いつも上天気
」のレビュー

いつも上天気

聖千秋

印象深い作品

ネタバレ
2026年4月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 当時読んで、今も忘れられなかった作品です。
今で言えば毒親ともとれる宝の親。どこか無関心でありながらきつく当たり、その実、娘に依存している。ある非常に辛い出来事がきっかけなのですが…それから歯車が狂ってしまった。この作品に漂う哀愁はまるで、この家族にかかった霧のようです。
宝の中の幸せだった頃の記憶が眩しくて、余計悲しかった。いつまでも消えないですよね。3人で過ごした思い出の中の場所を、潮崎君がそれはオレゴンです、と思い浮かべる場面を鮮明に覚えてました。宝が誰かを笑わせたいという気持ちがあまりに切なく映ります。宝自身の心を守る為に必要だったから、道化を演じるように見えました。家庭の中に心地良さを見出せず、居場所を探している。普通に幸せそうな友人達には打ち明ける事の出来ない、複雑な気持ちを抱えた宝。自分自身も笑い、能天気に見せることで、やっと立ってたんだろうな。本当は昔のように、母に笑って欲しかったに違いない。宝は子供ながらに何とかかすがいになろうとしていて、喪失というものが及ぼす影響力に震える。恋愛要素だけでない、様々な愛情とその形を感じる作品でした。絵柄に古さはありますが、色褪せない名作です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!