メシア インコンプリート【コミックス版／シーモア限定おまけ付き】
三角すみ
このレビューはネタバレを含みます▼
前作も気に入っていた作者さん。本作も好きです。
登場人物が美化されてなく、ダメな所も描かれててリアルです。夜のお店の人達のキツさも出てるので、その中で飛鷹が母と別れた寂しさの中、生活のためにプライドをちょっと捨てて生きてるしんどさ、だからちょっと打算的な振る舞いをするところ、でも行きずりの落ち込んで酔っ払ってる若者の東条の話を長時間聞いて前向きなアドバイスをしてあげるような、明るい性格も見えたり。100%のうちダメな面は少しあっても、残りの大半は善良さが見えるような飛鷹。そんな飛鷹との会話で救われて、飛鷹に強く惹かれた東条。大手企業勤務の東条に気に入られ、損得感情で付き合った飛鷹の本心に気付きながらも、それでも不器用に飛鷹を愛してそばにいられる喜びをとった東条。飛鷹に健気に愛を伝える姿に、飛鷹の心が傾いていく。東条から渡される愛情に良心が咎めたり、相手の人となりを知って戸惑ったり、気持ちを欲して悩んだり、飛鷹の揺れ動く過程が良かったです。社会や会社に揉まれながらも、愛する人を見つけて想いが通じ、幸せの絶頂を味わう二人が、意地らしくて可愛い。
飛鷹の性格が逆境でも明るく、東条も境遇に負けず活路を見つける強さがあるので、作品全体は暗くならず、前向きで読みやすいです。絵も上手くて表現力があるので、視覚的にも楽しめます。素敵なラストで、この先の二人に幸福感を感じました。
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