妹なんか生まれてこなければよかったのに -きょうだい児が自分を取り戻す物語-
」のレビュー

妹なんか生まれてこなければよかったのに -きょうだい児が自分を取り戻す物語-

うみこ

前半はよかった

ネタバレ
2026年3月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前半は透子の視点を通したリアルな描写で、障がい児の家族について考えさせられました。
瀬名さんが登場してからは全て瀬名さんが解決してくれる流れで、薄っぺらく感じてしまいました。
瀬名さんが福祉関係の人であればまだいいと思うのですが、同僚がたまたまきょうだい児で、明るく前向きな性格で知識も豊富にあるというのは都合が良すぎます。
「家で見れるうちは家で見たい」という両親に対して「透子さんの負担になっている」と諭すなんて普通はないと思います。
瀬名さんという「王子様」が全てを解決してくれるシンデレラストーリーになっていて、今悩んでいるきょうだい児が読んでも救いがない気がしますし、瀬名さんが神聖化されすぎていて「瀬名さんのように助けてくれる人」を求めてしまうと現実の人に失望する気がします。

また、仕事にやりがいを感じているという話だったのにおそらく出産で退職している感じでしたし、「やりたいこと」として選んだのが「親子フルート教室」というのも自分を大切にするというよりも「良い母親」になろうとしている感じがしました。
瀬名さんが弟の送り迎えを「やりたくてやっている」と言っていましたが、そのために娘との動物園の約束を延期するというのは娘を犠牲にしているように感じます。

前半のリアルな描写がよかったからこそ、後半の結婚出産を幸せの象徴として描いているところに疑問を感じてしまいました。
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