親なるもの 断崖
」のレビュー

親なるもの 断崖

曽根富美子

日本女性史を代表する歴史的作品

2015年11月29日
日本人女性の姿を描いた漫画としてこれ以上の歴史的価値がある作品はあるでしょうか。
偉人ではなく、日の当たらない、しかし確実に存在した女達の生き死に様。親に商品として育てられ男に体を売るしか生き延びる術がなかった女郎とその周囲のこれまた凄惨な人間たちを時代背景と共に忠実、詳細に描いています。
漫画なので主人公の人離れした美しさなど花を添えている部分はありますが、おぞましい戦争の時代に生きなければならなかったごく普通の女性たちを知るのに十分な一冊です。
彼女達は決して特別ではなく、私達自身でもあります。たまたまいつの時代に生まれたかの違いはあれど、女の哀しい宿命を教えてくれました。
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