夜をこえて、ふたりで【単行本版(シーモア限定描き下ろし付き)】
」のレビュー

夜をこえて、ふたりで【単行本版(シーモア限定描き下ろし付き)】

81

上下巻かのような内容の濃さ

ネタバレ
2025年11月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「朝が来たら、ふたりは」の続編である今作、「夜をこえて、ふたりで」。前作タイトルと対になっていて続編感を出しつつ、今作の内容にもよく合っていて秀逸なタイトルだと思います。
前作の終盤では一緒に住む話が具体化していたり攻めの藤井さんが受けの甲斐くんを下の名前呼びしていたりと、恋人になってから少し時間経過がありそうでしたが、今作はそこの時間を埋めるお話です。
今作は大きく2つのことが描かれています。前半は、藤井さんには彼の初恋の相手、甲斐くんには料理教室のお友達と、それぞれの相手にとって不安を感じさせる存在が接近し、お互いに本音が言えずぎくしゃくしてしまった関係を2人がどう乗り越えていくか。自分のプライドを捨て、相手に一歩踏み込んで、恋人としての関係が深まった2人が見られます。
後半は、お互いの家族への紹介。前作で、藤井さんは家族にカミングアウトしているのかが気になっていたので、今作で回収されてすっきりしました。藤井さんの親御さんが何を心配していたかも、甲斐家が手放しハッピーとはいかなかったことも、すごくリアルだし納得感がありました。甲斐父の言葉には辛いものもあったけど、甲斐くんの「俺には十分」という言葉が全てだなと思います。

今作は台詞の良さが特に印象に残りました。特に前半はみんなそれぞれに苦しい気持ちを抱えていて、その気持ちを誰かに話すときの台詞もいいし、それを聞いた相手が返す台詞もいいんです。それに、同期の林さんに話しているときは弱気で逃げ腰だった藤井さんが、初恋相手の松岡さんの苦しい気持ちを聞いて返した言葉が松岡さんの背中を押したりと、誰かが誰かを支えて、支えてもらった誰かはまた誰かを支えてと、一方的に支えられるだけの人がいないのもいいなと。

しかし前作の序盤と今作終盤の藤井さんと甲斐くんの雰囲気が全然違う!甘さたっぷりだし、クールな藤井さんはいずこへ。でも2人の会話が自然体になって、すごくいい関係だなと思います。甲斐くんって結構おもしろい子だな。ベッドの上ではS気増し増しだし言うこともオラついてるし意地悪な藤井さんだけど、日常生活では甲斐くんの尻に敷かれる未来が見える…というか、すでに敷かれ始めてます。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!