俺たちは恋人に向いていない【単行本版】
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俺たちは恋人に向いていない【単行本版】

弘川コウ

二人だけでなく周りをも幸せにする力がある

ネタバレ
2025年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みしただけでも「面白そう」と思いましたけど、読んだら数割増しで面白おかしくて楽しめました。まず、始まって早々1巻のP23〜24にかけての突飛な流れに「いやいやそーはならんやろ」とツッコミを入れてしまいました。ちょうど我が家も上階の騒音問題に悩まされていて、何号室と特定せずマンション全体に注意喚起の張り紙を出してもらいましたが改善せず…いよいよ「直接乗り込むか?」と思っていたところでしたが、読んでいて毒気を抜かれてしまいました。

その後も性格の違いすぎる二人のやり取りに笑わされつつ読んで、笑えるだけじゃない何か色々なことを楽しく学んだ気がする素敵な作品でした。何かとは…ストーカーしてしまうほど人を好きになる強烈な想いとか、兄弟関係、カミングアウト、SNSの防犯対策だったり、広く浅く適度に考えさせられて押し付け感がなかったのも良かったです。

そして一番素晴らしいと思ったのは、2巻の本編後の【bonus track】です。これは、一体何なのか…危うくスルーしかけましたが、どうにも引っかかって検証してしまいました。この彼女は、2巻P9〜10とP184〜185にお友達と出てくるだけです。その時は晃一のことを語るお友達の話を聞くだけで晃一本人には興味なさそうでした。それが、晃一がカミングアウトしてお友達が推すのを辞めてから、晃一のSNSをフォローしてます。つまり…この彼女は晃一を推していたお友達のことが好き…ということなのでしょうか。同志みたいな気持ちで晃一を応援することにしたのかな。

この、何気ない数コマにとても深い意味とメッセージが込められている気がして、作家さんとしてのセンスに惚れ惚れしました。【bonus track】という表現も冴えてると思いました。
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