図書館戦争シリーズ
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図書館戦争シリーズ

有川浩

無関心ではいられない

ネタバレ
2015年10月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「メディア良化法」は、あらゆるメディアの検閲を認めた法律だ。確かに、マスコミの悪い部分は私も是正すべきだと思うし、その部分が法律制定に一役買ってしまったとも言える。しかし、この検閲では明らかにメディア良化法委員会──つまり行政側の一存で悪書扱いを受けている本も少なからず存在している。メディア良化法に反対というだけで悪書扱いされるのは、いくら何でもあんまりだと思う。
なぜ、民主主義の国家でこのような法律が通ったのか。それは、多くの人々が「メディア良化法に深い関心を抱いていなかった」からだ。
主人公の所属する図書隊は「メディア良化法に関心を持ち、なおかつそれに危機感を抱いている」。だが、一般人の多くが無関心であり、検閲を既に当たり前のものとして受け入れてしまっているために、図書隊が「無知の善意」で攻撃されてしまうシーンもたびたび見受けられる。
この小説の問題は、決して現実の私達にとっては他人事ではない。そういう警鐘を鳴らしているように感じられた作品だった。
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