犬も喰わない
」のレビュー

犬も喰わない

彩景でりこ

近代文学的

ネタバレ
2016年3月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作の中にスピンオフや過去編も入っています。2人の男の学生時代から現在にかけての長く歪んだ情愛に、若い男が10年越しの歪んだ情愛で割り込んでいくお話。こんなに説明しても、ネタバレじゃないというくらいの複雑な心理展開です。
後半に3別の話が3話収録されています。しみったれたボロアパートで、歳とった同性愛のオジサンが寂しく孤独死した。だけど…。というところから物語が始まるのですが、古いアパートや、表題作から続く近代文学的なセリフの言い回しが、とてもレトロでいい雰囲気です。
泣けます。なんで泣けるかって、ラストの複雑で想像の余地たっぷりな心理面に安らぎと共感があるからだと思います。だから余計に切なくなるかな。
枯れ専も三角関係もセリフが長いのもでりこさんも好きなので、星5です。ただ好みは分かれるので、星の数は参考にしないでください。
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