あなたがこの子の父親ですか?
」のレビュー

あなたがこの子の父親ですか?

土居あおか/瀬尾優梨

最初から波乱の展開!謎を知りたい!

2025年10月12日
最初からミステリー。そもそもタイトルからして不穏です。まだまだ序盤ですが、謎が明かされるのを知りたくて読み進めてしまいます。

ヒロイン(フレドリカ)は目覚めると見知らぬ部屋に寝かされていました。川辺に流されていたところを親切な老夫婦(妻シーリ・夫ニルス)に助けられていたのです。

ヒロインは養護院出身で18歳で卒院し、職を求めて王都の職業紹介所に向かっていたのですが、それは5年前の話しでした。実は5年分の記憶を喪失していました。その上、妊娠している事が発覚し動揺します。妊娠の経緯もまったく記憶がなく、望んだ妊娠なのかどうかもさっぱり分かりません。悩みますが老夫婦の援助をうけ男児を出産。特徴的な碧眼は父親から受け継いだと思われ、父親が誰なのか幾度となく考えます。

親身な老夫婦は自分達の用事で王都に行くので、一緒に行こうと言ってくれます。王都の職業紹介所で手がかりを調べてはどうかと提案してくれます。

結果的に職業紹介所で手がかりはゼロでしたが、ヒロインを探していたと言うハシバミ色の瞳の青年(エドガー)とその上官という碧眼の将軍(アントン)と出会い、失われた5年間が明らかにされます。

ヒロインはなんと「魔法騎士団」の隊長であり、かなりの実力者であったと分かります。そして将軍からヒロインの無事を信じて待ち続けた部下たちの為にも、復職する様に申し付けられます。今となっては魔法を使えないヒロインは不安に思いますが、息子の父親探しもあり、老夫婦と一旦別れて復職するのでした。以下、続く…。

父親は誰なのでしょう?など謎ときの面白さがありますが、序盤は老夫婦の温かさが感動的。今は亡き自分達の娘とヒロインを重ねて見てしまう面もあるでしょうが、それだけに収まらない温情です。行き倒れの見知らぬヒロインを助けただけでなく、その後も扶養し、出産を助けて、さらに赤子も扶養します。そして過去を探る為に王都まで出かけてくれるのです。まさに“恩人”家族同然の扱いに胸が熱くなりました。

ヒロインの身分は予想を越えた特殊な職業で、しかも要職、この先の展開が気になります。楽しみです。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!