「子供を殺してください」という親たち
」のレビュー

「子供を殺してください」という親たち

押川剛/鈴木マサカズ

言葉で意思疎通できない人にどう向き合う?

2026年7月16日
以前は福祉業界で長年働いていたので、これの作中に近いケースと遭遇したことも多々ありました…。

他の方のレビューにもある通り、精神疾患の肉親を抱える方々にとっては紛れもないリアルな出来事をありのままに描いていると感じます。しかし家庭内という環境に留められているうちは、世間一般の人がこのような事態があるというのは想像すらしないでしょう。

確かにご本人の先天的疾患による要素も大きいのですが、大人になって問題行動多発でどうにもならなくなって相談に来られたとき、対策をたてるために過去のことをご家族にも聞いてみると、やはりその対応に問題があり深刻化する原因となっていたことが多かったです。認知症などもそうですが、初期対応によってその後の経過は天と地ほども違うケースが出てきます。

読んでいて爽快感などなく、読んだ後も考えさせられる内容ですが、多くの人に読んでもらいたい作品でもあります。言葉による意思疎通が出来ないということが、どれほどの困難な事態になるのかを知ってほしいから。押川さんが精神疾患に苦しむ人たちを何とか医療に繋げますが、現行の医療や制度の限界と問題点もしっかり描かれています。
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