岩館真理子 読み切り傑作選
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岩館真理子 読み切り傑作選

岩館真理子

解釈を読者に委ねるミステリー 名作です

ネタバレ
2026年2月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 岩館真理子が好きだったわけではなく。昔、古本屋で安かったから買ったら大当たりだったこの作品。女子の複雑な友情・友人関係を見事に表現し、想像を掻き立て、解釈を読者に委ねる名作だと思います。

17才の女子高生、アリスと美名子。
5年前、小学生の女子グループが土砂崩れに巻き込まれて死亡するという事故の、生き残りの二人。気のおけない友人同士に見えるが、物語が進むにつれて、単純な関係ではないことが徐々に明らかになってくる。

(↓以降、私の無責任な解釈、駄文です)
アリスと言えば小説・不思議の国のアリス。鍵・女王というモチーフが、作品の中で重要な要素として出てくる。物語の随所に嘘が描かれ、何が真実か分からない所も。

小屋の横穴は、小説の冒頭を連想させる。
横穴を抜けた時アリスは、美名子が女王で、アリスの生殺与奪を握る世界へと迷い混んだ。
 生・美名子が鍵をかけなければアリスは死んでいた。
 殺・信は、アリスと美名子、どちらの言う事を信じるだろうか?

美名子が鍵をかけた。それをさせたのは遅刻の罰として小屋に閉じ込め(イジメ)ていた自分であり、女の子達の死と無関係ではない。山小屋を遊び場に指定したのもアリスだろう。アリスは自分の罪を隠すために、美名子の罪を隠した。罪は秘密として、二人の少女を結びつける。
また、鍵の一件がなければ生き残りは江梨子と美名子。江梨子の死は、美名子と江梨子のすり替わりだけではなく、江梨子とアリスのすり替わりであり、ある意味アリスと美名子のすり替わりでもある。(構造的な物語)

アリスは取り巻きを無くし、自分を女王として見るのは美名子だけになった。
そしてアリスは美名子を、女王として見ている。

アリスが何を考え、何故死んだか、ハッキリとしたことは分からない。
ただ、アリスは、美名子より、秘密が露呈した先が見えていたのだろうと思う。

メリーゴーランドに象徴される、子供時代の終わりと世界の崩壊の予感。
秘密で綴じつけられた、対称的で同一的な二人の少女の奇妙な関係。
不安、妬み、罪の意識。見るに堪えられない本当の自分。
暗いドロドロとした負の感情が美しさに包まれて、言語化しにくい複雑さが心に余韻を残す。

古本屋で出会ったこの幸運。
この世の中に、まだ読んでない、埋もれた名作がどれだけあるだろう。
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