「おかえり水平線
」のレビュー

おかえり水平線

渡部大羊

打たせ湯みたいな涙出る…。

ネタバレ
2026年10月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 涙腺の老朽化が深刻な昨今です。新調したマツエクが早くも丸禿げに…余計に泣ける。
爺孫二人暮らしで営む古き良き銭湯「柿の湯」にて。亡き父親の忘形見(不義の子?)がある日突然やってくる。事情を抱え独りぼっちの彼を当然のように家族として受け入れる爺孫と、戸惑いつつも初めて与えられる居場所に徐々に心を許していく居候くん(外で兄弟と公言しない方向性)。
この兄弟(?)が互いのちょっとした心の機微に気付いて助け合う中で、次第に喧嘩も増え、本当の家族に近づいていく様は胸熱です。爺ちゃんの渋さと包容力なんてタイプ過ぎます。孫(後継ぎの方)のデリカシー無き胆力と痒いところに手が届く知恵袋も良い味出してて、作品のぶっとい中核担ってました。
加えて、何やかんやあって徐々に増えた友人たち。彼らにも丁寧なドラマがあり、ままならない家庭の事情を抱えている子も居るんですよ。交流の中で頑なだったものが解されていくというか、大事にする環の円周が広がって人を知り世界を知るというか、主人公含めティーン達の成長性に度々泣けます。「みんなの居場所」として在り続ける柿の湯に、知識としてしか銭湯を知らない自分も強く郷愁を感じてしまいました。
タイトルセンスも冴え渡っている。こういう心を打つ温かい滋味ある作品に、大賞獲って欲しい。
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