新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 分冊版
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新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 分冊版

おざわゆき

聞きたくても聞けなかった話でした。

2015年7月28日
シベリア抑留の実態については、驚くほど知られていません。寒くて大変だっただろうと考えたことはありますが、どんな背景で育った人達が、どんな食事をして、どんな場所で寝て、どんな作業をして、どうやって帰国したのかまで、考えたことはありませんでした。自分たちに未来など無いという絶望と、それでも今日一日を生き抜くという静かな本能が、淡々とした絵柄で描かれていて、彼らにとっての日常だったことが感じられます。本当に、辛い世界だったんですね。
私にとって戦争は、祖父母の世代の話です。いつか戦時中の話を聞きたいと思いつつ、聞いたら祖父母を傷つけるような気がして聞けませんでした。そんな話をきちんと取材し向き合ったおざわ先生と、語ってくださったお父様に、心から御礼申し上げます。
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