このレビューはネタバレを含みます▼
匡(きょう)×喜智(よいち) 幼馴染因習BL
野々島先生、初読み。漫画家だけでは、惜しいほどの才能です。
以下、ネタバレはいります。
十月十日ごとに現れるバケモノ、圓(まる)。
もののけ姫の乙事主を彷彿とさせます。もう冒頭からBL漫画というより、土着信仰の怪奇譚(かいきたん)を読まされているよう。
ストーリーはニ部構成です。一部はきょうとよいち。二部はふたりの父親である吉と聡一のお話。外の血(村の外の世間)を引き継ぎながら、一方は忌み嫌われ、一方は神主としてあがめられる。その理由が明らかになるにつれ、村を支える信仰、ふたりの運命、そして因習のまがまがしさが何重にも絡み合い、ストーリーを厚くしていきます。ミステリー小説を読んだみたいな伏線の面白さ。
なかでもひときわすごい!と感じたのは「愛する者を食べなければ生きられない」という仕掛け。
愛する者に食べられたい!愛する者を喰らうことでしか生きられない、という究極の愛の貌(かたち)←こういうの書きたくなるのよ。
捕食であり献身。匡の食べられてる〜って恍惚とした表情がたっまらんのです!
村の因習が、究極の愛へと反転していく構成力に脱帽してます。
ただ、BLであるので、村人たちから受ける苛烈な性暴力表現があるため、読む人を選ぶのは確か。けれど救いなのは、匡とよいちが初夜を迎えたあとの事なので、ふたりが強く前を向いて生きていってくれたらいいなと思います。
そして、この因習は父親たちの代から続き、息子たちに受け継がれてしまうんです。繰り返されてきた悲劇をここで終わらせるという匡の強い意思が、またかっこいい。
これ二部構成であるんですが、息子たちの話は100ページ程度。その枚数におさめながら、伏線全部回収するんですよ。先生なにもの?
タイトルも深緋(血の色にちかい)が渇く、ですよ。愛するひとを食す、渇き……ぐあぁぁ、やられたー。そんなタイトルつけてみたいー。
体感は小説一冊まるっと読んだ感じでした。父親たちの感想まで、入りきらないよ。
これはBL漫画であり、怪奇譚であり、ミステリーであり、血族の話であり、
そして究極の、愛する者と外で生きていこうとする、逃亡劇でした。
こういうの好きな方、
ぜひ読んでみて(ㅅ •͈ᴗ•͈)