泣いてみろ、乞うてもいい
」のレビュー

泣いてみろ、乞うてもいい

VANJI/Solche

内容構成と作画の美しさに絶句です。

ネタバレ
2026年3月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ ビルおじさんが不在の為、1人留守番をしているレイラの不安…帰ると約束しながら帰らなかった母親、「公園へ行こう。」と約束したのに逝ってしまった父…もしかしてビルおじさんも?と、おぞましい初キスの後でもあり、不安の余り迎えに出たら、満面の笑みでおじさんが帰って来た!約束を守って‼
嬉しさで溢れんばかりのレイラの笑顔&夕日を受けて輝く黄金の髪!素晴らしい情景と心理描写です。

その時、車の中からレイラの煌めく笑みを偶然見かけたマティアスの表情が秀逸です。
夕日差す窓へ向かって差し伸べた彼の手のひらには、あのキスの時に制する事が出来なかった自分への感情の苛立ちから、庭園でむしった薔薇の棘によって出来たたくさんの傷が残っています。宙に漂わせたままの彼の手の描写!感動しました。
レイラを愛している、けれど候爵令嬢クローディヌとの婚約式が目の前に迫っている…
公爵家に生まれた時から決まっているレールを変化無く歩くしかない彼の悲しみや諦念、どうしようも無く制御出来ない感情を、表情や手の動き、外と車中の光の対比で描いています。凄い!

圧巻はラッツの自然史博物館での白いワンピースのレイラ&軍服姿のマティアス。
情景的美しさ、光の使い方、レイラのエメラルドグリーンの瞳に映る鳥のオーナメント!美しさを形容する言葉が見つかりません。
それ以上に、後からそっとレイラを高く掲げたマティアスの微笑みと振り返るレイラの戸惑い…叙情的にも素晴らしいシーンです。
これ以上に付いては、是非皆様、ご覧になってください。

激動の20世紀が始まる直前の物語か?革命や戦争・民族運動等で帝国や王国の多くが消滅していく20世紀に於いて、ヘルハルト家は生き残れるのか?
2巻レイラ自転車転倒場面、地面の彼女のペンを踏みながら呼びかける公爵に「ちゃんと聞いているのでお話ください。」と"逆命令"し、3巻森の中で「ここ迄残酷な狩りをする必要はあるのか?」と問うレイラ。自転車に乗り、自らの労働により得たお金で勉強に必要な眼鏡を買い、首都の大学へ進学したい少女レイラ。

黄金の髪を持ちながら、その名は「夜」「黒髪」「美しい女性」を意味するレイラが、「神からの贈り物」というヘブライ語由来の意味名をもつマティアスという名の若き貴族を救うのか?その名の通り"闇"に沈むのか?鳥籠に閉じ込められるのか?
これからの展開が楽しみです。
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