皆様どうぞ私をお忘れください。 -エリザベートが消した愛-
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皆様どうぞ私をお忘れください。 -エリザベートが消した愛-

桃井すもも/もか

趣深い作品です。

ネタバレ
2026年2月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 別サイトで一気読みした作品です。
もどかしいほど端然とした語り口で静かに物語が進められているので悪人がいない世界に思えますがこれがなかなか。
めったにないろくでなしがたくさん出ます。(笑)
ここからがっつりネタバレいたします。できれば読んだ方に読んでいただきたい。
結婚してすぐに妊娠した妻の子供と同年になる娘を妾に仕込む夫は文句なしのろくでなしですがその妾もさらにひどい。
自分が寝とった相手の娘の婚約者まで自分の娘をそそのかして奪い取ろうとするその妾(本妻死後、妻)は
要所要所でしか顔を出さないものの、強烈な印象を残します。
一方、妾をすぐ作る夫を信用できなかった妻は残される娘の行方を案じて家から出る方策に
娘に婚約者を選んだというのにその相手がかなりのろくでなし。
「義妹だから~!」と言いつつ、周囲からどれほど注意を受けてもその義妹を侍らせることを辞めない。
でも婚約者と結婚する気はあるなんて、なんだか死にゆく母が選んだ相手もまたその夫である父と同じ人間だった、
「見る目ないね、お母さん」と悲しくなってしまう。そこから逃げたエリザベート、素晴らしい!
私がこの物語に感心するのはベースに人間関係の摂理がきちんと組み込まれているところで
最終的に婚約破棄をしたところで義妹と噂もたっているしなし崩しに義妹と結婚させることも選択肢としてあるだろうに
それを拒否した「大人」の存在がこの物語を光らせる。
要するに不幸な母子の結婚(婚約)相手を親子で寝取る血を名家に入れない決定をした存在が
現実味のある社会倫理として安心感を与える。息子はあほでもその両親はまともだったところに救いがある。
調和のとれたよい作品なので作家さんの別作品も読んでみたいと思いました。
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