「囚われた甘い獣たち
」のレビュー

囚われた甘い獣たち

藤崎こう

半身であり光と闇

ネタバレ
2026年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 獣シリーズの中でも、この巻はすごく突き刺さりました。
「私から一輝さんを離すとどうなるか……」の台詞等に表れる千春の一輝への執着と、離されることへのとてつもない苦痛。それらの心情を全て分かって、千春の激情を全て受け入れる一輝。傍から見ると狂ってるような姿でも、二人にとっては必然。愛し過ぎておかしくなってる千春を嫌うどころか可愛いと笑う一輝は、千春がどんなに一輝に激情をぶつけても、逃げるどころか受け入れて、且つ千春の夢も潰さないように、千春の一抹の理性に語りかける。千春の意思を無視せず、納得ずくで渡米を決断するために、根気よく千春に向き合い、最後に折り合いをつけて震えながら一輝を抱きしめる千春を、抱きしめ返す一輝にグッときました。まだ若い一輝が外の世界に一度は出ていかなければならない現実と、箱の中に閉じ込めたい本音のジレンマ。それを自由に決められない現状。力をつけていく過程の苦しみと葛藤が響いてくる巻でした。でもそんな受け入れ難い制約を最小限に抑え込む実力を持ち、最大に力を発揮する千春にまたゾクゾクします。
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