もう少しだけ、そばにいて
」のレビュー

もう少しだけ、そばにいて

白野ほなみ

とても優しい愛の話

ネタバレ
2026年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みの時点で分かってたけど泣いてしまいました〜事故前に体を重ねていた頃のことをもっと味わっておけばよかった、というモノローグにやられて購入しましたが買ってよかった〜とても素敵な愛の話です。
相手をお互いにとても思い合っているのに、抱える障害が大きく、後悔や迷いや葛藤がその思い合う気持ちに容赦なくのしかかる。一度離れることになるものの、攻めが今の受けとの生活を手放してまで諦めたことを追いかけたいとは思えない、と気付けたことがとても良かった。いつになってもいいからふたりで。色んなことを諦めたり先延ばししたり選択が変わることになっても、君がいない人生よりマシだってやつですね。大好き。
ハルトが安楽死の同意書を持つことで逆に生きることに希望を持つ、というのはなるほどなぁと思ってしまいました。いざとなれば苦しみから逃れられる、死を自分で選べる、だからまだ生きられる。ハルトの立場になったことはなくとも、十分にあり得ることのような気がします。深い…。
攻めからの愛が海よりも深く、ハルトを諦めるような揺れが一切無いのが見ていて安心感があってとても良かったです。BLである必要があるのか?という意見も見ましたがめちゃくちゃあるでしょうよ。同性だからこその制度上の障害やそれによる選択の迷い、決断の描写も多く、むしろこのふたりの話をつくる上で欠かせない部分だったのでは?と思います。身体障害者であり同性カップルであるという二重の少数派の立場を描いているからこその苦悩も多くリアルだと思いました。
個人的に最高だと思ったのがエピローグ!連れ添ったふたりがおじいちゃんになる姿まで見せてくれる作品はなかなかありません。あれから何十年も一緒に時を重ねたんだな、とか本当に最後まで愛し合ってそばにいるんだな、と思えるから私はとても好きな描写なんですが…なので見れてとても嬉しかったです。

追記
のん気におじいちゃんの姿まで見れて嬉しかった!なんてレビュー投稿した後に他の方のレビューを見ていて気付きました、最後の国がスイスだと…単純に認知症が進んできてるから元気なうちに海外へ的なハッピーエンドなんだと思っていたら…そうか、だからふたりの横顔がなんだか少し…そして「準備はいいか?」ってそういう意味………また泣いてしまいます。
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