もう少しだけ、そばにいて
」のレビュー

もう少しだけ、そばにいて

白野ほなみ

生きること、そして死ぬ事

ネタバレ
2026年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初の1ページからの不穏。
人生が一変してしまった晴人。
そんな晴人の恋人である晃。
この作品はただ愛し合う2人の生涯のお話。

本当に誰にでも起こり得る事故や病気。
その時、絶望感や喪失感で希望を失い
生きる事を辞めたくなる事もあるでしょう。
晴人の変わってしまった目線や生活、
戻れない日々を思い出す描写があるたび
胸が締め付けられます。
恋人の晃は明るく前向きで、晴人の支え。
しかし晴人の生きる糧は「尊厳死」という
お守りなのです。

晴人は自分のせいで夢を諦めた晃に対して
罪悪感を持っています。
自分はお荷物だと感じているでしょう。
でも全然違った。
晃の夢は、晴人が居てこそ完成するのです。
共通の友人である芝先輩のアドバイスも素敵です。
晴人は「自分のせい」と苦しんできたけど
「事故のせい」。その通りなんですよ。
たまたま事故に遭ってしまったのです。
旅に晴人を連れて行く…という選択肢を晃に
与えてくれてありがとう。
最後、年老いた2人が沢山の国を巡ったであろう
記録があり、夢を叶えたんだと思いました。
晴人の「準備はいいか?」との言葉は
きっと悲しい意味合いなのだと思う。
でも若くして事故に遭い、絶望感の中でも
何とか一生懸命、愛する晃と生きてくれた晴人。
死ぬ時くらい自分で選びたいよね。
尊厳死に関しては日本にもあればいいと思っています。
苦しみ抜いて、生き地獄のような日々を過ごして
死ぬのは美学でも何でもありません。

この作品の帯にある
「大好きな人と一緒に生きるということ」
この言葉は凄く難しいテーマだと思います。
大好きな人であっても、その人の身体や精神面の変化、
環境の変化、自分の変化、人生には沢山の試練があり、
乗り越えられなければ一緒に生きる事は出来ません。
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