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せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!【単行本版】

沢野いずみ/BAON/夜田あかり

面白くて好き〜モテまくるヒロイン!

2025年10月5日
異世界転生ものです。正確には転生でなくて“憑依”らしいです。ヒロイン(候爵令嬢クリスティナ)は元々我儘で奔放な悪女。憑依した時には既にいろいろとやらかした後で、これから行動を慎み、平穏に過ごすという作戦が使えません。

ヒロインは、平民から男爵令嬢となったプリシラを階段から突き落とそうとした罪で、騎士(公爵令息セドリック)の屋敷に預かりとなり、謹慎生活となります。

騎士も最初は警戒心が強く、素っ気ない態度で、監視の目を緩めません。しかしヒロインは持て余した暇を、屋敷の清掃に費やす様になります。憑依前は“社畜”であった為、勤勉さは本物。騎士や屋敷の使用人達の見る目が変化していきます。

そして騎士以外のイケメンが次々と登場してきます。王宮魔法使い(シリル)、ヒロインの義弟(ルーファス)そして元婚約者で皇太子(フィリップ)も何かにつけて現れます。

物語の大きな流れとして、魔法使いと精霊士との根深い対立がありますが、ヒロインが日々の出来事をこなすうちに、イケメン達の好意が深まっていきます。

騎士が本命っぽいですが、騎士もヒロインも恋愛に疎いので、進展がなかなかありません。王宮魔法使いも義弟も好意を隠しませんが、まだ重い感じでないので、互いに牽制しながらも、ヒロインを大事に扱うイケメン達という、ヒロインが一方的にちやほや甘やかされるモテ状態が継続します。

ちやほやされる、恋愛に疎いヒロインと言えば、その天然さに「あざとさ」を感じさせるタイプもいますが、今作のヒロインは、嫌味を感じさせないタイプ。何だか自然体で可愛らしいのです。それにヒロイン両親の溺愛ぶりも半端なく、ちょっと引きつつも、ほほえましく心が温かくなります。

世界の破滅を伴うような魔法使いと精霊士との確執、そしてヒロインの恋の行方、全体的に苛烈さはなく、ほんわかムードで楽しめます。ヒロインが嫌味なく可愛くて、面白い。こういうヒロイン好きです。
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