【単行本版】虚ろの肖像
」のレビュー

【単行本版】虚ろの肖像

ニシンマスミ

前作に続きこちらも

ネタバレ
2026年7月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLの枠には収まりませんね
HEARTLESSのときも、レビューでタイトルに「BLの枠におさまらない」的なことを書いた。
ニシンマスミ先生の世界観は、悲観的で過酷、理不尽な中にほんの少しだけ、ほんとほんの少しだけ光が見える。

こちらの作品の諸悪の根源は、個人的には両親だと思っているんだけど。
次男が親と兄に、ゲイをカミングアウトしてから虐 待、搾取され続け。卒業して仕事を始め家を出る決意をしているところに、事故で余計に波乱が起きる。

臓器売買の話は、「ギフト±」を彷彿させ、あくどさは「九条の大罪」を連想させ、人の定義を危うくする。

真をひきとり、一緒に暮らすいまが穏やかとは。
「俺さえいなければちゃんと家族」と、これもまた幻想だった頃には考えられないある種の「幸せ」だなんて、皮肉すぎる。

後半に、ファームねヤクザたちの話があり、まともでいることが難しい状況が巧みに描かれている。
愛憎が生み出す悲劇、それを知らず極悪の世界で地獄をみる。
人間とはなんなのだろうか。

この作品の趣旨から言えば、コウがゲイであることと、鈴木がゲイであることは、物事の始まりではあるが、そのキャラクターによって、世界観が変わることが秘められている気がしてならない。

とにかく、ニシン先生の頭の中は、凄いな。
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