盲目の聖女【シーモア限定特典SS付】
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盲目の聖女【シーモア限定特典SS付】

宮田紗音/MUCUZI

webより結構加筆あり&web未読者向け

ネタバレ
2025年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今回、web作品の書籍化報告を見た時に改稿したとしか書かれてなかったので、どうかなと思ってましたが結構加筆されていました。ただ、書籍版はあまり好きではない落とし所に着地してしまったのと、全体的に粗が目立っていたのとで、評価は下げてます。
個人的にはweb版の終わり方のほうが良かったです。具体的に言うと、ヒーローの国を守るために力を使ったweb版と、ヒロインの国を守るために力を使い果たした書籍版って違い。ヒロインに対してとんでもないやらかしをした祖国を守るためになんでヒロインが頑張らなきないけないの?って感じで、納得がいかなかったんですよね。しかも、ヒロインが酷い目に遭ったことを知っていながら、ヒロインに力を使うことを強要した〝善人の神官〟が原因。これが、悪人に命じられたことなら物語的にも許せたんですが、善き神官が、ヒロインが力を使わないことを責め立てて、しかもいざ力を使ったヒロインを見て、自分はいい事やった!ヒーローに殺されても文句なし!って感じの、まるで民のために自分の命すら投げ捨てる崇高な善人って感じのポジションに納まって普通に許されて終わるのがマジで腹立ちました。ヒロインは視力を奪われた挙句、何日間にも渡ってマワされたんですよ、祖国の男たちに。そんな目に遭った女の子に、加害者の身内がよくもまあ、祖国を救うためになぜ力を使わない?な〜んて言えるなって。しかもその神官は作中で肯定的に描かれてる。この作者さん、ヒロインがヒーロー以外に犯されて泣き叫ぶ話をよく書かれてるので、今回のヒロインの苦痛も扱いがクソ軽かったですが、その倫理観は一般的ではないってことを分かって欲しいなと思っちゃいましたね……。終盤にコレがあったせいで読後感がよろしくなかった。
また、全体的に登場人物がポッと出てきてはそのままフェードアウトってのが多すぎました。ヒーローの副官、その妹、老婆、ヒーローの婚約者候補、最後の神官……。キャラとしてガッツリ出てくるのに、その後どうなったのか描かれてなかったり、一言で流されてたりで、やっつけ感が半端なかった。主役二人の掘り下げはしっかりしてましたけどね。あと、ヒロインが残りわずかな命って設定がなあなあになって消えたのも残念でした。最後の力の解放で体が治ったってことなのかもしれませんが、ハッキリ描かれなかったので、これも中途半端な印象を受けた理由の一つですね。
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