このレビューはネタバレを含みます▼
                                                            物語の最後の方で〝栞〟について語る場面があります。
「思い入れのある写真とか大事な人からの手紙とか
手にとって眺めていたい紙のものは、一枚二枚じゃなくて
一葉二葉って数えるんだって」と。
写真も手紙も紙にして眺めることの少なくなっな現在で、趣(オモムキ)のある言葉だなぁと感心しました。
学生時代、全身全霊をかけて愛した人との想い出は、辛い傷になって残っても忘れてしまえる訳もなく
どう抱えていればいいかわからない・・・
物語は過程を経て一つの結論を出してくれますが、読者として納得がいく答えだったかは、迷います。
ただ、物語冒頭の描写(妊娠を疑い病院に行こうと約束した日に、恋人が待ち合わせ場所に来なかった事実)は
あまりにも辛い思い出で、私自身はお話にとても惹き込まれました。
タイトルも魅力的でした。
主人公がその時々で出す答えが正解なのかどうかも、読者側の辿ってきた恋愛観で印象が変わるのかもしれませんが、
物語の中の家庭環境や時間軸も、私自身が納得しづらいと感じた部分も加味した上で
記憶に残る作品になりました。