九月のサヨナラ
」のレビュー

九月のサヨナラ

高緒拾

画材の匂いが漂ってくるような素敵な空間

2015年11月19日
「三月某日、クマを拾った」「七月の交差点」に続くハルナツシリーズの最終巻。
私は九月→三月→七月の順番で読んだのですが、
見事にハマりました。
大好きなシリーズもののひとつです。

舞台は美大受験の為の予備校、たまよし美術研究所専属寮「福寿館」に住む人々。
三月と七月が浪人生のハルとナツのお話が中心で、
九月が講師の川瀬と他校の元講師、モクのお話です。

この川瀬ことキューちゃんが、むちゃむちゃカッコいい。三月の冒頭はこのキューちゃんのお話なのですが、もぅそこでやられました。
九月はそのキューちゃんが中心のお話。
長年体だけの関係だったキューちゃんとモクですが、その2人の結末が描かれています。
このシリーズ全体に言える事ですが、ゆったりと時間が流れてます。本当に自分がそこにいて見ているみたい。また、私は美大とは縁がないのであくまで想像ですが、画材の匂いがずっと漂っているかのような世界観。絵がその人自身のような存在で描かれていて、実在のその人が悩みながら、葛藤しながらいるのがすごく素敵でした。

もしこれから読まれるのでしたら、三月→七月→九月の順番で読む事おすすめします。
特に三月→七月は繋がっているので、この順番がおすすめです。ハルとナツもすっごくいいです。
しっとりとした、ゆったりとしたものを読みたい時、是非おすすめしたい作品です。
いいねしたユーザ4人
レビューをシェアしよう!