ロマンティック上等
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ロマンティック上等

森世

純愛上等!オメガバースの神作品!!

ネタバレ
2016年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「番」というシステムに翻弄されながら、
人として心を満たされたいという葛藤が描かれていて、
個人的にはストーリー重視の最上級純愛ものだと思います。
オメガバース作品は、その特殊設定が先走り過ぎて、
キャラの心情や葛藤が描かれず、キワモノになりやすいと思っていたけども、
この作品は、その突飛な設定を逆手にとっていて超ひきこまれました。

Ωの計は、可愛い系美形のビッチ☆かと思いきや、
実の所、自分自身を愛してくれる相手を求める頭の中がロマンティックな受けです。
まあ、自分の意思は蚊帳の外にΩなんて足枷を無理やりぶち込まれたら、
それを利用して生きていこうってくらい捻くれた考えにならないと
人生やってけないよねと思った。
でも、そんなに割り切れるほど計は狡猾でもないところが可愛くて、
それ故にΩという体質に振り回されている様子が不憫でもありました。
βの次継は、計と幼い頃からの付き合いで、
計が一方的に無下にされる時も味方でいてくれて、
人として思いやってくれて、一途に思ってくれて、
見返りを求めない無償の愛情をくれる超超優しい攻めです。旦那にしたい!!
αの駅人は、清々しい程のクズでゲスです。
その中でも超恵まれた地位と資産と容姿があるので、
αらしい横暴を遺憾なく発揮してくれます。
個人的には作中で一番キャラが立っているし、
その清々しいゲスっぷり故に嫌いになれません。寧ろ、好ましい!!!

計は発情期に無理矢理駅人に番にされますが、最後は次継と結ばれます。
番の金銭サポートを断りに来たシーンで、
計から「長い人生を一緒に居られる真面目な人を探したら?」という問いかけに、
駅人の返した「・・・計ちゃんたちが特別なんだよ。」という言葉とその表情。
ここのシーンが一番グッときました。
Ωとして常に虐げられ劣った存在として扱われてきた計と
αとして常に満たされ誰よりも優位に生きてきた駅人。
でも、実際は心のどこかに同じ穴がポッカリと空いていたように思うΩとα。
その穴を埋めるものを求めに求めて遂に満たした計と、
何不自由ないけどもその穴を満たせない駅人。
〝人としての幸福とは〟を問い掛ける、とても対照的な構図だったと思います。

オメガバースを知らない方や抵抗がある方にも
十二分に楽しんでもらえる作品だと思います。
最近読んだBLの中で個人的に一番キラリと光った作品です!
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