薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】
中村明日美子
このレビューはネタバレを含みます▼
以前から気になっていた作品ですが、立ち読みをして気になっていたものの結末が何となく分かってしまってそのままにしていたのですが、やはり読みたい気持ちになり上下巻セットて途切れなく一気に読みました。
義理の弟竹蔵に冷たい態度を取る兄忍。忍の息子要は竹蔵が忍を好きなのことを感じ取っていて母親の使っている香水を渡して竹蔵を焚き付ける。子どもの言うことに素直に従うのかと思ったけど、竹蔵は香水を身にまとい、言われた通りレースの手袋までして忍のもとへ。
妻には出来ないことをされて、竹蔵と分かって抱かれた忍。そこから始まった2人の秘密の関係。ネクタイで目隠しをした忍と竹蔵の絡みが美しい。
竹蔵がオーナーを務めるレストランに自ら訪れて逢瀬を重ねる2人。血の繋がらない兄弟故の葛藤、愛憎、その裏返しから来たものなのかは分からないが、2人がこういう関係にならなければ知り得なかった真実を突きつけられることになるとは。
そして不幸な結末を迎えるのだけれども、何となく結末が分かっていたからではなく、その結末が短絡的に思えてしまいました。
様々な兄弟ものを読んで来たので、自分の中では忍がその終わり方を選んだというのが今ひとつ腑に落ちないというか、周りのことはもう目を瞑ってそのまま2人の世界を生き抜いて欲しかったというのが正直な気持ちです。そうなるとまた違う作品になると思いますが。
妻の後輩は若さ故に見たことを伝えたのだろうけど、先輩の家庭と精神が崩壊するのは明らかなので、いずれは分かることだろうから苦しくても黙っている選択もあったのではと思ったり…。
このお話は忍の息子で竹蔵の甥っ子である要が深く絡んでいます。そもそもの始まりは要であり、また2人と要という場面もありました。最後に要のターンとなって要が色々な意味での継承者になったのだと思いました。
上下巻エンドまで一気に読んでしまう作品です。途中で立ち止まれないのですが、自分の好物である読後の余韻には浸れませんでした。継承者である要に気持ちが移ってしまったからかも知れません。
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